表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
寝取られ裏切られた最弱テイマー〜逆境を跳ね除け相棒のスライムと最強へ成り上がれ。許して?やり直して?絶対にイヤだね〜  作者: 月鈴
オークションと新しい仲間

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

117/118

女の友情

「ルディ、ゴメンなさい。私達にも『スライム』を貸して。お願い」


 静まり返った薄暗い食堂に、ジェシカの声が落ちていった。


 以前までのジェシカなら、こんな風に他人に頭を下げることなど……死んでも、あり得なかっただろうな。

 プライドの塊だった『白の女帝』の行動に、集まっていた他の奴隷達も驚いていた。

 ジェシカの視線は同じ状況の、ルーナを追っていた……

 ルーナもジェシカの隣へと来て、


「私からも、お願いします。みんなと一緒に、スライムをお願いします」


 ジェシカの、震える小さな絞り出すような言葉にルーナが被せてお願いされた。

 ジェシカのプライドに付き合っていた、ルーナも……

 本当に良い友達になれたんだね……


「ジェシカ、ルーナ……」


「気づいていたよ。ルーナが、ジェシカを一人にしないために……ずっとスライムを、拒んでくれていたこと。ありがとうな。ジェシカを1人にしないように、してくれて……」


 俺がそう告げると、ルーナのエルフの長い耳がピクリと跳ね……大きな瞳に、みるみるうちに涙が溜まっていった。


「う、うん……ジェシカが、一人ぼっちになるのが嫌だったの。置いていかれるのが怖くて、必死に強がっているのを知っていたから……私は、ジェシカも一緒に……」


「ルーナ……あなた、本当にバカね。私のくだらない意地に、付き合う必要なんてなかったのに……」


 ジェシカが涙を浮かべながら、ルーナの肩を抱き寄せる。

 意地を張り続けた少女と、隣に居続けた少女。鉄格子の冷たい世界を生き抜いた彼女たちが、今……お互いのためにこうして手を取り合い、自分たちの意志で俺を信じようとしてくれている。こんな時に思う事ではないかもしれないが……美少女2人が慰め合う、なんかエロいな。


「……主様?」


 深いブルーの髪を揺らしながら。アオイからの注意が入る。


「コホン。ありがとう、ジェシカ、ルーナ。俺を信じて、声をかけてくれて。自分のプライドよりもお互いを大切にできる二人は、本当に素敵だと思うよ。お互いを、大事にな……」


 俺は二人の前にしゃがみ込み、目線を合わせるようにして優しく微笑みかけた。そして2人の髪を撫でる。


「君たちの悔しさも、過去の傷も、今の悔しさもあるだろう……でももう、独りで戦わなくていいんだよ」


「……ほんと、生意気なご主人様ですわね……でも、後悔させてみせますわ。元『白の女帝』を仲間にしたこと、心の底から感謝してもしきれないくらいに……だから今までゴメンなさい。そして、よろしくお願いします」


 ジェシカが涙を拭い、照れ隠しのようにいつもの「女帝」らしい不敵な笑みを浮かべてみせる。けれど、その頬はほんのりと赤く染まり……瞳には確かな温もりが、灯っていた。


「あはは、期待してるよ。アオイ、二人のために、とっておきの子たちを」


「はい、主様。お二人に、心からの祝福を……私達は家族なのです。だから最高の『絆』を……」


 俺の隣に並んだアオイが、愛らしく微笑みながら2匹の透き通るようなスライムを差し出す。

 ジェシカとルーナがそっとその手を伸ばし、スライムに触れた瞬間……光が溶けるように、彼女たちの身体へとスライムが吸い込まれていった。


(繋がった……)


 二人の魔力が、処理能力アップの効果で完全に噛み合ったようだね。

 それと同時に、食堂にいる他の奴隷達から「わあっ!」と歓声が上がった。成り行きを心配して見ていたレナやミリー、ココアたちが、嬉しそうに駆け寄ってくる。


「ジェシカちゃん。ルーナちゃん。よかったぁ……」


「これで本当に、みんなお揃いですね!」


「な、なによ、みんなして聞いてたの?」


 真っ赤になって慌てるジェシカと、照れくさそうに「あはは、バレちゃってたんだね」と耳を赤くして笑うルーナ。

 かつて心を失いかけた二人の少女は、もうあの暗い檻の中にはいない。

 俺たちが、本当の意味で『ひとつの家族』に繋がった瞬間だった。


「よし。これで本当に、誰一人欠けることなく全員が俺の自慢の家族だ。ジェシカ、ルーナ。今夜はゆっくり休んで、付与されたスライムの感覚に馴染んでおいてくれ。明日からは、いよいよ全員での連携訓練だぞ!」


「「「はいっっ、ご主人様」」」


 食堂中に響き渡る、これまでで一番大きく……そして温かい返事。

 みんなが口々に二人の合流を祝いながら、ワイワイと自室に戻っていく。


「ふぅ……一時はどうなるかと思ったけど、本当に良かったよ」


 ◆◆◆◆


 そんな賑やかで幸せな夜が明け、翌朝。


 燦々と降り注ぐ朝日の下、俺たちは昨日と同じ『スライムの丘』へとやってきていた。

 だが、昨日とはみんなの空気感がまるで違う。


「……信じられないわ」


 自身の身体に宿る魔力回路を確かめるように掌を開閉させていたジェシカが、驚愕にその白い眉を震わせていた。


「魔力の充填速度、詠唱の省略効率、そしてこの脳内がクリアになる『処理能力』……そしてこの魔力量と魔法適性アップよ。それがスライムを受け入れた途端に……学園のどんな秘薬を使っても、こんな次元の強化は不可能よ。ルディ、あなた本当に、ただの『スライム使い』なの?」


「うん、すごいよジェシカ。風の引き込み方が、昨日までの3倍は早く……より正確に知覚できる。これならどんな標的だって、一矢で射抜ける」


 ルーナも、その美しいエルフの弓を構えながら……かつてない万能感に瞳を輝かせている。


 二人の規格外になったポテンシャルには、付与スライムの効果なのは明白だった。


「よし、みんな。それじゃあ約束通り、今日は『メンバーを入れ替えての連携訓練』を行う。前衛はレナとミアを軸に敵を足止め。後衛はジェシカ、ルーナ、セシルたちが火力を叩き込む。お互いの動きを脳内で共有し、一糸乱れぬ連携を見せてくれ!」


「「「はい!」」」


 リジェクテッドの時には、エスナもミラも文句が凄かったけど……奴隷達は、素直に訓練しているね。

 これなら、ダンジョンデビューも近いな……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ