生産無双
フィオナ村に拠点を構えている俺達の拠点は、工房も兼ねている。鍛冶工房や、調剤所や、錬金工房や、魔道具工房等……
ここを使っているのが、ドワーフ族のドラン親方と奴隷のバルカンだ。
この拠点もドワーフコンビと、俺とスライム娘達で建築した。もちろん、自分達で使い易いように話し合い工夫して出来上がった拠点でもあるんだ。
ドワーフコンビは主に、鍛冶工房を使っている。もちろん打つのは『特級魔鋼』を使った、武器や防具など……
他の錬金工房や調剤所などは、俺とスライム娘達だ。
ここで作った物が『フォルトゥーナ商会』の商品棚に、綺麗に陳列されている。
それだけでなく、最近作った『冒険者レーション』はかなりの反響がある。
この『冒険者レーション』は手軽な携帯食料で、日本のカロ○ーメイトみたいなモノだ。
この『冒険者レーション』は、フィオナ村の作物を買い取り作っているので……フィオナ村の村民からも感謝されていて、奴隷達でも扱いが好待遇な状態だ。
そして、周りの村からも売り込む所も増えてさらに『フォルトゥーナ商会』目当てで商人が集まるので、さらにフィオナ村で商売をする人達も増えている。
この『冒険者レーション』は冒険者だけでなく、長旅を行う行商人たちにも大好評で……今までの干し肉や固いパンから、これに切り替える人が日に日に増えている。
「軽くて、荷物にならなくて、美味くて、一食で必要な栄養が全部摂れる。そんでもって、腹持ちも良い」
そんな食料も過酷な旅をする者たちからすれば、喉から手が出るほど欲しかったアイテムに他ならないのだから当然だ。ダンジョンなどでも重宝されている。
「ねぇ、ルディ。今月のレーションの出荷分、もう全部梱包終わった」
工房の奥から、小麦粉や乾燥果実の粉末で少し白くなったアカネが……満足げにフンスと、胸を張って現れた。プルンと揺れる。
「ありがとう、アカネ。本当に助かるよ」
「ふん、これくらいどうってことないわよ。私が少し本気になれば、生地をこねるのも成形も、一瞬なんだから」
そう、このレーションの製造ラインを支えているのは……手先の器用な俺と、驚異的な作業効率を誇るアオイとアカネのスライム娘コンビだ。
おかげで、品質に一切のブレがない『冒険者レーション』が毎日大量に、量産できている。
「ご主人様、ビギナリアの商人ギルドから……レーションの追加発注が、さらに倍の量で届いていますわ。リネットちゃんが『これ以上は村の在庫が足りません』って、嬉しい悲鳴を上げていました」
調剤所でポーションの精製を終えたアオイが、クスクスと笑いながら報告してくれる。
「嬉しい悲鳴か……でも、原材料の買い取りでフィオナ村の農家は、みんな潤ってるし……最近じゃ隣の村の村長たちまで『ウチの芋や麦も買ってくれ』って頭を下げにくるようになったからな」
拠点を自分たちで使いやすいように工夫して建てた時は、まさか数ヶ月で辺境の村が「一大流通センター」のようになるなんて、思ってもみなかった。
でも、これが俺たちのやり方だ。
力で奪う勇者ランドルフや、目先の金や欲望のために仲間を裏切った『リジェクテッド』の連中とは違う。俺たちは、関わった人全員を幸せにしながら……世界一の商会へと、のし上がっていく。
この『冒険者レーション』と同じように『フォルトゥーナ商会』の主力商品になっているのが、魔法薬である『ポーション』だろう。この『ポーション』は今までは、ダンジョンで稀に見つかる程の希少なモノだった。
それをアオイとアカネのスライム娘達の回復薬作成をベースに、錬金処理した魔法薬になる。
この『ポーション』は現在、『中級と下級』のみ。アオイとアカネが作れる回復薬がまだ……そこまでなんだ。
だからいつかは、上級も出来るようになるだろう……
それよりも希少価値の高いポーションが売り出される事になり、すぐに報告したのは『商業ギルド』のギルマスだ。凄くありがたい存在だ。
そして、変な団体などから守って貰う為に、商業ギルドを通してのみ取り引きをする事に……もちろん、商業ギルドに優先的に、商品を卸す事を約束した。
持ちつ持たれつの関係で、信用出来る。
そして、ドワーフコンビによる、武具類の販売だ。
実は『特級魔鋼』にはさらに、上級にする方法があったのだ。鍛冶工房へ足を踏み入れると、物凄い熱気が俺を襲う。それが……
「……アカネ様ファイアーーーー」
青白い炎が『特級魔鋼』を熱するアカネの姿があった。十分に熱した特級魔鋼をドワーフコンビが交互に打つ。飛び散る火花も美しい色で鍛冶工房に花が咲く。それを繰り返し……
「アオイの聖水〜〜です」
アオイが出した、深い群青色をした水につける……さらにアカネが熱して、ドワーフコンビが打ち合い、アオイが冷やす。
こうして出来た武器は、魔力を流しやすくなる。
そこに、各属性の魔石をはめ込むと完成したのは……『属性魔剣』だった。
この『属性魔剣』は、魔法が使えない前衛剣士にとっては夢のようなアイテムだ。また鑑賞用としても高い価値があり、貴族達もこぞって買いにくる。
使っている材料も『特級魔鋼』でアオイとアカネ、ドワーフコンビの合作になる為に虹金貨5枚はかかる。
それでも予約が凄い事に……




