拠点に集まる家族
「「「おかえりなさいませ、旦那様」」」
ビシッと左右に分かれて列を作り、お出迎えしてくれる執筆ハンスとメイド長マーサの夫婦。それに習えと列を作る元村娘5人組だ。そう、5人組はメイド兼『フォルトゥーナ商会』の店員を、して貰う事になったんだ。
「うん、ただいま。変わりはないかな?」
俺とアオイとアカネも続き、その後に冒険者パーティーの新人達も……玄関で倒れ込む。
ヤレヤレ、明日からもアオイのシゴキが、ヤバそうだ。アオイは、新人を見て微笑んでるし……
「みんなも、慣れてきたかい?」
ハンスとマーサに続き、礼をしていた5人組に話した。
前からココア、ミリー、ネネ、シャロン、ユリだ。
ココアは茶髪のおさげ髪で15歳、ミリーは緑髪のボブカットで14歳、ネネはピンク髪のロングで17歳、シャロンは金髪のポニーテールで16歳、ユリは黒髪のパッツンで15歳。
14歳から17歳の女子5人組だ。オークショニアによると『生娘』なんだって……ここ大事。
全員が村の飢饉で、売られた娘達だ。確かに最初は栄養失調でガリガリだった娘達だが、ここに来てからは毎日美味しいご飯をしっかり食べて……本来の健康的な、可愛らしさに戻りつつある。
本当に、良かった良かった……。
「はい。旦那様のおかげで、毎日のお仕事がとっても楽しいです」
茶髪のおさげを揺らしながら、ココアが元気いっぱいに答えてくれた。
「ハンス様の講義はちょっと難しいですけど、みんな一緒に頑張って帳簿の付け方を覚えています」
緑髪のボブカットを揺らしながらミリーが微笑むと、隣でピンク髪のロングをいじっていたネネも
「そうそう、ハンス様ってば意外とスパルタなんだから〜」
とおっとりとした口調で同意する。
「私はフォルトゥーナ商会の制服が可愛くて、毎日着るだけでモチベーションが上がっちゃいます」
金髪のポニーテールを誇らしげに揺らすシャロンに続き、最後尾にいた黒髪パッツンのユリが……少し頬を赤らめながら、モジモジと俺を見つめた。
「……旦那様が、私達を救って、毎日温かいご飯をお腹いっぱい食べさせてくれるから……私達、旦那様のためならどんなことでも頑張れます」
健気で、純粋な感謝の言葉。
それを聞いたマーサさんが、目尻を下げて
「ホホホ、アナタ達。お喋りは、そこまでですよ。旦那様は、お疲れなのですからね」
と優しくたしなめる。
◆◆◆◆
俺達は新たに構えた拠点を『フィオナ村』の迷宮都市ビギナリア側の土地に、自宅兼店舗を建築した。さらにその奥には、工房を建てて生産も行えるようにした。
「おお、帰ってきたか……」
奥からは煤で汚れたドワーフ族のバルカンと、一緒に同じドワーフ族のドラン親方が現れた。ドラン親方は迷宮都市ビギナリアで鍛冶師をしていた。『特級魔鋼』を卸していた鍛冶屋のオヤジだ。俺達『フォルトゥーナ商会』がフィオナ村に移転するのを聞いて、迷宮都市ビギナリアの店舗を売り払い着いて来てしまったのだ。
『ルディの所に来れば、特級魔鋼を打ち放題じゃ。なら、来るじゃろう』
う〜ん、今聞いても意味が分からん……とりあえず『フォルトゥーナ商会』の生産関連をバルカンとドランの2人に任せて、俺達も冒険者の合間に手伝いをしている。何気にアオイはもちろんだけど、アカネも手先が器用なんだ。意外だろ〜。まぁ、俺と一緒で、生産系のジョブも使えるからね……
「クソッ、足がガクガクだ。俺だって、元Bランク冒険者なのに……」
ライオンの血が入った獣人族のガルバが、ヨロヨロと歩く隣で『白い女帝』ジェシカ嬢が
「私は魔法は学園でもトップの成績だったのに……何なんですかあの人達は?」
『蒼穹の月』のルーナも……
「そうだよね……私は、魔法も弓も得意なんですよ。それが全て弾かれた。始めての経験ですよ」
のじゃロリ娘『天狐』のリンだけは、まだ元気だった。
「うむ。なかなかに、実りのある訓練だったぞ。妾も鈍ったモノぞ」
戦闘班もお風呂で汚れを落としたようで、ヨロヨロと集まってきた。
そこに『フォルトゥーナ商会』のメンバーも、リネットを始めとする24名も本日の営業時間を終えて……隣接する店舗を閉めて、戻って来たようだ。
「あっ、ご主人様。本日の業務は滞りなく、終了致しました」
リネットが俺を見つけ駆け寄り、報告してくる。ははっ、本当に真面目だね。少し営業が終了したら、気を抜いてもいいのに……
「ああ、お疲れ様。リネットにみんな。今日も、ご苦労様だったね」
「ご主人様……温かいお言葉、痛み入ります。しかしフォルトゥーナ商会は、まだまだ大きくなります。我々に任せて良かったと思って貰えるように、精進したいと存じます」
おお、リネットの圧が凄いモノだ。しかし……
「ありがとうね、リネット。だけど無理はダメだよ。週休2日は絶対に守って。労働時間も8時間のみ。これは絶対だからね」
ここで冒険者ギルドの受付嬢フィオナさんも、帰って来て全員が集まった。
「ただいま帰りました。皆様お揃いなんですね」
全員が俺に注目する。
「良い機会だから、覚えておいてくれ。俺達は家族だ。だから何でも言ってくれ。俺達の財産は、金でもこの家でも物でも技術でもない。周りをみてくれ。ここに集まった人なんだ。だからまずは、周りで困っている家族がいたら手を貸して協力してくれ」
みんなからキラキラとした視線を、送られるのだった。納得してくれたかな……




