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寝取られ裏切られた最弱テイマー〜逆境を跳ね除け相棒のスライムと最強へ成り上がれ。許して?やり直して?絶対にイヤだね〜  作者: 月鈴
オークションと新しい仲間

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商人ギルド員は語る

【商人ギルドのベテラン職員視点】


 オークション開催後から、迷宮都市ビギナリアで変革が起きている。最近、市場で頻繁に取り引きされる商品には1つの商会が関わっている。

 いや、その商会が独占している商品が複数ある。


 アレは……オークション開催前の出来事だ。突然、商人ギルドのギルドマスターが、ある冒険者パーティーと懇意にしだした。その冒険者パーティーは『セレスティアル・ガーデン』と名乗り、破竹の勢いで新人冒険者の集まる迷宮都市ビギナリアで1番の冒険者パーティーになった。その当時は、たった3人のパーティーだったが……それでも、誰も敵わない。


 そんな彼らは、商会を持っていた。始めはリーダーであるルディ氏が持ち込む『魔鋼』の取り引きの為だったらしいが、ある日から更に特別な『特級魔鋼』を扱い……我々を、沸かせたのだ。この『特級魔鋼』は貴族はもちろん、王族まで欲しがる程の品でルディ氏の注目度はウナギ登りだ。それでも、ウチのギルマスは情報を秘匿して、窓口を商人ギルドへと一本化させた。おかげでルディ氏からの、商人ギルドへの信頼へと繋がった。


「流石はギルマスだ。冒険者ギルドはルディ氏を廃する方向だったのに、商人ギルドは逆を行き……見事に迷宮都市ビギナリアの商人ギルド始まって以来の、増収増益だ。見習わないとな」


 ◆◆◆◆


 …………と、思っていたのは数ヶ月前までだ。

 現在はまるっきり、人の流れが変わってしまった。それもこれも、あの時の商会……ルディ氏の『フォルトゥーナ商会』の台頭だろう。『魔鋼関連』だけでは無く『ポーションなどの回復薬』や『武器・防具類』や『魔道具』までも扱い出した。その全てが、商会オリジナルで……いまだに、どの商会にも真似する事さえできなかったのだ。


 本当にウチのギルマスのおかげで、商人ギルドは『フォルトゥーナ商会』とは懇意を続けられてるから……一定数を、優先して納品して貰えてる。本当に、ギルマスは先見の明がある。


 それだけではなく、現在は拠点を『フィオナ村』に移しているので『フォルトゥーナ商会』の品が欲しい商人や購買者は……みんな迷宮都市ビギナリアを出て『フィオナ村』へと向かってしまう。


 あっ、ちなみに聞いた話だと『フィオナ村』っというのは、ルディ氏に村の発展に協力したとのことで村長より命名権を与えられて……


「えっ、命名権? う〜ん。確かに村だけじゃ不便だしね。フィオナさんがいるから、俺達もここに住んでるから『フィオナ村』でいいんじゃないかな……」


「もう、ルディ君。恥ずかしいじゃない」


 ポカポカとルディ氏の胸を叩く、フィオナさんにみんながホッコリとした……らしい。


 コホン、この『フォルトゥーナ商会』の店舗をフィオナ村に置いた事により、人の流れを作ってしまったのです。そして、ルディ氏と交流のあったウチのギルマスは、さらに商人ギルドの支店を『フォルトゥーナ商会の店舗』の前にオープンさせてしまった。どのような報告書を書けば、そんな力技が出来るのだろうか……ギルマスに聞いても、笑って誤魔化された。


 その他にも迷宮都市ビギナリアでも、1番の鍛冶師でもあるドワーフの親方も……フィオナ村へ引っ越してしまって、冒険者含めて鍛冶仕事を頼みたい連中は大騒ぎだったな。


「ドラン親方がいない? 嘘だろ、俺の剣の打ち直しはどうすりゃいいんだ!」


「フィオナ村へ移ったんだろ? なら、フィオナ村に行けばいいだろ。往復で数時間だけだし、あそこに行けば親方の最高級の武器もある。フォルトゥーナ商会の特級ポーションも、全部手に入るんだからな……それに最近では、あそこが売り出した携帯食料『冒険者レーション』が熱いんだよ。これでマズイ非常食とはおさらばだ。何より日持ちするし、安くて美味い」


 そんな会話が、今やビギナリアの日常茶飯事だ。

 おかげで、かつては新人冒険者と商人でごった返していたビギナリアの街は……今や完全にフィオナ村へ「ストロー現象」のようにヒト・モノ・カネを吸い上げられ、目に見えて活気を失いつつある。


 その影響を一番最悪な形で食らっているのが、あの冒険者ギルドだろう。

 何より、冒険者ギルドの拠点をフィオナ村へと変更する、新人冒険者が激増しているのだ。『セレスティアル・ガーデン』だけでも冒険者パーティーの売り上げは規格外だというのに、そこに大量の新人があちらに移ったことで……完全にギルド間の勢力は、逆転現象が起きている。


 そして、ルディ氏が迷宮都市ビギナリアを離れる原因にもなった、冒険者パーティー『リジェクテッド』の現状は……もはや目も当てられないほど、酷いモノだった。


 あのオークションで、彼らが獲得したという奴隷が完全にハズレだったのだ。

 北海を荒らし回った、バイキング『虐殺の悪魔』ことシーデビル二世……ヤツはオークション会場で、単に大人しい猫を被っていただけ。


 隠し持っていたスキルを解放したヤツは、虎視眈々と機会を伺い……今や、リジェクテッドを「自分のためのパーティー」へと完全に隷属させてしまった。

 元々のリーダー格だったブリッツとエドガーは、ほぼ舎弟扱い。ルディ氏を裏切ったエスナとミラにいたっては、完全にヤツの性欲処理に使われるだけの道具に成り下がっている。

 ルディ氏を罠に嵌めた受付嬢エマールも、性奴隷に加わり、さらに実家の金までヤツに巻き上げられているともっぱらの噂だ。


 本来、あの『虐殺の悪魔』は、オークションの舞台で『セレスティアル・ガーデン』に入るはずだったという。だが、ルディ氏は一目見てあの化け物の本質を見抜き……即座に、拒否したらしい。

 ……やはり、本物の英雄というのは持っている運の次元が違うのだろう。


「さて、今日もフィオナ村からの、特大の取引が始まるな」


 私はデスクの書類を叩くと、最高に晴れやかな笑顔で立ち上がる。

 冒険者ギルドの愚か者どもを他所に、これからも私は……ルディ氏と極めて強固な懇意を貫く、我がギルマスに……一人の商人としてどこまでも、ついて行きたい。その極意をいつか、教えて貰うためにも――。

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