女同士の会話
【木漏れ日亭看板姉妹長女リラ視点】
いつも泊まってくれていたルディ君が、また沢山の女の子を連れてウチの宿屋を訪れました。私とあまり年も違わないのに、冒険者として頑張っていて凄いな……って思っていたのに。
「ルディ君のスケベー。綺麗なお姉さん、ばかりじゃない。でもね……アオイお姉さんとアカネちゃんは、初めて会った気がしなかったんだよね」
脱衣所で、連れてこられたお姉さんたちの服の片付けを手伝いながら……私はこっそり、唇を尖らせていた。
だって、いつも一人で素朴な格好をしていたルディ君が、急にこんなにたくさんの……それも信じられないくらい綺麗な人たちを連れて、帰ってくるなんて思わないじゃない。
「リラちゃん、キラちゃん、お手伝いありがとうね。とっても助かるわ」
青い髪の、まるでお姫様みたいに綺麗で優しいアオイお姉さんが、私にふわりと微笑みかけてくれる……うう、やっぱり初めて会った気がしない。
「べ、別にこれくらい普通だよ。それよりアオイお姉さん、ルディ君とはどういう関係なの? いつの間に、こんなに沢山のお姉さんたちを……」
私が我慢できずに尋ねると、隣で赤い髪のツインテールを揺らしていたアカネちゃん。私と歳が近そうなのに、すっごく発育が良くて可愛い女の子が……フフンと、鼻を鳴らした。
「ルディは私とアオイの『旦那様』よ。だから浮気じゃないわ」
「ええっ。だ、旦那様?」
私とキラは、思わず持っていたタオルの束を落としそうになった。ル、ルディ君の奥さん? しかも二人同時に? ルディ君はお貴族様なの?
「ウフフ、そうですわ。私共は主様のものですわ……良い機会ですね。皆様〜、聞いて下さいな。皆様はこれから築く、主様のハーレムの一員として選ばれました。おめでとうございます」
「えっ、えっ、ええぇぇぇぇ! ルディ君……全員なの?」
私とキラの叫び声が、お風呂場の高い天井に響き渡った。やっぱりエッチだ〜。
全員って、今ここにいるお姉さんたち全員? ん? 全員って私とキラもかな?
「は、ハーレム、ですか?」
白い髪の、すごく綺麗なお姉さん……ジェシカさんと言うらしいです。その豊かな胸元を隠すように両腕で抱きしめながら、ぽっと頬を赤く染めた。
「私は没落したとはいえ、元貴族の身。旦那様が側室を迎える事に、違和感は御座いませんが……流石に人となりは、見極めさせて頂きますわ」
凄いな……奴隷のお姉さんなのに、堂々と自分の主張をしているしね。高貴なオーラが眩しいのです。
「妾も、ルディ兄上様のハーレムなのじゃ? じゃあ、毎日美味しいものを食べさせて貰えるなら文句はないのじゃ」
狐耳のリンちゃんが、四本の尻尾をプロペラみたいに激しく振り回して大はしゃぎし始めた。カワイイなぁ……触ったら怒られるかな……
「リン、静かにしなさい……って、えええっ? わ、私も、その、ご主人様のハーレムに……」
エルフのルーナお姉さんまで、長い耳を真っ赤にしてピコピコ動かしている。
「だ、だってエルフは生涯一人の伴侶しか、愛さない種族なのよ。それを、出会ったばかりの人に……でも、あの温かい手で頭を撫でられた時、なんだか胸がキュンとしたような……うう、どうしましょう……」
ダメだ、新入りの美人なお姉さんたちが、アオイお姉さんの言葉で……あっさりとルディ君のハーレムを、受け入れ始めてるし……
「「「私達も?」」」
同じ村出身のお姉さん5人と、商会の女性達も……
ルディ君、どれだけ女の子に手を出せば気が済むのよ。
「フフン、当たり前じゃない。アナタ達もその目で見ていたはずよ。アイツ程、優れた男が何処にいるのかしら……冒険者としても、商人としても、生産者としても成功を収めているのよ……その上でアナタ達の扱いも……奴隷なら今、このお風呂なんか入ってられないわ。ご飯も、これから用意してくれる。恐らく、主人であるルディと同じ食事がよ」
アカネちゃんの言葉に、全員が気が付く。
確かに、そうなんだよね……私も忘れそうだったけど、お姉さん達は奴隷なんだよね。
「だから、もしも嫌なら私からルディに言ってあげるわ。ウチの子でいたいなら、素直になる事ね。私とアオイは、ルディに全てを託すわよ。アナタ達も覚悟が無いなら、去りなさいな」
「ウフフッ、アカネ。あまり皆様を、驚かせるものではありませんよ。じっくりとお考え下さい……しかし、裏切りだけは私もアカネも赦しませんよ。一度でも、受け入れたなら……主様がもう、キズつく事を私達は赦しません……何故なら……」
アオイお姉さんから語られた、ルディ君の故郷での出来事……親友に裏切られ、婚約者に裏切られ、家族に裏切られ、幼馴染に裏切られた。
そんな、悲惨な過去。そして、さらに迷宮都市ビギナリアでも、仲間達に裏切られた。
それを知っている、アオイお姉さんとアカネちゃんは……お姉さん達も、真剣に悩んでいるようです。
そこに、私とキラの肩をお母さんが抱いて……
「アナタ達も真剣に、ルディ君と付き合いたいなら覚悟が必要ですよ。浮ついた気持ちなら、今すぐに止めときなさい。あの子達は……本気よ」
今はまだ、私も答えは出ないけど……




