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第11話で世界は滅びる

 あ……ありのまま今起こったことを話すね。

 カツアゲ部のいじめから天井くんたちを助けるために先生を探してたら、いきなりガラガラガラガラガシャーってまるで体育館が崩れたような音がしたの。っていうかまるでじゃなくって本当に体育館が崩れてた!

 そして中から巨大なドラゴンが出てきてガアアアアアアアアッてすごい声出したかと思ったら隣の校舎をツメの一振りで破壊!!

 私これからどうなっちゃうの~!?


 ……いや本当にどうなっちゃうの。

 全然シャレにならないんだけど。


 これ紅葉くんも天井くんもカツアゲ部もいじめられてた男子も全員死んでない?

 いやちょっとまって。


 っていうかひょっとしてアレ……私が、倒さないといけないヤツじゃ……ない、よね?


 ねえ、違うよね。

 あんなのと戦ったら普通に死ぬもんね?


 ねえ、なんとか言ってよ。ねえ。

 誰か説明して? マストさん?


    ドグアシャッ!! (爆音)


 えっちょっと。

 すっごい至近距離になんか飛んできたんだけど。

 風圧で髪がめちゃくちゃ。


 これは……ドラゴンが壊した校舎の破片っぽい、ね。

 10センチずれてたら直撃して死んでた……?


 ははっ、はははっ。

 あははははは!!


 うっわーなにこれ?


 えー? 世界って今終わるの?

 私今渡り廊下にいるけど、向かいの校舎の窓越しに逃げまどってる人たちが見える。

 絵面が完全に修羅だもん。


 あっ、写真撮ってる人もいる。

 学校でスマホは禁止ですよー。


 なんで私は逃げないのかって?

 足がすくんで動けなかったからです。


 なんならお漏らしもしてたかもだけど直前にトイレに行ってたおかげで漏らさずに済みました。

 ね? 便所飯って効率的でしょ?

 ま、どーせ死ぬから効率もなにもないけどね。


 今は足動かせるけど今更逃げても遅いし。

 周りに人もいないしさ。


 世界は滅びるんです。終わり。閉廷!

 この間のヘビなんかとはスケールが違うよねスケールがね。


 このまま人間みんな死んでおしまい。

 そんな終末もあったっていいんじゃないかな。


 私はぜーんぶあきらめちゃいました。

 それではみなさん次回作でお会いしましょう。

 作者はスターシステムを採用してるんでまた出れることを祈ります。


 おそらきれい。


 んー。なんか人間みたいなのが飛んでる。

 そんなんじゃ驚かないよもう。

 女の人みたい。親方! 空から(以下略)


「あーもう! バカバカバカ! バカなことしちゃうんだから! 眷属と飼い主が同一存在なら循環参照でエラー吐くに決まってるじゃないの!」


『ガアアアアアアアア!!』


「自分の闇に自分で魅入られるなんてまったくどうしようもないナルシストね! 強けりゃいいってもんじゃないの! 私はあんたと世界を闇に……!」


『ガアアアアアアアア!!』


「さっきからガーガーうるさい!!」


 すごーい。

 なに言ってるか全然聞こえないけどなんかドラゴンに怒ってる。

 ドラゴンはお姉さんそっちのけで校舎を壊してるけど。

 この人は敵なの? 味方なの?


「おーい! お姉さーん!」


 私は飛んでるお姉さんを大声で呼んだ。

 なんで呼んだのかは自分でもわかんない。


「あら?」


 お姉さんが私の方へ近づいてくる。

 うっわ、よく見ると露出が多い。

 やばい人だ。


「はーい♡ デスナちゃん参上!」


 いたたた……。痛い人だ。

 自分でちゃん付けかあ。

 アサちゃん困っちゃう。


「さあて。私を呼んだ理由はなあに? 勇気、好奇心、夢心地、それとも腰抜け、命乞い?」


 うーん?

 全部当てはまってるようで、どれも違うような。


「なんだろう。本能かなあ……」


「本能! そうよねそれ大事! あなたみたいな人間好きよ。誰かさんと違ってね!」


「すすす、好きぃ!?」


 聞いた? 今私のこと好きって!

 生まれて初めて言われちゃった! 相手は女の人だけど。

 死ぬ間際に好きって言ってもらえる人間ってどのくらいいると思う?

 やっぱり私って恵まれてるよね。


 ……っていうかこの人何者なの!?(今更)


「ええっと、デスナさん? 空飛んだりしてますけどいったい何者なんですか?」


「ふふふふふ。神様って言ったら信じる?」


 こんな変態が神様だなんてそんなわけ……。

 あっ、神様だ。うん。(誰かさんを思い出した)


「あれー? あんまり驚いてないのね」


「いえ結構驚いてますけど……」


 ちょっといろいろあり過ぎて感覚壊れたかも。


「ふふーん♪ 私は闇を司る神『ハーデス・トロイ・ナイトメシア』よ。あなたのお名前は?」


 えっ? ハーデス・トロイ……なに? フルネーム?

 デスナちゃんは略称なの?


「わっ、私のお名前は、三楓有沙です」


「アサちゃんね。んー。朝って嫌いかなー明るくて」


 き、嫌い!? ガーン。ショック。


「や、夜行性なんですね」


「そうでもないけど」


 ハーデス・トイレ……じゃなくてええと、デスナちゃんが怪訝そうな顔をした。


「あっ、はい。そうですか……」


 うわー、なんだろうこの人。

 話しやすいけど話しづらいっていうか……。


「そろそろいいかしら? 見ての通り私とっても忙しいの」


「えっと、今何してるんですか?」


「それはねぇ、んーっと、あのデカブツと打ち合わせ。世界をどうやって滅ぼすかとかね」


 そんなことしてたんだ。


「てっきり言うこと聞いてもらえなくて逆ギレしてるのかと思いました」


「……そっ、そんなわけないじゃないこの子ったらもー。私、神よ? 部下が言うこと聞かないなんてありえないわよっ」


 うーん。私は光の神様の部下ってことになるけど、別に言うこと聞く気はないなあ。

 職場によるっていうかなんていうか。


「じゃあデスナさんはあの怪獣を止めたりもできるんですか?」


 私はそれを興味本位で聞いてみた。


「もちろんできるわ。でも止めないわよ。あいつで世界を一度終わらせるんだから。がっかり?」


「別に止めてほしいわけじゃないですけど……」


「ふーん……」


 なんかデスナさんが至近距離で目を合わせてくる。

 目をそらすのも怖いから私も見つめ返してみる。


「……あなたよく見るとカワイイわね。私の眷属になってみない?」


「か、KAWAWA……!?」


 そう、私は褒められるのに弱い。


 でも眷属ってなに?

 マストさんと掛け持ち?


「私の眷属になれば世界が滅びても生き残れるわ。私の言うことも聞かなくていい。悪いようにはしないって約束するから」


 甘い声に甘い言葉。

 デスナさんは目の前にいるはずなのに私は耳元でささやかれる感じがした。


「いや、でも……みんなが死んじゃうなら私も死にたいです」


「ふんふん。そういうタイプね」


 デスナさんは服の下から赤い宝石を取り出した。

 どこにしまってたかは聞かない方がよさそう。


「わ、私あなたの眷属なんて……」


「あーんして?」


 私の唇にプニっと赤い宝石が押し当てられる。


 えっなに?

 それ食べろってこと?

 さっきお昼食べたばっかりなんだけど。(おトイレで)


「イチゴ味だよー」


 ううっ。食べたい。

 宝石(デザート)は別腹!

 んぁ……。



「なにをしている! その子から離れろ!」


 あれっ? この声は。

 6話ぶりのあの人!


「チィッ……」


 デスナさんが舌打ちをして私の唇から宝石を離す。

 そして陽気な感じで声の主に話しかけた。


「あーらマルちゃん! おひさしぶり! 今日は私になんの用?」


 マルちゃん?

 なにそれあだ名?

 タラコとラーメンどっちの方の?


 マルちゃ……マストさんは私とデスナさんの間に降り立った。


「ハーデス。その子になにをしていた」


 マストさんがデスナさんを鋭くにらむ。

 私にまで迫力が伝わってきた。

 この人、腐っても神様なんだ……。(失礼)


「別にー。ちょっと助けてあげようかなって」


 デスナさんは軽い感じで返すけどさっき私と話してたときとも雰囲気違うみたい。意外とあせってるのかも?


「助けなら必要ない。私が全て助けるからな」


「へっ、気持ち悪ーい」


 デスナさんはそっぽを向いて宙に浮き上がった。


「ふーんだ。あんたは誰も助けられませーん! あんたの眷属がどんだけ強くても、私の最強のしもべ呪厳竜(じゅげんりゅう)ちゃんに勝てる人は世界のどこにもいませんよーっだ!」


 デスナさんは暴れてるドラゴンの頭に乗った。

 しれっと名付けてるけど、そこに立つの危なくない?


「ほらほらやっちゃえーっ!」


『グギャアアアアアアア!!』


 ドラゴンは大声をあげて背中の翼を震わせて頭の上のデスナさんを吹き飛ばした。


「ちょっ……きゃあああああ!」


    キラーン☆ミ


 デスナさんは空の向こうへ飛んで行っちゃった。

 あーあ、だから危ないって言ったのに。(言ってはない)


「大丈夫かアサ!」


 マストさんがいきなり私をギューーっと抱きしめてきた。

 なんだろうフワフワいい匂いがする。

 ぽかぽかの光にくるまれてるみたい。

 ここに永住したい……。


「デスナになにかされたのか?」


「ちょっとお話をしてました……」って答えたけどマストさんが強く抱きしめてくるものだから声がちょっとモゴモゴになっちゃった。


「アサが光の眷属であることは知られていないか?」


 それは……どうだろ。

 言ってないし気づかれてもない?


「たぶん大丈夫です」


「よかった。君が無事で……よかった……っ」


 マストさんの瞳から流れ落ちた涙の粒が腕の中の私の額につたう。

 私のこと本気で心配してくれてたんだ……。


「マストさん……」


「アサ……」


 私は顔を上げ、互いに見つめ合う。


「君の力で呪厳竜(じゅげんりゅう)を倒そう!」


 はあ!?

 やだやだやだやだやだー!!!


「ちょっと、離してっ、離してくださいっ」


「大丈夫。君ならできる。デスナが戻ってくる前に!」


 私は彼の腕に抱かれたままドラゴンの元へ引きずられていった。

 あーん。こんな世界ほろべえっ!

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