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貫き通せ我が騎士道  作者: 神木ユウ
第3章 清風国ウィンド
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第114話 閑話:清風剣の解析作業

 閑話4話のラストです。

 ここは大陸中央、封印の壁で囲われた地の東側。デスディ様が統治する地域のとある街にある研究所。その中で、デスディ様が清風剣の解析を行っている。わたしはその補助だ。

 清風国の王都を襲撃した際、城に忍び込んで剣を取ってこいと言われた時は生きた心地がしなかったが、こうして未知の物を研究出来るなら、頑張った甲斐もあるというものだ。


「ヘシタル、どうですか、そちらは」


「問題ありません。これまで大地剣、流水剣を解析してきましたから、大体の要領はつかめています」


「そうですか。ではそのまま継続してください」


 そう言って自分の作業に戻っていくデスディ様。周囲ではわたしと同じ立場の幹部が更に2人、作業を行っている。

 デスディ様の部下はそのほとんどが研究員だ。幹部という扱いであるわたしたちも同様。戦闘が出来ない、得意ではないという者も多い。

 わたしはそれらの中では戦闘が出来る方。だからと言って、世界トップレベルが終結しているあんな戦いの場に連れて行かないで欲しいというのが本音だ。


「ふぅ、一段落かな。休憩を入れますかね」


 休憩するために飲み物を取りに食堂へ行く。その途中、


「あ、ヘシタル様! お疲れ様ですー!」


「ヘシタル様ー! あたし、明後日休みなんですけど、予定開いてますか?」


「ちょっと! 抜け駆けするんじゃないわよ!」


 研究員として共に働いている女性たちから声をかけられる。

 実質的に、デスディ様の部下たちのトップであるわたしは人気がある方だ。何せデスディ様は研究ばかりでヒョロヒョロであるため、見目が良いとは言いがたいからな……。

 自分で言うのもアレだが、わたしは比較的見た目も良い方だ。立場もある。人気が出るのも、まあ自然なことかな、とは思う。

 男として満更でもないのだが、こういう話がデスディ様の耳に入ると、


「楽しそうですね。そのような余裕があるのなら、更なる開発に力を入れ、より高度な物を生み出そうとは思わないのですか?」


 などと言って不機嫌そうにされる。別に本当に全ての力を研究、開発に注ぐべきだと考えている訳じゃない。

 研究ばかりのあの人も、人気が欲しいとは思っているんだ。ただの嫉妬。あれで子供っぽいところが目立つからな。

 清風国の王都に襲撃した際、わざわざ都市中に聞こえるように存在を喧伝したのも、自分の発明品を自慢したいからだったりする。


「凄い道具を色々生み出しているんだから、あとはもっと器が大きければそれなりの人気も出ると思うんだけど」


 ドラゴ様は見た目は異形だが、物凄い人気がある。いつも堂々として、皆に優しく、明るい雰囲気があるから、一緒にいて楽しいんだ。

 対してデスディ様は、普段は無表情だし、笑えば嫌みっぽい、出てくる言葉も嫌みっぽいとくれば、よほどの物好きでなければ楽しいとは思わないだろう。


「研究者としては尊敬出来るんだけどな」


 ここで働いている皆が理解している。デスディ様が生み出す物はどれも凄い物ばかりだ。だから尊敬はしている。

 それと人気があるかはまた別問題。こればかりは仕方がない。


「さて、そろそろ解析作業の続きを始めるかな」








「あと一つか。いよいよその時が近づいているな」


 そうね。あなたの終わりも近いわ。


「くくく、この状況を見てよくそんな前向きな考えを持っていられるものだ」


 人間は強い。あなたの思う通りになんてならない。


「我の考えはわかっているのだろう?」


 ええ、わたしの考えもわかっているでしょう?


「我の思い描く未来に比べ、お前の考えのなんと曖昧なことか。そんな儚い希望にすがらなくてはならないお前が哀れで仕方ない」


 その儚い希望に全てを懸けて、それを掴み取るために進み続けて、最後にはそれを手にするからこそ、人間は強いのよ。


「まあ良い。その希望も打ち砕き、全てを絶望に染めてくれよう」


 例え希望が打ち砕かれても、人は立ち上がる。絶望に染まったりしないわ。あなたこそ、自分の思い描く未来が砕かれて絶望しないように、せいぜい心を強く持つことね。


「そのようなことはあり得ない。四天王1人にすらまともに勝つことが出来ない連中に何を期待しているのか」


 人は成長する。今がどうだなんて関係ないわ。彼らは必ず更に強くなってここまで来る。そしてあなたを打ち倒し、世界を救うのよ。


「確かに、ここまでは来てもらわねば困るな。我も期待して待つことにしよう」




 お願い、頑張って……。祈ることしか出来ないけれど、あなたたちの勝利を願っています。

 明日から本編に戻ります。

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