第111話 閑話:ライラ式ハーレム円満方法
閑話4話の1話目です。
「……行きましたか?」
「……大丈夫ッス。もう行ったッスよ」
普段なら何もすることがなくとも、兄さんと一緒に鍛錬場に向かうところ。
でも、今はそれより優先することがある。
「ライラ、出てくるッス」
「はいはい。じゃ、行こうか」
兄さんが歩いていったのとは逆側からライラが来る。
そしてそのままあたしたちの前に立って歩き始めた。
「どこに行くッスか?」
「ウチの研究室。あそこなら誰も居ないからね。自由に話が出来るよ」
ライラの研究室に入る。相変わらず足の踏み場もない。
「ライラ、少しは整理したらどうッスか……?」
「これでもどこに何があるのかはちゃんとわかっているから、気にしないでよ」
気にするなと言われても、全くくつろげない。
「まあ今は良いッス。それで、何の話ッスか?」
「君たちはユーリ君のことが好きだ。それは間違いないね?」
「っ! いきなりッスね」
「ばれていることはわかっていますし、隠すようなことではありませんわね。確かに、間違いありませんわ」
隠そうともしていないんだから、ばれているのはわかっていた。多分兄さんもわかっているはず。
「それについて、君たちがこれからどうしていきたいのか、聞いておこうかと思ってね」
「……それをライラさんに話すことに、何の意味がありますの?」
「簡単な話さ。もし君たちがユーリ君を中心としたハーレムを築こうという気でいるのなら、協力する」
「協力? どうやってですの?」
「ウチは君たちに感謝している。3人とも幸せに暮らして欲しい。そう思っている」
ライラらしくない、とても真剣な表情で告げられる。
「だからね、ユーリ君には君たち二人ともを受け入れて欲しいし、君たちは二人共がユーリ君と結ばれることに納得して欲しいと思っているんだよ」
「以前エイミーさんとも似た話をしたことがありますわ。私たちは、ユーリさんが受け入れてくれるのなら、二人一緒でも良いと思っています」
「そうッスね。あたしは兄さんとずっと一緒にいるつもりッスから、クラリスの手助けをしても良いみたいな話をしたことがあるッス」
「そうか、良かった。安心して良い。ユーリ君も二人共を受け入れるのも満更じゃない様子だったから」
それは嬉しい情報ではある。でも、ライラは知らない。兄さんがあたしとクラリスの二人を選ぶとは限らないことを。
「ライラは知らないかもしれないッスけど、兄さんは多分あたしたちより、姫様のことが好きだと思うッス」
「姫様……?」
兄さんも結構ライラには気を許しているみたいだし、話しても大丈夫かな。
ざっと姫様、リリエル・グランソイル第二王女と兄さんの関係を教える。
「はぁ……。まだそんな相手がいたのか……。まあ彼は世界中で人助けして回っているようなものだし、どこかにはいるだろうと思っていたけれど、よりによって彼もその相手が好きだなんて……」
「だから、大地国に帰るまでにユーリさんを落としたいのですわ。色々やってはみていますが、旅の途中でこちらの想いに応えてくれる気はなさそう、というのが現状ですわね」
「それにしては彼は二人を受け入れることに前向きだった気もするけれど……。わからないな。もしかして3人まとめて受け入れるつもりなのかな?」
「で、流れちゃったッスけど、結局どうやって協力してくれるッスか?」
「ウチも君たちについて行こうと思っている」
「え? ついてくるッスか?」
兄さんは多分許可すると思うけれど、本気だろうか。ライラはこの国の公爵であり、局の室長という立場もあるはずなのに。
「大丈夫なんですの? あなたは色々と立場があると思いますけど」
「大丈夫だよ。局の立場なんて押し付けられたものだから未練はないし、部下もいないから誰かに迷惑をかけたりもしないはずさ」
「公爵の立場は良いんスか?」
「公爵が国から出たらいけないなんて決められていないし、問題ないよ。そもそもウチは公爵としての仕事なんて何も持っていないからね」
魔法道具開発の功績で公爵まで駆け上がった訳だから、開発以外に仕事はないってことなのか。
「見聞を広め、魔法道具開発に役立てますとでも言っておけば、誰も文句は言えないはずだよ」
「まあ……ついてくるのは問題ないとしましょう。それで、何のためについてくるんですの?」
「んー……簡単に言えば、彼の愛人になるため、かな?」
「はぁ!? 協力してくれるんじゃないんですの!?」
「それじゃむしろ敵になってるッス! 何がしたいッスか!?」
ライラの言うことはよくわからないことも多いけど、今回は本当に全く意味がわからない。あたしたちに協力するのに兄さんの愛人になる? 全く理解出来ない。
「別に愛人でなくても良いんだけど、要するに彼にとって気安い身近な存在になるんだよ」
「気安い身近な存在?」
「ユーリ君ってさ、きっと色々抱え込むタイプだと思うんだよね。仮に君たちを受け入れたとして、平等にしないと、幸せにしないとって思いつめている姿が容易に想像できる」
それは確かにそうかもしれない。きっとあたしたちを大切にしてくれる。その代わりに兄さんが疲れていくのは、見たくない。
「だから、何でも相談出来て、どんなことでも受け入れる存在が一人いると、君たちの関係も円滑になるんじゃないかなって、ウチはそう思っている訳さ」
「それは……そうかもしれないッスけど……」
「逆にあなたはそれで良いんですの? 要するに場合によっては、好きでもない男に抱かれることになりますわよ?」
「ユーリ君だったら別に嫌じゃないから、大丈夫だよ」
「……結局ライラが兄さんと一緒にいたいだけなんじゃないッスか?」
「いやいや、言っただろ? ウチは君たち3人に感謝しているんだ。もし望むなら、君たちの相手もしてあげるよ?」
「え……。いや、大丈夫ですわ。私にそういう趣味はありませんので……」
「もしライラの胸が大きかったらお願いしたかもしれないッスねー」
「なるほど……。豊胸方法を考えておくよ」
「ホントッスか!? あたしにも出来るッスかね!?」
「んー、少なくともウチと同じ方法では難しいだろうね。ウチはほら、体が魔力でできているから、何とかなるんじゃないかなって」
なるほど確かに。魔力でできていならどうとでも出来そうではある。
それはあたしには真似出来ない方法。残念だ……。
「もしライラが豊胸に成功したら、触らせて欲しいッス」
「うん、それは構わないよ。自由にしてくれて良い」
「やったーー!! 期待して待ってるッス!」
とても楽しみだ。クラリスの胸と比べてどんな感触だろう。早く触りたい。
「何てふざけた会話ですの……」




