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貫き通せ我が騎士道  作者: 神木ユウ
第3章 清風国ウィンド
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第108話 大人として果たすべき役割

「武術……? 何を言っているのかわかりかねますね」


「だから、今から教えてやる!」


 駆け出す。こんなヒョロい奴は一発殴ってやればそれで終わりだ。


「剛破弾!!」


 殴る。だが、その拳は、透明の壁を打つのみで、奴にダメージが通らない。


「武術というからには、肉弾戦が主体なのでしょう? それではわたしには勝てませんね」


「やってみなけりゃわかんねぇだろうがっ!!」


 連打、連打、連打!

 壁があろうと関係ない。壊れるまで殴るだけだ!



「すいません、それ、反射しますよ」



「な、がはっ!?」


 殴った瞬間、逆に腹を殴られたように吹き飛ばされる。


「あなたにも魔王軍の情報は入っているのでしょう? わたしは四天王だと名乗ったはずなのですがね。そのような一つ覚えの打撃でどうにか出来るなどと思ってもらっては困るのですよ」


「相手が誰だろうと、なんだろうと、俺は俺の武術で貫くだけだ!!」


 起き上がり、腕を振るう。


「剛空衝!!」


 衝撃を飛ばして攻撃するが、やはり壁に阻まれて届かない。


「無駄ですよ。大人しくしていればわざわざ攻撃はしませんから、そこを通してください」


「無駄じゃねぇ。お前だって無敵じゃねぇハズだ。だったら諦めなければ突破口は見えてくる!」


「はぁ、全く。そんな脳筋理論で向かってこないで欲しいのですが……」




「それには同意だな」




「起きたかよ。おせぇなぁ」


「黙れ。貴様のような脳筋と一緒にするな。何も考えていない貴様とは行動までにかかる時間が違うのだ」


 謁見の間に入ってきたのはバードだ。もっと早く来るもんだと思ってたぜ。


「……なぜそのように早く起き上がってこられるのですかね」


「わからぬか。そうであろうな。あのような絶望を無理矢理植えつける道具で人を縛ることが出来るなどと。そんなことを考える輩には何も理解出来ん」


「あれは悪性魔力の性質を利用し、それぞれが最も強く絶望を抱くように造りました。その絶望を当たり前のように跳ね返すなど……」




「舐めるなよ。そのような理論で人は縛れぬ」




「…………」


「俺とて目の前で父親が死んだことを鮮明に思い出させられれば、辛いに決まっている。だが、そんなのは過去のこと。あの日、父の遺志を受け継ぎ国を良くすると誓ったのだ。国を脅かす敵を前に寝てなどいられるものか」


「おいおい、その言い方じゃ、まだ起き上がってこられない連中が弱いみてぇじゃねぇか」


「そこらで寝ている連中は鍛え方が足りん」


「ユーリたちもか?」


「子供を大人と一緒にするな、たわけが。いくら強かろうと、あの子たちはまだ子供。だからこそ、こうして俺たちが戦うんだろうが」


「違いねぇ」


 構える。さあ仕切りなおしだ。あまりもたもたしていると、子供たちが起きてきてしまう。

 大人として、そんな情けないところは見せられねぇな!



「はぁ……。イラつかせてくれますねぇ。仕方ない。少々、真面目にやりましょうか」



 そう言って奴が取り出したのは、銃だ。両手に銃を持ち、謁見の間の奥と入り口にいる俺とバードに向けている。



「消えなさい。デス・ブレイズ」



 放たれる極光。それは謁見の間を容易く貫き、城に穴を開ける。

 銃を向けられた時点で予想はしていた。回避し、突撃する。


「剛鉄槍!!」


 肘での突撃は当然壁に阻まれる。だが、


「クレセント・ショット!」


 バードが持つ銃が連射した魔力弾が、全てカーブを描き、様々な角度から奴を強襲する。


「チッ」


 そこで初めて奴が回避のために移動した。


「剛空衝!!」


 打ち出す衝撃は壁に阻まれる。なるほどな。


「その壁、全周覆ってる訳じゃないみてぇだな」


「だとしたら? それで勝てる気でいるのだとすれば、おめでたい頭ですねぇとしか言えませんが」


「勝てるさ。やっぱり無敵じゃないってわかったんだからな」


「無駄話をするな、たわけ。さっさと仕留めるぞ」


「まあ勝てる気でいるのは好きにすれば良いですが……」




   フォール・プレス




「ぐっ!?」


「な、にっ!?」


 急に体が重くなり、動きづらくなった。


「さようなら」




   デス・ブレイズ




「アトラクト」


 体が引っ張られ、極光を回避した。何が起きた……?



「苦戦しているようだね。助けてあげようか?」



「ライラか。良いところに来た。手を貸せ」


「ライラ、この体が重いの何とかしてくれ」


「まったく、頼りにならない男共だねぇ。これは……あれか」


 ライラが天井のシャンデリアを射撃すると、体の重さがなくなった。


「そんな場所に……。いつの間に仕掛けられたんだ」


「さぁ? 案外最初から、なんてこともあるかもね」




「ピラー・スルー」




「跳べっ!!」


 ライラを抱えて跳び退く。バードも同時に退避している。

 次の瞬間、足元から光の柱が立ち上る。


「剛靭心体!!」


 強化、そして突撃。奴を自由にさせておくと、何が起きるのか全くわからない。

 攻め続けなければ……!


 飛んでくる魔力弾を弾きながら、接近、回転。そして、打ち抜く!!



「剛打・旋転!!」



 突撃と回転の勢いを全て乗せた回し蹴り。その一撃は、奴を守る壁にヒビを入れる。


「なっ!?」


「チャージ・バレット!」


 跳び退く。入れ替わるように、バードの射撃が突き刺さる。

 それは俺が入れたヒビを広げ、奴を守る壁を砕いた。



「イレイザー!!」



 そしてライラの収束砲撃。それは壁の守りが消えた奴を飲み込み、消し飛ばす。


「良し! ()った!」


「倒したか。厄介な敵だったな」


「うーん……。ユーリ君から聞いていた四天王の強さってこんなもんかな?」


 奴が消えたのを確認するため、バードとライラも集まってくる。

 その時、




   デス・ブレイズ




 全く予想できない方向から迫る極光。回避は不可能。



 ならば、



 俺が受ける!!



「ぐっうううおおおおぉぉぉぉ!!!」


「ガルジュ!!」


 ライラとバードの壁になり、極光を受け止める。


「あなたの頑丈さは散々見せていただきました。なので、」



   デス・ブレイズ



 もう一方の手から更に追加で放たれる極光。混ざり、巨大化したその極光は受け止めきれない。


「ぐううああああぁぁぁぁ!!」


 後ろにいた2人もろとも吹き飛ばされる。

 クソッ…! 体中が焼けるように熱い。ライラとバードは無事か?


「ぐっ……」


「ゴホッゴホッ! ……くっ」


 2人のうめきが聞こえる。生きてはいるようだ。


「まだ生きているのですか。とても人間とは思えませんね。ですが、これで終わりです」


 奴がその手の銃を向けてくる。回避しようにも、体が動かない。

 ここまでか……!








 ユーリさん……ユーリさん……!



 声が聞こえる。俺を呼ぶ声が。



 ユーリさん! しっかりしてください!



 そうだ、絶望に飲まれている場合じゃない。魔王軍が攻めてきている。戦わないと。守るべき人を、守るんだ。



(ユーリはわたしたちの宝物よ)



(お前は強くなるぞ! なんたって俺の息子なんだからな!)



 そうだ。母さんも、父さんも、俺を拒絶したりしない。

 俺を大切に想ってくれていた。それを、俺は知っているはずだ。



 誓ったはずだ! 俺は、自分の騎士道を貫く!!




「ユーリさん! 目が覚めましたか!?」


「デュール王子、ボレス王子。お二人が起こしてくださったのですか」


 情けない。あんなまやかしに囚われるなんて。


「さっきから凄い音が城内に響いています。きっと誰かが戦っている」


「わかりました。すぐに向かいます。お二人はエイミーとクラリスをお願いします」


「はい! 任せてください!」


「ユーリさんもお気をつけて」


 リィンを抜き城内の状況を把握。駆け出す。

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