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貫き通せ我が騎士道  作者: 神木ユウ
第3章 清風国ウィンド
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第106話 2人の王子

 モルスを逮捕してから3日過ぎた。今日は褒美を受け取るために城に来ている。

 謁見の間には、俺とエイミーとクラリス、陛下と宰相、王子が2人と王妃、あとはライラもいる。今日はこれだけのようだ。


「此度の働きに褒美を与える」


「ありがたき幸せ」


 拡張袋で受け取る。王からの褒美を受け取るのも、なんだか懐かしい気持ちになるな。


「さて、ユーリよ。楽にして良い。少々話に付き合え」


 話? この褒美とは別件だろうか。


「俺の子の話だ。デュール、ボレス、こっちへ来なさい」


 呼ばれて近づいてきたのは、二人の王子。2人とも緑髪で10歳ほど。顔がそっくりだ。双子だろうか。


「父上! 頼んでくださるのですか?」


「ああ、少し待て」


 王子が2人揃ってとてもキラキラした笑顔をこちらと陛下の間で行ったり来たりさせている。

 王子が俺に頼み? 話したことすらないんだが。


「何を見たのか知らんが、以前から王子たちは剣を使いたがるんだ。だから剣の使い手に師事したいと言って聞かなくてな」


 この国で剣を使いたがるのは、確かに珍しいかもしれない。この国の王子が剣を目にする機会なんてあまりないと思うが、どこで見たのだろうか。


「少しで良いから剣を教えてやってくれないか」


「エイミー、クラリス、良いか? 出発が遅くなると思うが」


「大丈夫ッスよ」


「バーンにももう魔王軍の報告は行っているのでしょう? 構わないと思いますわ」


 そうか、もう先を急ぐ理由はないんだった。ならしばらくこの街に滞在しても大丈夫だろう。


「わかりました。ではしばらくは剣を教えるために城に通います」


「やった! ありがとうございます!」


「ありがとうございます」


「すまんな。自分のタイミングで切り上げてもらって構わない。しばらく相手してやってくれ」


 王子2人を連れて、城の鍛錬場に向かう。何故か王妃とライラもついてきた。


「子の成長を見たいのです。構いませんでしょう?」


「ええ、もちろん拒む理由はありませんが……。ライラは?」


「ユーリ君と一緒に居たくて……」


 チラッチラッと見てくる。何がしたいんだ……。


「ライラ、どういうことッスか!? やっぱり……!」


「エイミーさん。これに引っかかるのは流石に単純過ぎですわよ。明らかにからかわれていますわ」


「実際、君たちと一緒に居たいのは嘘じゃないよ」


「何のために?」


「気になるから……」


「もうそれはいいですわ」


「ノリが悪いなぁ。王子たちの剣の才能、ユーリ君は人に教えることも出来るのか、ユーリ君の強さの秘訣、エイミーちゃんたちの反応、ほら、色々気になるだろう?」


「もうそれで良いですわ」


 ライラについては気にしなくても良いか。放っておけば勝手に何かを得て満足するだろう。


「ユーリさん! どんなことを教えてくれるのですか!?」


「落ち着いてください、デュール。先ずは動きやすい格好に着替えてくるべきです」


「あ、そうだな、ボレス! 待っていてください、ユーリさん!」


 そう言って駆けて行くデュール王子。


「はぁ。すいません、落ち着きのない兄で。練習用の木剣も取ってきます」


 そう言って歩いていくボレス王子。顔はそっくりだが、性格はずいぶん違うようだ。


「フフフ、可愛いでしょう? 自慢の子たちなんです」


「ええまあ、2人で協力していければ、立派な王になれそうですね」


 その行動力で引っ張る兄が王になって、その思慮深さでサポートする弟がいれば、この先も安泰だろう。







「では最初は素振りからです」


 着替えて木剣を持ってきた王子たちに、指導する。


「素振りですか?」


「そう、素振りは基本です。始めてください」


 2人でそろって素振りを始める王子たち。それに悪いところを指摘していく形を取ろうと思ったのだが……。


「はぁ……はぁ……」


 すぐに疲れて振れなくなってしまった。そうか、以前指導したのはカイン王子だった。彼は昔から騎士に混ざって鍛えていたと言っていたから、ある程度体が出来ていたんだろう。

 しまったな。何の訓練もしていない10歳の子供が、いきなり鍛え始めたんだ。先ずはじっくり体力づくりからしなくてはいけなかった。


「先ずは基礎体力と筋力トレーニングからですね」


「はぁ……テレビのようにはいきませんか……」


「だから言ったでしょう。テレビは所詮映像作品。実際にそう上手くはいかないと」


「でも、ボレスだってやってみたいって」


「まあ……やってみたかったのは、確かですけど……」


 なるほど。テレビの映像で剣を使っているところを見たのか。この国特有の入り口だな。

 憧れる気持ちは俺にもよくわかるが、これだと実際に剣が使えるようになるまで指導していたら、年単位でかかってしまう。

 申し訳ないが、陛下の言葉に甘えて、適当なところで切り上げさせてもらおう。


「ユーリさん。もっと楽に出来る鍛錬はありませんか?」


「王妃様、楽に出来ていたら、それは鍛錬とは呼べませんよ」


「しかし……」


「母上、大丈夫です」


「デュール……」


「ユーリさん、続けてください」


「ボレス……」


「そろそろ休憩は終わりにしますよ。走って体力をつけるところから始めましょう」







 素振りして、ランニングして、筋トレして、1週間。

 この手の基礎トレーニングは、効果が実感できるほどになるのに時間がかかる。王子たちも、自分たちが成長出来ている実感なんてないはずだ。

 それでも根気良く鍛錬を続けられている。この調子なら、俺がいなくても出来る鍛錬を教えておけば、自分たちで強くなれるだろう。


「さて、では今日も素振りから……」


 今日もいつも通りの鍛錬を始めようとした、その時、王都中に響き渡るように、その声は聞こえてきた。





「王都リーズトルストにお住まいの皆さん、初めまして。わたしは魔王軍四天王、創造のデスディ。皆さんには、今から……」




   絶望に落ちていただきます





 災厄が、来た

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