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「えっ?ティル・J・ク、クロ・・・」


「クロスフォード・レイブティン。まぁいいさ。ティルで。本名なんて覚える必要なんてない。名前さえ分かっていれば、家名とか覚える必要ないさ」



もう一度言っていいですか。うん。ここまで長い!名前聞くまでどんだけかかったんだよ!そしてなんか若干イチャイチャしているのがむかつく。そりゃあ、イチャイチャ求めてたけど、私が求めてたのはこれではない!こういうイチャイチャじゃなくてさぁ。まぁなに言っても無駄なんだろうけどね、もう気長に待つって言ったから待ちますよ。文句はいいますけどね。



「さて、それで、結局どうしようか。俺はお前を長椅子で寝させる気はない。それは男として絶対してはいけないことだと思う。しかしお前も俺に長椅子で寝てほしくないとなる。そうするとどうしようか。いっそベッドで一緒に寝るというのはどうだろう」


胡散臭いが今までで一番いい笑顔でとんでもない発言をぶっこんできました。しかしその瞳の奥では『お前にはできないだろう。だから言ったんだ。俺が長椅子で寝ると。お前は大人しくベッドでゆっくり休め』と書いてあるのが簡単にみてとれます。リサは悔しいのです。陛下の思惑がわかる分、反抗したくなります。そしてここまで寝かせたくないといった分、意地でも陛下にベッドで寝てもらいたいと思ってしまいました。女は度胸です。


「わかりました。一緒に寝ましょう!」










うーん。なんか奇妙な感じです。とても広いベッドです。5人くらい寝れそうです。なのにそこに寝ている2人は端と端にいて間がとても広く空いているという状態なのです。勿体ない。何故わざわざこんな窮屈な感じで寝ているのでしょうか。これだったら長椅子とベッドの方がゆっくり眠れたのではないでしょうか。まぁ、きっと初対面で恥ずかしがり屋の2人の最善策がこれだったのでしょうね。そしてまた会話がない!絶対寝てないはずなのに会話どころか、お互い微動だにしないのですが。もう、こんなんなら一緒のベッドになんか入るなよ!ホントお互い売り言葉に買い言葉という感じで意地はっちゃって。

そういえば『一緒に寝る』発言の後の陛下ホント面白かったんですよ。目が点になってましたからね。絶対断られると思ってたみたいですしね。甘い甘い。リサをなめちゃダメですよ。中々の性格の子ですから。変に度胸がついてるというか、肝が据わっているというか、とりあえず一筋縄ではいかない子なんですから。だってみてごらんなさいよ。異世界にきて、働いてるって中々現実的な子ですよ。あんまし泣き言も言わないですし。見た目よりはるかに強くしっかりした子です。少し後先考えず暴走しちゃうとこはありますけど。その結果いろいろ問題を起こしてこの城にきたり、一緒にベッドに入ったりしちゃう感じですけどね。




さぁ思い出している間に2人は進展したかな~。会話してるかい、2人は。



ギシッとベッドが音をたてました。陛下が寝返りをうった証拠です。さっきまでお互い背を向けていた状態から寝返りをうったということは、今陛下はリサの方を向いているということになります。それにリサは背を向けているので、背中をジッと見られているということです。リサも音で状況を判断しています。背中をジッと見られているのはなんとなく理解しています。もうどうしたらいいか全然わかりません。ここで振り向くなんて絶対できません。だからといって、このまま背中をずっと見られているなんてもっと嫌です。どうしよう、どうしようと考えすぎて、どんどん目が冴えてきて本来の目的である睡眠すらできそうになくなってしまいました。



「なぁ」


ビクッと大げさなくらい驚いてしまいました。まさか話しかけられるなんて思ってもみなかったからです。話かけられた以上返事をしなくてはいけません。寝ているならまだしも起きているのにシカトはできませんからね。そしてもう一つ。話しかけられた以上、背を向けたままではいられません。そんな失礼な体勢で会話をすることはできません。相手は王様ですからね。


リサはゆっくりと体をひねり陛下の方へと顔をむけます。ドキドキですね。やっと向かい合わせになり、俯かせていた顔をあげます。顔をあげて瞬間、綺麗な陛下の顔と目があいます。思わずドキッとしてします。顔を俯かせたくなります。ですがそれより早く陛下が声をかけます。


「そんな端で寝ににくくないか?お前落ちそうだぞ。もっとこっちへ来い。そんなとこじゃゆっくり寝れないだろう」


なんとまぁ、陛下から『もっと近くにこい』宣言ですよ。優しさからきているセリフであって、下心とかないのはわかるのですが、いかんせん、ここはベッドの上です。そんなセリフを言われれば動揺します。ましてや、処女で、好きな人からのセリフです。ドキドキしすぎてやばいです。返事が出来ずに固まってしまいます。そんなリサの様子を怪訝に思った陛下が少し状態を起こし、リサに近づきます。陛下的には『大丈夫か?』の気持ちを込めた接近だったことでしょう。ですが、リサ的にはそんなこと知りません。いきなり身を起こした人が近づいてきたとしか見れません。思わず叫んでしまいました。



「な、なんでこっちくるんですか!?」










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