第三ステージ
私達が次に見たのは、青い部屋だった。
トレッドミルが三台並んでいる。ご丁寧に、腹に付けるリードまで。
『拘束具を付け、全員一斉スタート。走り続けろ。脱落者一名』
例の中性的な声が、簡単かつ残酷な命令を下す。
ブレザーで走れっての? こんなのを?
「やるしかねえだろ」
ポニーテールは壁を見回すと、一も二もなく乗った。
壁一面に、妙なランプの付いた装置が貼り付けられている。
起爆装置付きの高性能爆薬。
まただ。何故私は、武器の知識があるのだろう。しかし、そんなことを考える余裕はなかった。
私と、もう一人のセミロングも続く。
緩やかに、トレッドミルのベルトが動き出した。
「なあ」
まだ喋る余裕はある。
「何ですか」
「まだわからねえんだよ、あたしらが選ばれた理由。それにあたしら、そもそもどこの誰だよ」
二人で無言になってしまう。
わかりっこない。
「記憶操作……とか。はぁ、そういう薬とか、洗脳、はぁ、みたいな、はぁ、はぁ」
もう一人のセミロングが、曖昧な可能性を考えた。
「こんな、完全に……はっ、記憶消せるもんなのかよ」
性格もそうだが、ポニーテールは体力もあるようだ。
一つ気付いたことがある。
私達は、"あまりよろしくない知識"を溜め込んでいるようだ。
トレッドミルが加速する。
私の脳が、またも妙な知識を引き出す。
"トレッドミルは、近代西洋で拷問具として開発されたものだ。"
どうして……こんな。
◆◆◆
考えていると、更にトレッドミルは加速する。
もう一人のセミロングが、足を縺れさせる。
「きゃっ」
悲鳴を上げ、転倒する。
私とポニーテールの拘束が解けた。
「え……いや、嫌あああっ!! 置いてかないで!! お願いっ見捨てないでぇ!!」
ポニーテールは、敢えて見ないようにしていた。
「行くぞ」
壁が開く。
ふらつく足を叱咤し、歩き出す。
「お願い!! 助けてぇ!! いやああ!!」
嘆願が、汗だくの私達を必死に追いかける。
やがてそれは呪詛に代わり、意味のない叫びに成り果てた。
私達が、最後の部屋──どちらかが死ぬであろう部屋に着いた時、何重もの隔壁が、ゆっくりと音を立てて閉まっていった。
たっぷり時間をかけ、隔壁は一つ一つ閉じていく。
そして、隔壁が全て閉じた次の瞬間。
振動と共に、遠くの轟音が聞こえた。
──これなら、一瞬で消し飛んだろうな。
ぼんやりと、疲労した頭で思った。




