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レズビアンな暴君令嬢は、清楚系王子様になりたい  作者: 八ッ坂千鶴
第一章

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9/23

第九話 困りごとは話してもらえますでしょうか?

 どうやらお父様の腹痛は数分で落ち着いたようです。


 それはそうとして、応接間のこの状況はなんでしょうか。


 今メイリーン伯爵家には、ラーレント男爵家の人が来ています。


 きっとレイランを連れ戻しに来たのでしょう。


 しかも全員男性の方。少し困りますね。全員ぶっ飛ばしましょうか。


「レイラン。なぜメイリーン伯爵家にいるのですか」


「そ、それは……。アリアナさんがボクを助けてくれて……」


「なぬ?」


 なぜ男性は似たような口調で話すのでしょう。


 まるで見分けがつきません。困りましたね。


 しかし、レイランの声が高い分男爵家の人も声が高いです。


 男声ではアルトパートに入るでしょうか。


 声楽にはあまり興味ございませんので、そこまで詳しくないです。


 ただ、少し耳がキンキンしますね。それだけ怒っているのでしょう。


「アリアナ。なぜこのようなことになったか。わかるか?」


 お父様が質問してきました。と言われても、私に思い当たることはありません。


 私は昨夜、盗賊に襲われているレイランを救い、かくまっただけです。


 今朝も盗賊の群れを掻い潜って、ここまで逃げてきました。


 お古の衣類は全て置いてきてしまいましたが……。


 それでも、私の服はまだあります。


「アリアナ。きっと彼らは、レイランを危険にさらした人物と思っているんだろう。真実を伝えるべきではないか?」


「ルイス兄様……。そうですね……」


 私は、昨夜からの話を全て伝えます。それだけで認めてくれるとは思っていません。


 むしろ、反感を持たれる可能性だってあります。


 それでもいいのです。もし私が気に食わなかったら、ぼっこぼこにすればいいので。


 いえ、ぼっこぼこでは満足できませんね。ぎったんぎったんにしましょう。


「以上が、これまでの経緯です。ご理解いただけたでしょうか」


「うむ、我が男爵家の令嬢を救ってくれたことは感謝します。しかし、なぜアリアナ令嬢はレイランを気に入っているのですか?」


「私は、同性愛者ですからです。どこぞの男性よりも、レイランのような、か弱い女性が好きです。彼女はものすごく頼りになります」


 敬語って苦手なのですよね。不自然だと変に思われてしまいます。


 ここは普通にを意識しますが、これもまた難しい。もう少し軽い世界に生まれたかったです。


 それでも、男爵家の人は食いつきがいいですね。お父様とは違って話しやすいです。


 口調はどうであれ、中身が大事です。中身が悪ければ意味がありません。


 どうやら世間で私は暴君令嬢とよばれているそうです。


 これも、街で暴れまくったからでしょうね。悪いのは盗賊ですが……。


 あの神のブレスレットを持っていた女性は、無事でしょうか。


 少し気になります。また襲われてなければいいでしょうけど……。


「わかった、ここからはレオナント伯爵と相談させていただきましょう。いいですね。レイラン。アリアナ令嬢」


「承知しました」


「はい。父上」


 あらあら、来ていたのはレイランのお父様でしたか。


 退室をお願いされたので、私たちは廊下に出ます。


 ちなみに、応接間までの絨毯は薄い菫色です。


 個人的に私が好きな色でもあります。


 やることが無くなってしまいましたね。


「アリアナ。レイラン。そろそろお昼だ」


「そうでしたわね。行きましょう」


「はい!」


 私たちは食堂へ向かいます。


 メインの廊下は赤色の絨毯です。


 本当にここは広いので、ものすごく役立ちます。


 隣のレイランを見ますと、ずっと下を向いてました。


 なにかあったのでしょうか。


「レイラン。困りごとがあったらすぐに言いなさい」


「え、あはい……。わかりました」


「それで、なにか悩みがあるのでしょう? 表情が曇っているわ」


 悩み事を抱えるのはものすごくストレスです。


 しっかり吐き出して、毒抜きをした方がよいかと。


 レイランが言うには、男爵家に迷惑をかけているという気負いのようです。


 彼女は昨日、夜の買い出しに出ていたそうで。


「それで、道がわからなくなって……。盗賊に襲われて……」


「なるほど、そこをアリアナが救ったんだな」


「はい……」


 これはいい方向です。しばらくすると、応接間から使用人がでてきました。


 きっと進展があったのでしょう。食堂に向かう足を止めて、引き返します。


 廊下の燭台が揺れてますね。ここは窓も何もないのです。


 あるとしたら、外側の部屋と中庭だけですね。


 少し空気の循環を高めた方が良さそうです。


「戻りました」


「みんな、席につきなさい」


「『はい』」


 直後、レオナントお父様が大きなため息をつきました。


 白い髪が少し嫌です。あとで私好みに染め上げて差し上げましょう。


「今日から、レイラン・ラーレント男爵令嬢を引き受けることになった。侍女にアリス・シュナウトを指名する。そして、レイランが行動をする際は、必ずアリアナが付き添うこと」


「わかりました。アリス様は少々苦手ですが、しっかりとレイランをお守りします」


「頼んだぞ」


「はい」


 これで、レイランが伯爵家に住むことになりました。


 今日からずっと一緒です。仲良くしていきます。


 むしろ、同性愛者として同性婚でもしたいですね。


 この世界では同性婚は禁じられてますが、形式的なことはできるでしょう。


 正当に籍を入れることは、きっと不可能でしょうね。そこは我慢します。


 これで、この件は終わりました。なんだかものすごくワクワクします。


「アリアナさん。よろしくお願いします」


「ええ、こちらこそ。楽しみましょう。お父様。ラーレント男爵様。快諾していただきありがとうございます」


 しかし、彼らはまだ納得がいってないようですね。


 少しずつですが、同性愛もしっかりとした恋愛なんだと証明しましょう。


 今できるのは、それくらいしかありませんから。

久し振りの更新です。読んでいただきありがとうございます。


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