第八話 正面にご注意くださいまし
「さて、メインディッシュといきましょうか」
私には相手に名乗らせる暇などありません。
早くこいつらを捕まえないといけないのです。
近年盗賊が増えてきているのです。
その多くが、とある事情をもっています。
金欠です。なので、金目の物を盗み売るを繰り返しているのだとか。
本当に、聞き捨てならない悪党です。
「誰から行きますか?」
「ボス! お願いしやす!」
ほほう。真っ先にドンを押し出しますか。
相当弱っているみたいですね。アリよりも弱いかもしれません。
今日は快晴です。遠くまで飛ばせばその景色は綺麗でしょう。
こんな日の汚い打ち上げ花火は、最高です。
ドンが仲間を急かしてますよ。どうやら本当のメインになりそうです。
「お前がアリアナ・メイリーン令嬢か」
「ええそうよ。脳がマンボウより小さそうなドンさん」
「マンボウよりも小さいだと!?」
噂ではありますが、マンボウの脳は身体の一割より小さいらしいです。
事実であるかはわかりませんが、研究者が言っていました。
だから頭が馬鹿なのでしょうね。本当に頭が悪い人はどちら様でしょうか。
おっと、チンピラが襲い掛かってきましたね。
華麗に避けて、腕で受けましょう。
顔面殴打でぶっ倒れましたよ。ホント弱くて反吐が出ます。
もっと興奮させてほしいです。とにかく動きたいので。
「アリアナさん!」
なぜでしょうか。あんなところにレイランがいます。
応援に来たのでしょうか。そんなもの不要ですが……。
私はレイランのところへ行きます。そして、麻袋を渡しました。
すると彼女は麻袋を握って何かを願っているようです。
袋から出てきたのは一振りの長剣でした。
その剣をもらうと、私は構えます。
彼女の麻袋は、まるで四次元ポケットですね。
どら焼き大好きロボットでなくてよかったです。
甘党の女は大好きですが、そんなこと考える時間などありません。
しばらくして、ルイス兄様も到着しましたね。
「では、本気で行かせていただきますわ」
ここからがショーの始まりです。
真っすぐ一閃。からの切り替えし。
腹を切られた相手は転がっていきます。
それにしても、この剣は重いですね。気のせいでしょうか。
重いものはそこまで得意じゃありません。
ですが、それだけ運動ができるということです。
「せいッ! はぁ!」
「うぐぁ!?」
「これで一丁上がりよ!」
とりあえず、ザコは全員討伐しました。
次はドンだけですね。彼はものすごく怯えています。
これはもう時間の問題ですね。
こちらが動けば、一瞬でしょう。簡単に落とせます。
陣取り合戦は得意ですよ。携帯ゲームでそんなものがありましたね。
しかし、この世界にネットは普及どころかそもそも存在しません。
申し訳ないですが、陣取りは勝手にしてください。
「では、メインディッシュをいただきます」
私は一気に距離を詰めます。
横なぎに剣を動かすと、ドンは大きな身体をのけぞらせました。
図体がでかい割には柔軟なのですね。予想外です。
見た目に反する柔らかさには弱いのです。対応不可能ですからね。
ですが、相手の身体能力はわかりました。簡単です。
私は剣を投げ捨てます。短い間でしたね。
ドンに近づいて、そのまま身体を捻ります。
――バシン!
いつかの誰かさんみたいに平手打ちをお見舞いです。
ですが、これでは足りません。拳を腹に押し当てて、ゼロ距離パンチも与えましょう。
まだですね。だんだん怒りが込み上げてきました。
右から左に身体をスライドさせます。そこから、一気に攻め込む。
ループを繰り返して、連続攻撃を実現させました。
もっと、もっと早く動ければいいのに。そう思うのは浅い夢物語ですね。
「う、うぅ……」
「これで終わりでしょうか」
私はルイス兄様に指示を飛ばします。そして、盗賊全員を捕らえました。
これで一件落着ですね。奴隷商にも報告です。
すると、たくさんの折り紙をもらいました。
子供たちが作ってくれたそうです。
また。女性専門の奴隷商からは、花飾りをいただきました。
ここの奴隷はものすごく優しいですね。
ですが、私はレイラン一推しなので、他の人を買う予定はありません。
子供も不要です。子育てなど嫌ですから。
私たちは奴隷商店街をあとにして、買い出しへ戻ります。
今日も色々ありました。早くやるべきことを終わらせて、お昼にしたいです。
「アリアナさん。本当に強いですね」
「あれくらい余裕よ。もう少し強い人と戦いたかったわ」
「アリアナにとっては、イージーモードだったみたいだな」
「ええ、兄様」
ただただレイランを愛したいだけなのに、戦闘に巻き込まれるなんて。
人生難あり。だけど、それを乗り越えれば楽しいことが増えます。
どんなに苦しくとも前を向く。たったこの行動だけで成長していきます。
つまりは、この世界にいる人の多くが精神弱者なのでしょう。
誰もが楽することしか考えていなさそうです。
傭兵が少ない理由にもつながりますね。どうしたものかですよ。
「ルイス兄様。ラーレント男爵家に派遣できる傭兵はいるかしら?」
「正直にいう。人手が足りない」
「やはりね」
私は街を歩きながら、パンを買います。
今日のお昼はちょっとしたホットドッグです。
行きつけのパン屋が美味しいパンを用意してくれるのですよ。
屋敷に帰ると、お父様が起きてました。
これはこれでよしとしましょう。全治三ヶ月は言い過ぎでしたね。
とは言え、またまたお父様はお怒りのご様子です。
さてどうしましょうか。
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