第七話 嫌いなものには正直にですよ
ということで、買い出しです。
その道中ですが、レイランからラーレント男爵家の話を聞きました。
どうやら傭兵が不足していて、彼女を護れる人がいないそうです。
困りましたね。こちらも人手不足なのです。
少子高齢化以前の問題で、積極的に鍛錬する男性が少ないのですよ。
人口的には、男性率が高いのですけどね。どうしたものかと思います。
きっと、兄様みたいに精神が弱いのでしょう。ここには魔物なんて出ませんが。
「それで、アリアナさん。本当にボクを助けてくれるんですよね」
「ええ。もちろんよ。使命を任されましたから」
「ありがとうございます……!」
先ほどから、レイランが確認を取ってます。
私はそう簡単に嘘をつく人ではありません。
何事も正直に言う。それが普通です。隠し事なんてクソがすることです。
そう考えると、この世界は非常に混沌としています。
本心を話せる場所がないのです。だから、誰かを尊重するのも仕事です。
「レイラン。少しいいかしら?」
「なんですか?」
「この先、なんか危険な気がするわ。ルイス兄様から離れないようにしなさい」
「あ、はい……!」
私はルイス兄様を見ます。すると彼も頷いてくださいました。
妹のためなら何でもするのが、ルイス兄様です。自慢の兄上です。
街を進むと、騒がしい場所に着きました。どうやら叫び声がしますね。
私はルイス兄様とレイランを置いて、人の群れに入ります。
いえ、ここは大胆に跳躍しましょう。空気を蹴れば数歩でいけます。
再三ですが、この世界には摩訶不思議なものは存在しません。
しかし、一時的に証明不可能なことを起こせます。
原理が分からないことなので、少し驚く程度でしょうか。
「へぇ。奴隷商ですか。そちらにいるのは盗賊ですね。用件を聞かせていただけますでしょうか」
とはいえ、そう簡単に口を開いてはくれませんね。
構図からして、奴隷商が襲われているのでしょう。
彼は女性を数人連れています。女性専門の商人ですね。
そして、そのうちの一人が神具とみられるブレスレットを身に着けています。
この世界には神具というものがあります。特定の人にだけ神の加護が得られるものです。
レイランが持っている麻袋も神具の一つ。あれは物欲を叶えるものです。
ことを悟るに、盗賊は奴隷の一人が身に着けている神具。ブレスレットを狙っているのでしょう。
「なるほどね。奴隷商。ここは私に任せなさい」
「で、ですが……」
「この人数……。食後の運動にうってつけね。野次馬たち。道を開けなさい」
私は奴隷商の退避場所を作ります。そこには、しっかりとルイス兄様がいました。
退路ができると、奴隷商が避難していきます。
しかし、やはり盗賊は目的の女性を追いかけていきますね。
先周りして、ダブルアッパーです。二人同時に飛んでいきました。
そこから跳躍して、指揮役の頭にかかと落しをしましょう。
おっと、私のクールタイム狙いで五人接近してきましたね。
ここは、垂直にジャンプしてローリングアタックです。
顔と腹同時にクリティカルヒット。楽勝すぎます。
さらに、増えていきますね。まるでウジ虫でも湧いたみたいです。
これが毛なしのネズミ集団だったらいいのですけどね。
能無し馬鹿はザコですよ。笑いすらでないです。
「アリアナさん!」
「大丈夫よ。せいっ!」
右ストレートからの左後ろ蹴り。
全身運動は楽しくて仕方ありません。
まだまだ続きます。今度は態勢を低くして盗賊の足首狙いです。
ドミノ倒しみたいになりました。ものすごく爽快です。
すると、一般庶民が縄を用意してくださいました。
心遣いとご協力感謝いたします。
「結べる人は手伝ってもらえるかしら?」
悪人を捕らえるには、決まった結び方があります。
できるだけきつく手首を縛るのです。
私はそれを幼少期に学びました。今では板についていて、数秒でできます。
捕らえた盗賊はだいたい二十人ほどでしょうか。いい見世物でした。
皆さまのご声援誠にありがとうございます。
「あなたは……」
「メイリーン伯爵家令嬢。アリアナ・メイリーンよ」
「アリアナ様。ありがと……」
「それよりも、何人か奴隷商を追いかけたみたいね。謝礼はあとでいただくわ」
私はレイランたちと合流し、奴隷商が向かった場所へ移動します。
とにかく走っているので、レイランの呼吸が乱れてますね。
ちなみにですが、彼女の麻袋は私が持っています。
どうやら神具に選ばれた人が持つと、盗賊に狙われるとのことなので。
そして、今私はタキシードを着ています。こちらの方が落ち着きますね。
下ろした青みの翡翠髪を切りたいです。長髪でも似合ってますでしょうか。
「もう少しで合流する」
「兄様助かるわ。ここから先は私一人で行くから、あとはお願いね」
「了解した」
奴隷商が向かったのは本部のようです。ここから先、奴隷商店街があります。
複数の奴隷商が働く場所です。それでも、あまり人気はありませんが……。
奴隷は預かり所の役割もしています。育てられなかった子供を預けるのです。
それを買い取ると、その分の費用が免除され子供を育てる費用となるのです。
おっと、現場につくや盗賊がうじゃうじゃいますね。
「見つけたわよ」
「なっ!?」
かなり動揺しているようですね。盗賊がビビっています。
ものすごくおつむが弱いのですね。本当に何を考えているのやら。
奴隷商店街は今危機的状況です。
早くに開放しないと、セキュリティが壊滅となります。
ここは少し挑発をしてみましょうか。
「もしかして、私にヒヨってますか?」
「ひ、ヒヨってるわけ……な?」
「あ、ああ……」
完全にヒヨってますね。顔に見えてます。
本当にクソ中のクソです。これでは好かれる男になれませんよ。
奴隷商店街は一斉にシャッターを閉めましたね。
きっと、変な教育をさせないためだと思われます。
いい判断です。さすがは子供の相手になれた商人です。
では、こちらも本気を出させていただきましょう。
ご容赦願いますよ。とここで図体のでかいジジイの登場です。
きっと、盗賊のドンですね。本日のメインディッシュとさせてもらいましょう。
地獄というものをお見せいたしますよ。覚悟はおありでして?
読んでいただきありがとうございます。
次回更新は明日8時です。
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