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レズビアンな暴君令嬢は、清楚系王子様になりたい  作者: 八ッ坂千鶴
第一章

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第四話 話を聞かない人は即排除です

「アリアナさん! どどど、どうしましょう!」


「大丈夫。ここは私に任せなさい。これくらい朝の運動に最適よ」


「あ、朝の運動って……」


 これは早朝の出来事です。私とレイランがいる小屋周辺を見てください。


 全方位に盗賊たちが占領中。逃げ道も残されていませんね。


 さて、どうしましょうか。これくらいなら、余裕で倒せますが……。


 この場所を知られてしまったのならば、この家の放棄も視野に入れないとですね。


 短い間でしたが、ご苦労様とでも言っておきましょう。


「レイランはそこで待ってなさい。先にこの人たちを片付けます」


「は、はい……!」


 私は一人で外に出ます。小屋の周りを囲まれているので、裏口を入られたら終わりですが……。


 そんなことを考えても仕方ありません。さっさと運動を終わらせましょう。


 まずは、正面のヤンキーに一発お見舞いします。


 そうですね。真正面に突きでもしましょうか。


 力加減は程々にですが、勢い余ってすっ飛んでいきましたよ。


 相当足腰が弱いのでしょうね。重心の置き方が下手クソすぎましてよ。


 次は裏手側でしょうか。レイランしか中にいないという状況ですので……。


 おやおや、鍵開け部隊が動いてますね。とっとと排除しましょう。


 正拳突きを披露したあとに、全力左アッパーです。


 こちらも、天高く飛んでいきましたよ。なんとも弱い連中だこと。


「伯爵家ご令嬢だな?」


「ええそうよ」


「俺と結婚しないか?」


「却下します。私は女性にしか興味がございませんので」


 心がクソ汚くていやったらしいです。


 求愛してきた人は羽交い絞めして、肩の骨でも折っておきましょう。


 全治二ヶ月というところでしょうか。なんとも嬉しい計算です。


 次に、西側です。そこでは、窓ガラスを壊そうという輩がいますね。


 そちらは足技で成敗しますか。今は普通の靴ですが。


 重心を前に置いた左足にします。そのまま体重を乗せて回し蹴りです。


 おやおや、全員吹き飛んでしまいました。


「あとは東側だけね」


「アリアナさん!」


 ここで出てきてしまいましたか。レイランの手には麻袋が握られていますね。


 一応退路はできています。離れた方が楽ですね。


 逃げる時も、ルールがあります。私の個人的なものですが……。


 私はレイランの手を握って走ります。途中から王子っぽくお姫様抱っこです。


「アリアナさん。重くないんですか?」


「問題ないわ。これくらいなら簡単よ」


「それならいいのですが……」


 レイランの様子を見ながら大通りに移動します。


 女が女を抱っこしているのが珍しいのでしょうね。


 多くの庶民がこちらを見ています。レイランの顔も真っ赤ですね。


 そのまま、私は街の外れまで移動します。


 しかし、ここで問題が発生してしまいました。


「アリアナ・メイリーン。見つけたぞ」


 お父様のレオナント・メイリーン伯爵です。私の意見を全く理解してくれないポンコツです。


 レオナント伯爵は、私を女らしく育ててきました。


 私はそれが気に入らず。目を盗んでは剣術を学んでましたね。


 広い庭園を走って基礎運動をし、夜は何杯も食べました。


 性自認は女性ですが、男らしくいたかったのでしょうね。


 この場合は、男ではなく漢でしょうか。


「その人は誰だ!」


「私の思い人よ。ものすごく可愛らしくて気に入ったわ」


「しかし。その者は女ではないか。そんな人と暮らすなど、このわたしが許さん」


 こうなったらしょうがないですね。


 人を抱いてでの戦闘は苦手ですが、やってみましょう。


 私はレイランに掴まるよう伝えます。そして、右脚でブーストをかけて接近。


 レオナント伯爵の顔面を飛び蹴りで成敗します。


 綺麗なアーチを作って、すっ飛びました。


 なんて気持ちいいのでしょう。かなりスッキリしました。


 すると、なんだか騒がしくなってきました。


 これはどういうことでしょう。私は嫌いな人を倒しただけですよ。


「アリアナ・メイリーン。その者と共に伯爵家へ来なさい」


 あらまあ。お兄様ではありませんか。兄のルイス・メイリーンです。


 ルイスは私の気持ちを理解してくれます。婚約者もいます。


 髪は私と同じ翡翠色ですが、彼は緑が強いです。


「わかりましたわ。お兄様」


 私はレイランを連れて、メイリーン伯爵家へ向かいます。


 大体広い競技場一個分の敷地でしょうか。


 それなりに広いのです。税金がすごいと思います。


「そこで待っていろ」


「わかりましたわ」


「あ、ありがとうございます……」


 庭に私とレイランの二人きり。なんだか胸が高鳴ります。


 なんででしょうか、レイランが私の手を握ってきましたよ。


 氷のように冷たい手です。私は熱を持ちやすいので、ちょうどいい冷却材ですね。


 彼女の手が私の熱を奪ってくれるので、助かります。


 もう少しで発熱するところでした。基礎体温は高いのでしょう。


「戻った。レイラン・ラーレントだな」


「は、はい……」


「その麻袋はなんだ?」


「ボクの、大事なものです。小さい時から持ってます」


「そうか」


 ルイス兄様が少し考え込み始めました。


 何か思い当たることがあるのでしょうか。


 それにしても本当に広い庭です。こんなところを私は走っていたのですね。


 花壇にはコスモスが咲いています。特にピンクのコスモスは踏みつぶしたいですね。


 したらきっと怒られるでしょうけど、覚悟はできています。


「過去に聞いたことがある。神の麻袋だな」


「はい。そのように聞いています。ボクがその麻袋に選ばれたみたいで」


「そうか。ここなら安全だ。かくまうこともできる」


「本当ですか?」


 勝手に鵜呑みにしてはいけませんよ。


 しかし、私も住む場所に悩んでいるところでしたので、結果オーライとでも言いましょう。


 ということで。今日からレイランを私の実家で、かくまうことになりました。


 部屋はルイス兄様の権限で私と同室です。


 これからの生活が楽しみですね。と思ったら、お父様がお怒りのようですよ。

次回は20時更新です。宜しくお願いします

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