第二十一話 戦闘狂とは聞き捨てなりませんね
国王が帰ったあとは、ひたすらモヤモヤしてました。
なぜこんな時に限って争いのにおわせがあるのでしょうか。
そして、どうして私を選んだのか。たしかに、そこらのチンピラなら即ノックアウトです。
しかし、戦闘慣れた狂い人を相手にすると、力になるかわかりません。
加えて、私は教官に国の軍入隊拒否を伝えたばかりです。
つまり、その時から私を求めていたのでしょう。
人気者とは大変ですね。なんだか心が締め付けられます。
いえ、締め付けられるのは違いますか。
自分の意見を押し付けられて苦しいです。
国王もエゴイストですね。なら戦国武将がごとく指揮を執ればいいですから。
いいや、それでは国王が死んでしまいますね。あんなへなちょこでは指揮は務まりません。
それでも、他力本願なのは問題ではありますが……。
「アリアナさん。どこへ向かうんですか?」
「ちょっと隣国の偵察へ。レイランとルーラも来なさい」
「は、はい!」
二人に荷物を用意させます。そして、港の方へ。
しかし、情勢が良くないからか、隣国行きの船が出ないそうで……。
仕方ないですね。体力が持つまで走りましょうか。
一応、陸地でも繋がっています。船でショートカットするのは悪手かもですね。
偵察は一瞬で終わらせるべきです。見つかったらアウト。
スパイ活動はしたくないのですよ。私は目立ちますから。
「アリアナさん。自分も行くってどういうこと?」
「私はルーラの面倒も見ないとなの。貴方がここにいても、失語症を装うだけよね?」
「た、たしかにそうですね……」
ルーラも納得してくれたことだし、私は街の門を目指します。
そこから先は、ほとんど平原です。大きな山がありますが、突っ切りました。
途中で食事をとって、二人を抱えたままさらに走る。
明日は筋肉痛ですね。なったことはありませんが……。
常に動き回るので、それが脚への負荷となっているのでしょう。
鍛錬を重ねた分体力も無限に近いです。
「アリアナさん。門が見えてきました」
「ありがとう。外周に……」
「ちょっと待って。兵士が出てくる」
ルーラが警戒を強めます。神である彼は安易に手出しできません。
ここは強行突破するのが吉ということでしょうか。
それなら、お安い御用です。
「突っ込むわよ!」
「『……!?』」
一気に接近。そこから美脚を一回転させてなぎ倒します。
自慢の脚なので、革靴がクリーンヒット。
兵士はどたどたと倒れました。これくらい簡単です。
すると、敵が増えてきました。まるでスズメバチみたいですね。
槍を私に突き刺そうとしてきます。ですが読み切ってますよ。
「レイラン。麻袋」
「は、はい!」
「ルーラ。麻袋の持ち主に私を追加して」
「りょ、了解!」
麻袋の所有権をレイランと共有したあと、二人を麻袋に入れます。
これで両手が空きましたね。華麗なる乱舞の開始です。
いざ、シャルウィダンス?
「せいやぁ!」
――ドゴン!
「はぁあ!」
――ドサドサドサ……。
「まだまだ!」
――ダガン……。ドスン……。
完璧のダンスです。あっという間に道が出来ました。
しかし、物足りません。もっと強い人はいないでしょうか。
あの盗賊のドンでさえイチコロだった私のビンタ。
それよりも強めにしてみましたが、皆さん青あざだらけです。
まさか隣国の兵士がこんなにも弱いとは、期待外れにもほどがあります。
しばらく安全を確認すると、麻袋からレイランとルーラを出します。
本当にこの麻袋は便利ですね。被害を減らせました。
「アリアナさん。これはいったい……」
「全部ザコだったわ。もっと楽しませてほしかった」
「真の戦闘狂はアリアナさんかも」
ルーラのごもっともな意見に、この現状を見たレイランが頷きます。
私はそれほどの戦闘狂でしょうか。なんか違う気がします。
前世では、社畜だったと思いますし……。
多分そのうっぷん晴らしのサンドバッグでしょう。
砂の入ってないただの綿袋でしたが……。
「こんな柔らかいものでは、ダメですね。戦闘に向いている人が芯が強い人であるべきです」
「あはは。アリアナさん。悪化してる……」
「そうですね……」
さて、中へ入りましょう。今頃兵士が徘徊しています。
先に全員ぶっ殺した方が勝ちです。
中に入ると、そこは戦闘民族の群れでしたね。
皆さん巨大なフォークやらなにやら持ってます。
そんな簡易的な武器は、柄からへし折っておきましょう。
てこの原理を応用すれば簡単です。
まず、相手のフォークを奪い取ります。
太ももに押し当てて、そこを支点にし両手でへし折る。
右手の方が力は強いので簡単でした。そちらに負荷をかければいいので。
「ば……化け物……!」
「これくらい、面白くありませんね。ここの中心人物は誰でしょう?」
戦闘民族とはいえ、一般人は一般人ですね。
そのまま突き進みます。すると、大将らしき影が見えました。
まるで騎士様のようです。なんでしょう。ときめきませんね。
やはり私は男よりも女の方がときめきます。
それもレイランのように優しく儚い女性が好みです。
「貴方が大将かしら?」
「誰だ」
「お初にお目にかかります。私はアリストラ王国の伯爵家令嬢。アリアナ・メイリーンというものです」
敵国であっても丁寧に挨拶するのが普通です。
そうすれば、相手も対策を練ってくるでしょう。
どう私を攻略するか。それが楽しみで仕方ありませんね。
「私はルナディカル・ライアズ」
「ルナディカルさんですか。それはまた大層なお名前で」
ルナディカル。長いのでルナさんとお呼びしましょう。
彼はこのライアズ帝国の王族とのことです。
その容貌と筋肉量。並の騎士とは違います。
では、逆宣戦布告でもしましょうか。
覚悟はできてますか。王子様?
ぜひブクマと評価をお願いします!!!
てこの原理は面白い!




