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レズビアンな暴君令嬢は、清楚系王子様になりたい  作者: 八ッ坂千鶴
第二章

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20/23

第二十話 買いすぎは苦労するだけでしてよ

 朝の活動を終えた私たちは、それぞれで戦利品整理中。


 ちなみに私にはほとんど戦利品はございません。


 一番身軽でしたよ。それよりも、レイランが買い過ぎです。


 彼女の麻袋に入っていた分と、先に屋敷へ置きに行った分。


 それだけでも大量でした。


 もっと言えば、無駄な買い物が多すぎる印象でしょうか。


「アリアナさん。置き場がないです……」


「それはレイランが悪いのでしょう? ルーラ、どうにかならない?」


「うーん。ここに新しい棚を作る……とか?」


 ルーラがそう言うと、どこからか木材を持ってきました。


 どうやらレイランの麻袋から出したようです。


 そうして、彼女は日常大工を始めましたね。


 ここには電気工具がありませんので、全て手作業です。


 それでも、ものすごく手際がいいので驚きましたよ。


 そもそも私は興味ありませんが……。


「よし、できた!」


「お疲れさまです。ですが、掃除が必要ですね……」


「それならこうすれば大丈夫!」


 昨夜の件からルーラとは親しみやすくなりました。


 私は堅苦しい話し方が苦手です。さすがに、八歳児からは子供らしくしてほしい。


 それが私の願いでした。だから、ルーラの口調が少し砕けただけで嬉しいのです。


 ただ、レイランは少し違います。彼女は今のままがいいです。


「アリアナさん。これここに入れておきますね!」


「お好きにしてちょうだい」


「では好きにさせていただきます」


 レイラン。別にそういう意味ではないのですが……。


 まあいいでしょう。言葉の受け取り方はたくさんあります。


 ですが、やはりこれは買い過ぎですね。


 まだ袋が沢山あります。大袋には服が大量に……。


 こんなに必要ないと思いますが、それだけ楽しかったのでしょう。


 無理に買うなとはいいません。しかし限度はあります。


「それよりも……」


 私は、昨日の夜見た夢を振り返ることにしました。


 あれはきっと、私の前世でのこと。


「ルーラ。ちょっといいかしら?」


「なんですか?」


 この件について、ルーラに聞いてみます。


 しかし、彼女もわからないのだそう。


 仕方ありません。神の子供である彼女でもわからないのなら、行き詰まりです。


 一通り荷物整理が終わると、時刻は昼時を過ぎてました。


 兄様から怒られる前に、食堂へ向かいましょう。


 残念ながら、今日は鍛錬が休みです。


 祭りの前後は鍛錬などがありません。


 なので、私個人としてはものすごく退屈。


 こんな時こそ身体を動かしたいのですが……。


「アリアナさん。顔が少し硬いですよ」


「そ、そうかしら?」


「うん。ちょっと強張ってるね」


 二人がそう言うのなら、そうなのかもしれません。


 もう少し気持ちを楽にしたいのですが……。


 それは難しそうですね。ここではどうしても気を張ってしまいます。


 親からはお淑やかにと言われてきました。


 しかし、その姿は下手で上手くない。


 性自認は女ですが、男性気質で生まれたので無縁だったのです。


 前世では、専門職を目指していたと思います。


 この記憶は確定ではありません。まだうろ覚えなのです。


 だから、どうしてこの世界に生まれたのか。


 もしかしたら、女性としてあり方をやり直せということなのかもしれません。


「その気はさらさらないのだけど……」


「アリアナさん。何か言いました?」


「なんでもないわ。早く食堂へ向かいましょ」


「そ、そうですね……」


 食堂につくと、そこにはラーレント男爵家の人がいました。


 なぜここに来ているのかわかりません。


 もしかしたら、今頃になってレイランを返せということでしょうか。


 そうだとしたら、ぶっ飛ばすのみです。


 絶対にレイランは渡しません。その気も全く持ってありません。


「ラーレント男爵様。本日もお越しいただきありがとうございます」


「これはどうもご丁寧に。アリアナ令嬢。レイランはしっかり生活できているか?」


「ええ。朝が毎回戦場ですが。普段通りです」


「そうかそうか。レイランはほんと朝が苦手でして、こちらもひやひやしてました」


 そんな心配はご無用でして。私にかかれば起こせます。


 だとしても、彼女の睡眠は強敵です。チンピラよりも強いでしょう。


 彼女はものすごく寝つきもいいです。しかし、寝起きも悪いです。


 レイランの寝顔はものすごく可愛いので、そこは許容しておきましょう。


「レイランはいつも利口だと思います。ただ、物欲が強いというのが……」


「すみません……。欲しいもの買い過ぎました……」


「今日から使用人の仕事を預けようかしら?」


 私の提案に、ラーレント男爵は驚きの表情を浮べました。


 こうとなれば、自由にさせるわけにはいけません。


 しっかりお金を稼いで、正しい方向に使えるよう教育しなくては。


 〝働かざる者食うべからず〟です。昔は米だったことから、生まれたそうですね。


 彼女は従者としての勤勉に励んでもらいます。


「アリアナさん! なんでボクが働くんですか!」


「当り前よ。今までメイリーン家のお金をお小遣いとして渡していたけれども。無条件で渡すのは今後一切なしよ」


「そ、そんなぁ……」


 席につくと、急いで食べます。鍛錬がないなら、個人練習あるのみです。


 それだけ身体を動かしたい。一日でも休んだら、身体は怠けますからね。


 食事を終えると、ラーレント男爵を呼んで中庭に向かいます。


 彼にも私の鍛錬を見てもらうのです。女であっても、支えていける力があると証明するために。


 今日の天気は薄曇り、祭りが明けたので、冬の寒さが近づいてきましたね。


 すると、廊下が騒がしくなりましたよ。何があったのでしょう?


 確認は大事です。問題があれば解決するのみ。


 なんだか、私は何でも屋みたいになってきましたね。


 それも悪くはないですが……。


 とりあえず玄関に向かうと、国王直々に来ているではないですか。


「国王陛下。なにかあったのかしら?」


「これはアリアナ令嬢。それが……」


 ふむ。隣国が宣戦布告してきましたか。それで私に指揮監督の役職を担ってほしいと……。


「却下します。私がいなくても十分でしょう?」


 そう言うと、国王は渋々帰っていきました。


 ですがこれは気になりますね。あとで偵察に行ってみましょう。

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