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レズビアンな暴君令嬢は、清楚系王子様になりたい  作者: 八ッ坂千鶴
第一章

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第二話 悪者は蹴り飛ばすが吉です

「返してー。ボクの麻袋ー」


「へへっ。この小娘。まだあきらめない気だぞ。勝ち目はねぇのになぁ? あぁん?」


 なんということでしょう。少女を襲っているのは、スキンヘッドの盗賊ではありませんか。


 こんな現場だったとは、少し予定が崩れてしまいますね。


 しばらく様子見させていただきましょう。


「お前ら! こいつから無理やりでも奪い取れ!」


「イエッサー!」


 盗賊は五人組のようね。それも、みんなぎっざぎざのヤバそうなメンツ。


 ここは正義のヒーローっぽく登場した方がいい気がしてきました。


 おっと、青髪ヤンキーが無理やり麻袋を手に入れようとしています。


 そして、黄色モヒカンと黒髪オールバックが少女の身動きを封じました。


「そうだ。そのままやれ!」


 黒髪リーゼントが煽ってます。まるで極道の中の極道ですね。


 そろそろ登場シーンでしょうか。ショ○カー撃退作戦開始です。


 私はこっそりと陰から出て、黒髪リーゼントの背中をくすぐります。


 するとなんということでしょう。リーゼントが大爆笑してしまいました。


 後ろにのけぞったところで、数歩バック。腹を狙って回し蹴りしましょう。


 嬉しいことに、履いているハイヒールのつま先がめり込みました。


 リーゼントは横腹を押さえて悶えています。


「な、何者だ!」


「何者ですって? メイリーン伯爵家令嬢、アリアナ・メイリーンよ」


「アリアナ・メイリーンだと!?」


 そう、私の家名はメイリーンです。代々アリストラ王家に仕えてきました。


 伯爵家でありながら、王位継承上位者との婚約は確約です。


 それほど認められている名門中の名門ですから。


 と、色々考えていましたら、オールバックが殴りかかってきたではありませんか。


 ふらりと酔拳風にでもしておきます。ちなみに私が下戸ですが……。


「攻撃が当たらないだと!?」


「大振りなのですよ。動きは見切り済みでしてよ」


 ふらりふらりと身体を揺らしながら、正確に避けていきます。


 時折足の移動場所を制限させて、もつれさせましょう。


 すると面白いことが起こりましたよ。


 黄色モヒカンと脚が絡まって転倒してしまいました。


 あとは、青髪ヤンキーですね。しかし待ってくださいよ。


 一人足りないではありませんか。麻袋は近くにあるので、逃げたのでしょうね。


「大丈夫ですか? 怪我はありませんこと?」


「だ、大丈夫です……。アリアナ・メイリーン伯爵家令嬢様……」


「アリアナでいいわ。貴方名前は?」


「レイラン。レイラン・ラーレントです」


 レイランという彼女。ものすごく気に入りましたわ。


 それにしても亜麻色髪の彼女が可愛くて仕方ありません。


 こんなにも可愛らしい人が、私と一緒に暮らしてくれるのならば。


「レイラン。私と小屋で過ごしませんか?」


「え? でも、ボクは……」


「その麻袋。お金ですわね」


「あ、はい!」


 私は麻袋を持って中身を確認します。


 金貨が三〇枚ほど。親のへそくりでしょうか。


「ついてきなさい」


「はい……」


 私はレイランを小屋へ案内します。


 小屋まではすぐそこ。到着すると、お湯を沸かします。


 小屋でありながら、入浴できる場所もあるのですよ。


 ものすごく便利すよね。普通小屋は物置ですから。


 そして、ここには私の着替えもあります。


 おさがりになりそうな物もあるので、そちらをレイランに着てもらいましょう。


 まずはレイランの服を洗濯しましょう。庶民めいた服は捨てた方がいいです。


「アリアナさん。この服どうして捨てるのですか?」


 案の定レイランが質問してきました。


 私はしっかり事情を説明。簡単に飲み込んでくれたので助かります。


 服を脱がせたら、お湯をためたお風呂へ入れます。


 竹炭を使った洗剤で全身を洗って、オリーブオイルで香りと保湿を。


 ここには、クリーム系の洗顔料がないのでかなり困っています。


 貴族とはいえ、ここでは庶民的な暮らしをしていますから。


 オリーブオイルを塗った髪はべたべたするので、お湯でしっかりと流します。


 あくまでもコンディショナー代わりです。


「レイラン。これで大丈夫よ」


「あ、ありがとうございます」


「服と下着は用意しておいたから、そこに置いてあるものを使いなさい」


「ありがとう……ございます……」


 レイランが着替えている間に私も入っちゃいましょう。


 しかし、このドレスを脱ぐのは難しそうです。


 まずは腰回りのリボンをほどきます。


 スルスルと下の部分が伸びていきました。


 そのあと両肩の紐をほどきます。これでようやく腕と肩が解放です。


 胸元の紐を緩めます。太い筒状になりましたね。


 一気に脱ぐと狂気のコルセットが現れました。


「レイラン。コルセットを外すの手伝ってちょうだい」


「は、はい……!」


 レイランにコルセットを外してもらい、なんとか裸体を晒せました。


 あらま、腰から腹にかけて薄い青あざができてますね。


 着付けの人が容赦なく締めたからですよ。次やったら胸倉掴んで差し上げますわ。


「アリアナさん、背中が真っ青です……」


「わかってますわ」


 私はお風呂へ入る。お湯に溶かした竹炭で身体を洗い髪を洗い。


 オリーブオイルで髪の保湿。しっかり流して出来上がり。


 スッキリした身体で全身拭きながら出ると、何やら美味しそうな匂いがしてきましたよ。


 普段着ているシャツとズボンに着替えまして、長い髪を後ろへ束ねます。


 私の髪は青系の翡翠色。ここではかなり珍しいそうです。


「アリアナさん。夕食作りました」


「ありがとう。気が利くわね」


「いえ、助けていただいたお礼です」


 今日の夕食は、シチューですか。ものすごく美味しそうです。


 お米がないこの世界では、パンが基本。この生活は個人的に好きかもしれません。


 前世でもパンばかり食べてましたから。理由は朝寝坊です。


 レイランが食べ始めましたね。私もいただきましょう。


「けれど、レイラン。これどうやってあの短時間に?」


「秘密です。ボク、いつも命を狙われてるので……」


「それはいつから?」


「幼少期からです。あの麻袋はボクが最初に貰ったもので、ボクの願いしか叶えてくれないんですよ」


 なんともおかしな話なのでしょう。麻袋の秘密が知りたくなりました。


 きっと、謎が隠されているとしか考えられません。


 では、レイランの話を聞かせてもらいます。


 もちろん、秘密厳守の秘匿事項ですよ。

20時台に第三話を公開します。


ブクマ・高評価よろしくお願いします

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