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レズビアンな暴君令嬢は、清楚系王子様になりたい  作者: 八ッ坂千鶴
第二章

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第十八話 ナンパはいけませんよ

 さてさて、バザーイベントが開始しました。


 最終盤にある大花火までの間の短いイベントです。


 客がたくさん出ている間に、一気に売りさばくのです。


 これは呼び込み勝負。そして、宣伝勝負の大乱闘。


 商人魂が刺激されますね。ここは超絶キュートなルーラを看板にしましょう。


 レイランはどうしたのですって?


 彼女には宣伝をお願いしています。他の店に行って、顔出してくださいって。


「あ……え……」


「なにこれ、人形みたい。かわいいですね」


 早速客が来ましたよ。やはりルーラの激かわオーラがかかっているのでしょう。


 しかし、今の彼女はあくまでも失語症という設定です。


 自分から呼び込むことはしません。本人はやりたくて仕方ないでしょうけど。


 ですが、彼女が一言呼び込めば客は全員こちらの味方です。


 他の人にも迷惑がかかる。それは違反なのでできませんね。


 それでも、今回売るのは服が五十着。使わなくなったボロ椅子が少し。


 どうしてボロ椅子が少しあるのかというと、ルーラが持ってきたのです。


 彼女は物の具合にも反応するようで。教会でレイランの麻袋を直した時使えると考えました。


 脚のくっつきが悪い廃棄予定の椅子を、即興で直してもらいました。


 このおかげで、商品が増えたのです。ただの洋服屋にならなくてよかったですね。


「店員さん。この子ください!」


 おやおや、やってきたのはナンパ男ですか。ルーラを狙っています。


 それでも怒らないのは、ルーラが優しいからでしょう。


 こっちは沸点低いのでもう頭がほっかほかに煮えています。


 どうしましょう。ルーラを貸しだしますか。


 いや、そんな野暮なことを考えてはいけません。


 しっかり正しく、客を失わない程度に。


 落ち付くのです私。


「申し訳ございません。その子は非売品で商品ではございません」


「ちぇ……。なら無理やり連れていく」


 これはこれは、私の額がビキリと言いましたよ。


 ナンパ男って嫌です。王子の方がマシです。いや王子と同類です。


 ぶっ飛ばしましょうか。ええ、ぶっ飛ばしましょう。


 私は店の席から立ち上がります。そして、表で出てナンパ男の胸倉をつかみます。


 他の客に影響が出ないよう周囲を確認し、天高く投げ飛ばす。


 瞬殺ロケット砲です。さっき名付けました。


「あ……」


「どういたしまして。しかし嫌ですわね……。これではルーラも危険です」


「大丈夫」


「そうですか。わかりました」


 彼女が普通に話す時は、できるだけ小さい声にしてくれます。


 少し特殊な発声法にしているようで、私とレイランにしか聞こえません。


 それだけでも、気が利くのです。ルーラはただの子供ではない。


 羨ましい部分があります。私も、そういう子で生まれたかったです。


 そうすれば、魅了なら何やらで男女構わずできますからね。


 しかし、男まで寄せ集めてしまうのは嫌です。


 むしろ無駄は削りたい、女だけで十分ですから。


 となると、これは男性批判になってしますね。


 私って思考が偏っているのでしょうか。


「店員さん。この服ください」


「あ……」


「この子かわいいですね。店番頑張って!」


「う……」


 だんだん人が集まってきました。


 ここから忙しくなります。服もどんどん売れていきます。


 と、ここでレイランが帰ってきましたね。


 両手に大量の袋を持っています。お買い物が楽しかったのでしょう。


 しかし、見た目が非常に大変です。まるで子供を両腕にぶら下げているような。


 どこぞのマッチョですか。笑いものにされますよ。


 そんなことも考えていないみたいで、頑張ってる感を出してますね。


 まあ、いいでしょう。お疲れさまです。


「アリアナさん。この荷物はどこに置けばいいですか?」


「そうですね……。アリス、持てる分だけ屋敷に持って行って」


「チッ」


 あらあら、また舌打ちですか。本人はやりたくないようです。


 ですが、彼女に店番をさせるわけにもいきません。


 出品者は私の名前になっているので、本人がいないといけないのです。


 出品責任者の不在は重罪です。変に踏みましたね。


「アリスさん。ボクも一緒に行きます」


「……承知しました。チッ」


 本日二度目の舌打ちですね。私の方に鋭利な視線を向けています。


 まあ、そういう目は慣れていますので気にしませんが。


 この後もどんどん売れていきました。銀貨が三十枚程度でしょうか。


 いい収入です。仕事はしないといけませんからね。


 この銀貨で何かしら買ってあげましょう。


 そうしている間に空が暗くなってきました。


 大花火の時間も迫ってきています。


 この会場から屋敷まではそこそこ距離があるので、間に合うか心配ですね。


 まあ、大丈夫でしょう。そう願っておきます。


「アリアナさん。自分はまだいた方がいいですか?」


「ルーラはまだいていいわよ。アリスがいれば大丈夫」


「そうですか。わかりました」


 どうしても気になるみたいね。


 ルーラはレイランのことが好きですから。


 もっと言えば、私よりも気に入っているかもしれません。


 そうなると女の取り合いが勃発しそうで怖いですね。


 ということは、起こらないと思いますが……。


 まあ、これも問題ないと仮定しておきましょう。


「まもなくバザーを終了します。皆さん店じまいの準備をしてください」


 祭りの主催者が声かけをしています。


 もう終わりですか。早いですね。


 とここで、荷物を置きに行ったレイランとアリスが戻ってきました。


 大花火に間に合ったようで何よりです。


 私は売れ残ったものを全て回収すると、レイランの麻袋に入れました。


 この麻袋は上手く使えば荷物をまとめる役割があるそうです。


 ならば、先にそうすればいいものを。もうことは過ぎているので、遅いです。


 バザーの店じまいを完了すると、大花火が開始されます。


 今日の天気は快晴。色々ありましたが、大通りは賑やか。


 違う意味で楽しめたかもしれません。ルーラの秘密も知れましたしね。


「わぁ……。アリアナさん。花火綺麗ですね」


「そうね。だけど、それ以上にレイランの顔が綺麗よ」


「そ、そんなこと言わないでください! は、恥ずかしいですよ!」


「アリアナさんとレイランさん。自分も仲間に入れてください!」


 こうして、忙しい一日は終わりました。


 明日もきっとこんな一日になるのかもしれません。


 変なことが起こらないことを祈りましょう。


 と思ったら、お父様からお話があるようですよ。


 嫌いなアリス情報ですが、花火が終わったら行きましょう。

このあと21時にもう一話更新します

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