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無価値な王子と婚約拒否した暴君令嬢は、清楚系王子を目指し同性愛を嗜みたい  作者: 八ッ坂千鶴
第二章

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第十五話 無言行動も困ります

 いよいよ、祭り本番です。皆さんおしゃれをしていますね。


 ルーラもこの前自分でリサイズしたドレスを着ています。


 赤い髪に黒いドレス。なんかものすごく似合っています。


 そして、ステラはピンクのフレアドレスを着ています。


 対して私は……。


「なんでアリアナさんはおしゃれしないんですか?」


「……う……ん……」


 私だけ普段使いのタキシードを着ています。


 場違いでしたでしょうか。男役として問題ないかと思いますが……。


 しかし、こんな時でも動じないのが一番です。


 この祭りはどんな格好でも許されます。そんな祭りなのです。


 ところで、神の子巡礼はいつ頃でしたでしょうか。


 日程の回覧板があったはずですが、私たちのところには来ていません。


 どうしてなのかは知りませんが、何かがおかしいです。


「……ん……」


「ルーラちゃん?」


「……ん……」


 何を言っているかさっぱりわかりませんね。


 何を説明しているのでしょうか。


 すると、ルーラが走っていきます。追いかけましょう。


 人ごみを避けて移動すると、子供の隊列を見付けました。


 神の子巡礼の参加者でしょうか。


「ん……。こ……こ……」


「ルーラ?」


「じ……ん……。お……」


 やはり何を言っているかわかりませんね。


 レイランも頭を悩ませているようです。


 少しでも力になれればと思っていますが……。


 またルーラが走っていきました。


 本当に走る速度は早いです。これでは体力が持ちません。


 いえ、私は大丈夫ですが……約一名……。


「はぁ……はぁ……ボクを置いてかないで……」


「仕方ないですね」


 ヘロヘロ状態のレイランを抱え、ルーラを追いかけます。


 彼女は一体何を伝えたいのでしょうか。


 心が読めない人は、理解しがたいものです。


 本心をさらけ出せるくらいまで、しっかりと会話できた方が楽ですね。


 対して饒舌すぎるのも厄介ですが……。


「お嬢ちゃん。可愛いねぇ……。一緒に来ないか?」


 どこからかチンピラの声が聞こえてきましたね。


 この方向はルーラが向かった道です。


 ここから先は行き止まりのはずですので……。


「ルーラ!?」


 私は両足にブーストをかけて走ります。


 チンピラのいる場所に到着すると、そこにはルーラがいました。


 どうやら襲われていたようです。目が回っている状態のレイランを置いて戦闘モードへ変更です。


 しかし、ここはものすごく狭いですね。大技はできなさそうです。


 三方を壁に囲まれています。どうしましょうか。


「とりあえず。こうしましょう。せいやッ!」


 ――バシン!


 恒例の平手打ちです。これだけでも顎の骨が折れます。


 他の人も同様にしていきます。簡単でしたね。


 そうして、右にレイラン、左にルーラを抱え逃げましょう。


 と思いきや、逃げ口塞がれてましたか。


 人の壁なんて、ただの跳躍で回避できますけどね!


 そのまま猛ダッシュで中央区に移動です。


 と言っても、後ろが騒がしいですね……。傭兵さん。悪い奴らはこちらです!


 しかし、それでは誰も来ないでしょうね。わかってます。


 二人を抱えた状態での戦闘は怪我しやすいです。


 一応レイランは正気に戻ったみたいなので、彼女にルーラを預けましょう。


 「これで両手が空いたわね。本気で行かせていただきますよ」


  ――ドガン!


 おっと一人殴っただけで数人倒れましたよ。


 男ってこんなものなのでしょうか。面白くないです。


 その後も、バッタバッタと倒していきます。


 祭りの裏で、このような戦闘はつきものです。


 それを対処する役目を私がすることになるとは……。


「あ……り……」


「どういたしまして」


「祭り始まってしまいますよ!」


「急ぎましょう」


 こんな初っ端から運動させてくれるとは、嬉しいものです。


 祭り会場に到着すると、神の子巡礼が始まってました。


 子供たちが得意の業を披露しています。とても可愛いですね。


 しかし、本物の神の子は私たちの近くにいます。


 そうです。ルーラが本物の神の子なのですから。


 声を失った神の使い。彼女は最後まで生かさなければならない。


 使命として請け負うことは、とてつもなく多いです。


「ルーラちゃん。食べたいものはありますか?」


「あ……」


「飴が舐めたいんですね。わかりました!」


 レイランが飴を買いに走ります。それを渡すとルーラは舐めはじめました。


 私は、この世界では珍しいケバブをいただくことにします。


 辛いのは好きなので、スペシャルチリソースをかけてもらいました。


 口の中がピリピリを通りこしてジンジンくるのがすきなのです。


「アリアナさん、そのケバブ。ボクも食べたいです」


「辛いわよ?」


「じゃ、じゃあ……」


 レイランは甘いソースで買ってきたようですね。


 ルーラも食べています。なんか三人で同じものを食べるっていいですね。


 こんな毎日が続くことが一番です。


 しかしどうしてでしょう。なんか今回の祭りは華がない気がします。


 そうでした。王子の正式婚約発表がありました。


 ですが、私は彼とは婚約破棄しています。


 否、婚約拒否をしましたから一番の大イベントが無くなってしまったのでしょう。


 ものすごく残念なことです。あら、またルーラが走っていきましたよ。


 今度はなにでしょうか。気になるのでついていきましょう。

次回更新は20時です!

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