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レズビアンな暴君令嬢は、清楚系王子様になりたい  作者: 八ッ坂千鶴
第二章

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第十四話 話せないという苦労はとても厄介です

 あれからルーラは、少しだけレイランに懐いたようです。


 なぜ私ではなくレイランなのでしょうか。


 考えてみれば、レイランが挨拶をした時に声を出そうとしてましたね。


 それも何かあるのでしょうか。気になります。


「ルーラちゃん。次はこっちです!」


 レイランが話しかけると、ルーラはこくりと頷きます。


 今彼女たちは部屋の掃除中です。


 祭りの前はこうして、大掃除をするのです。


 もちろん私もやってますよ。服の整理です。


 基本的には、私の服の整理。レイランとルーラが着れる服は残します。


 それでも着ることができない服は、しっかりと処分です。


 と言っても捨てるわけではありません。


 祭りのバザーで売るのです。この国の衣類は常に循環します。


「レイラン。この服どうかしら?」


 私はレイランの身体のサイズに合う、黒いドレスを見せます。しかし……。


「うーん。ボクはもっと明るい服がいいです。できればフリフリいっぱいの」


「……。そ……。……」


 ルーラが声を出しましたね。ですが意味が通ってません。


 それをレイランが見てくれてます。彼女の方が母性働いてますね。


 まあ、それも嬉しいことですので問題ないかと。


 すると、ルーラがこちらへ来ました。先ほどレイランに見せた服を引っ張っています。


「ルーラちゃん。あの服着たいんですか?」


「……」


 こくり。どうやら、この服はルーラが着るそうです。


 ですが、ルーラの身体には少々大きい気がします。


 すると、彼女は服に息を吹きかけました。


 服が小さくなっていきますね。これはどういうことでしょうか。


「……き、……れ……」


「アリアナさん。ちょっと見せてください」


「え、ええ……」


 私はレイランに服を見せます。サイズの確認でしょうか。


 突然ルーラの服を脱がし着替えさせ始めました。


 何故かサイズが合っています。それもぴったりです。


 私には原理が理解できません。摩訶不思議のない不思議な現象。


「きっと、彼女は神の子です。ボクの予想だと、神の息を持っているんだと思います」


「それなら、無闇にしゃべれないのは理解できるわね。彼女も命を狙われる可能性があるわ」


「そうですね……」


 ルーラはきっと、おしゃべりが好きな子なのでしょう。


 しかし、自分の神の声で事件を起こしてしまう。


 それに影響された結果、失語症を発症したのかもしれません。


 下手に話すと、人を傷つけるのではと思っているのだと思います。


「ルーラ。大丈夫よ」


「……」


「ルーラちゃん。大丈夫です」


「……。うぅ……」


 あらあら、ルーラが泣いてしまいました。


 その顔もとても愛おしいです。こうなったら本格的に養子にしたいですね。


 とりあえず、部屋の掃除は完了しました。


 今度はルーラに読み聞かせ……ですが、私は苦手なのでしません。


 どうも向いてないようなので。これで変に思われたら困ります。


「ルーラちゃん、読んでほしい本はありますか?」


「レイラン。あとは任せたわ」


「はい!」


 私は退室をします。そこにはルイス兄様が立ってました。


 私の部屋の廊下は、誰も人が通りません。


 それもそのはず、私に変なことをすれば高確率で殴られるからです。


 ここの使用人は殴られることを嫌います。来るとしたらレイランと兄様くらいでしょう。


 時々お父様の出没しますが、それもかなりのレアパターンです。


「アリアナ。教官がお呼びだ」


「わかりましたわ。今すぐ向かいます」


 私は中庭へと移動します。私の部屋は二階なので、外廊下からのダイブ登場しましょう。


 中庭には教官と鍛錬に励む傭兵がいました。


 もちろん今日もこのメンバーに加わります。


 剣を受け取り素振りから。そこから連撃に移行。


 体術も加えて、見本を披露です。


「おおーー!」


「さすがは破天荒令嬢様」


 破天荒とは聞き捨てならないですね。


 たしかに破天荒と呼ばれるのも無理はありません。


 しかし、何に対しても令嬢をつけるべきではないです。


 おしとやかにできない私ですが、そこはわきまえてもらいたい。


 というのも、軽々しい願いかもしれません。


 それでも、暴君令嬢というのは気に入ってます。あれは話が別です。


「教官。話とは何かしら?」


「今日から、アリアナ令嬢を王国直属の部隊に任命したい。と思って……」


「全面却下します」


 なんだ、そんなくだらないことでしたか。


 この国周辺では、これと言った紛争は起きません。


 平和すぎるのです。それでも軍隊を作るのですから頭が馬鹿ですよ。


 それでも用意周到というのは一番大事になってきます。


 何事も備えあれば患いなしですからね。


 準備をしっかりしておけば、どんな状況にも対応できます。


 しかし、レイランという可愛い子を放っておいた国が許せません。


 だから私は却下しました。ましてや王国直属なんてもってのほかです。


「私は王城関連と紐づけられたくはありません。ですので、却下させていただきます」


「そ、そうか……。いい出世の機会とは思ったが……」


 教官が困ってますね。そんなのも計算済みです。


 その後は普通に鍛錬をしました。後半はレイランとルーラも見学です。


 さすがに女二人に見られると恥ずかしいですね。


 少しだけ力が抜けてしまいます。なんて私は女に弱いのでしょう。


 男には強く当たれるのですけどね。


 もう少し、精神面の鍛錬が必要なようです。


「……が……ば……」


「アリアナさん。ルーラちゃんが頑張れって言ってます!」


 だんだんレイランが言葉を理解し始めたようですね。


 では、今度から彼女にはルーラの翻訳係になってもらいましょう。


 それだけで、私の仕事が減りますから。


 鍛錬が終わると、二人がタオルを持ってきてくれました。


 せっかくなので二枚とも、もらっておきましょう。


 ルーラには話すことの恐怖心を少しでもほぐす必要がありそうです。


 これから夕食。その後は入浴。もちろん三人でしますよ。


 嬉しいことに、この伯爵家にはしっかりとしたシャンプーとボディーソープがありますから。


次回更新は明日朝8時を予定しています。


よろしくお願いします!

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