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レズビアンな暴君令嬢は、清楚系王子様になりたい  作者: 八ッ坂千鶴
第二章

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第十二話 お父様も子供には弱いのですね

 屋敷に戻ってきましたが、これはどういう状況でしょうか。


 人がたくさん集まっています。それも全員男性です。


 困りましたね、これでは子供を温かい場所に移動できません。


 簡単に殺ッちゃうのもいいですが、私は今子供を抱いています。


 足技はできますけど……。どうしましょうか。


 と思ったらルイス兄様が帰ってきました。


「兄様、少しいいかしら?」


「なんだ?」


「この人たち、ボコっていいかしら?」


「は?」


 まあそういう反応をするでしょうね。


 もう我慢ができないのです。この場所を開けてもらわなければ。


 さて、ここの大衆の皆さんと踊りましょうか。


 最高の武闘会を……。


 一気に接近します。そこからは簡単です。


 私ができる技は全てお見せしました。


 ですので、やや省略をさせていただきます。


「せいっ!」


 ――ドゴン!


「そいや!」


 ――ドサァ……。


「う、うぅ……」


「これで片付きましたね。見事な踊りでした」


 なんか物足りないですね。もう少し動きたかったです。


 それよりも、子供の体調が最優先ですね。


 倒れた男どもを踏まないように、屋敷の中へ入ります。


 その先では、お父様が口を半開きにしてました。


 ちょっとやりすぎだったでしょうか。


 まだまだ運動不足ですのに……。


 まあ、このあと鍛錬がありますので、そこで巻き返すとしましょう。


「お父様。帰りました。子供は見つけましたよ」


「そうか……。ちょっと見せてもらえるか?」


「ええ」


 子供をレオナントお父様に見せます。


 肌に触れると、ビクリと動きました。


 それだけ身体が冷えているのでしょう。


 このまま低体温商になったら、命が危ないです。


 しかし、こんな時でもレイランの麻袋が役立ちました。


 実は、子供を毛布でくるんでいたのです。


 この毛布も、レイランが用意してくれました。


 本当に、この麻袋はすごいです。他の神具も見てみたいですね。


「早く暖炉の準備をしてもらえるか?」


「かしこまりました、伯爵様」


「お父様、よろしいのですか?」


 お父様が自分から子供の安全を優先するなんて。


 いくら女であれ、やはり小さい子の生死は心配になるようね。


 親としての性ってものかしら。それなら嬉しい限りです。


 続いて、お父様がルイス兄様に子供を預け、中へ。


 子供はかなり弱っているようです。


 きっと、食事ができなかったのでしょう。


 かわいそうに。あんなにも豪華な料理を提供する奴隷施設でも、食べない人が食べないのですね。


 子供はルイス兄様が連れていくそうです。


 私の手には何もないので、少し物寂しいですね。


 なにか持って振り回したいです。別に花束でもいいのですよ。


「ここからは俺に任せてくれ」


「はい。ありがとうございます。兄様」


 私はレイランと一緒に暖炉のある部屋から出ます。


 これから王城に行かないといけませんので。


 しかし、本当は行きたくないです。


 何度も言いますが、私はあの出来損ない王子とは会いたくないのです。


 もうひとつ、私の思い人はレイランだけで十分です。


 彼女がいれば、幸せですから。それ以上のことは求めません。


 痛い思いをして子供を作るなんて、それこそ嫌ですから。


 もっと紳士的になれればいいのでしょうけど。私の性格こそが穢れていると思いますね。


 人をボコることを普通にする。暴君と呼ばれるのも無理はありません。


「アリアナさん。ボクも一緒に行ってもいいですか?」


「ええ。もちろんいいわよ」


「ありがとうございます!」


「その代わり、レイランは私の新しい婚約者のフリをすることね。わかった?」


 女が女を婚約者にする。それは、この世界でご法度です。


 きっと国王から許しは出ないでしょう。


 ですが、これは国政改革の一環です。しなければ何も変わりません。


 この国は変らなければならないのです。もっと多様性のある国として。


「わ、わかり……ました……。ど、どうすれば……」


「普段通りにしてればいいわ。私がエスコートするから」


「はい。そうします……」


 これで準備は整いました。私はレイランの手を持ち、王城へ向かいます。


 それにしても、なぜこんなにも温かいのでしょう。


 人の肌とは、こういうものでしたでしょうか。


 なんだか、温度を気にしなかった私にも変化が起きている様です。


 屋敷を出て、王城のある場所まで移動します。


 女同士の歩く姿は、友達程度の範囲でしょう。


 ですが、今私とレイランは疑似的な婚約者。


 周りから見れば、浮いているかもしれません。


 それでもいいのです。今後このような風景が広がりますから。


「その……。アリアナさん……!」


「なにかしら?」


「アリアナさんは、ボクのことが好きなんですか?」


「ええ、好きよ。心からね」


 その言葉で、レイランの顔がポッと赤くなりましたね。


 もし彼女もレズビアンなのだとしたら、成立するかもしれません。


 なんだか、面白くなってきましたね。


 そうしている間に、王城の門前まできました。


 王城の周りには白い城壁で囲われていて、中央に城があります。


 ここはアリストラ王国の中心部と言っていい場所です。


 門番に名前を伝えて、中へ入っていきます。


 城は非常にシンプルで、真っすぐ進めば城内。


 レイランは初めて入るようで、目を輝かせてますね。


 私もここには数回しか来たことがありません。


「アリアナ・メイリーン伯爵令嬢様。そちらの方は?」


 城の案内人がレイランを見ていますね。


 レイランは恥ずかしいのか、顔をそっぽに向けています。


 これも計算の内です。もちろん私は嘘をつくことはありませんので。


「私の新しい婚約者です。一緒に通してもらえるかしら?」


「こ、婚約者……ですか?」


「ええそうよ。早く通さないと、壁に顔面衝突させるから、覚悟はございまして?」


「ひ、ひぃ……。い、今すぐご案内いたします……!」


 かなり怖気づいているようね。そんなに私が怖いのかしら?


 さすがに暴君令嬢の名はすごいですね。


 もしかしたら、国王にも伝わっているかもしれません。


 部屋に案内されると、そこには国王陛下が座ってました。


 さて、王との私的な会談は初めてに近いです。上手くいくでしょうか。

この後16時30分頃本日2話目更新です。


よろしくお願いします!

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