#9
巣まで楽勝かと思ったのだが、近づくにつれ、レッドアントの数はどんどん増えていく一方だった。
「「ギギッ!」」
「〈調合〉!」
「「ギィィィ!」
ふぅ、やった。
「「ギギッ!」」
……ってもう次か?
「〈調合〉!」
「「ギィィィ!」」
よし、さっきの奴の分もドロップを回収して……
「「ギギッ!」」
げっ、またか!?
「〈調合〉!」
「「ギィィィ!」」
こんな具合できりが無い。リタも素材を回収する暇がなく、アワダチ草とネンチャク草は減る一方だ。
(まあ、〈等価交換〉ならいつでも補充できるけど)
どちらもハズレ素材だから出すのに必要なアルはかなり少ない。だからレッドアントの素材をアルに変換すれば十分に足りるし、発泡薬もまだある。
「ロイド!」
「ああ」
そうこうしているうちにレッドアントの巣が見えてきた!
(見た目は巨大な蟻塚みたいだな……)
だが、巣は地下にある。目の前の高い塔の様な砂の山は地下を掘った時の砂を積み上げただけなのだ。
(問題なのはこっちか……)
巣の周りにはレッドアントだらけ。巣に入る前にコイツらをどうにかしないとな。
「村の人達は奥にいるはずだ」
「うん。行くしかないね」
リタが勇敢にもそう言うが、実は目の前のレッドアントを全て相手にする必要はない。
(〈調合〉……)
原作知識にあったようにレッドアントの素材、赤蟻の腑と〈等価交換〉で手に入れたアカジアの蜜を材料にして〈調合〉すると……
(出来た!)
レッドアントを惹きつける餌、赤蟻マタタビの出来上がりだ!
「リタ、遠くへ投げてくれ!」
「分かった!」
言うが早いか、赤蟻マタタビは遥か彼方へと飛んでいく。すると、それを追ってレッドアント達が巣から移動を始めた。
(……そろそろか)
巣から出てくるレッドアントがいなくなったのを確認してから僕達は巣へと足を踏み入れた。
「……分かれ道がいっぱいだね」
リタは不安そうにそう言うが、実は道は既に分かってる。でも、原作知識のことをどう伝えたら良いか分からないんだよな……
「大丈夫。基本的に下へ向かえば村の人がいる部屋に着くから」
「分かった。ありがとう、ロイド」
結局そんな曖昧な言い方しか出来なかったが、リタの不安は何故かマシになったみたいだ。
ザッザッザッ……
赤蟻マタタビの効果もさほど長くは続かない。警戒しながらもどんどん進んで行くと……
「ギギィ!」
「ギィ!」
奥からレッドアントが! いや、コイツらは……
(レッドアントナイトだ!)
レッドアントナイトは見た目は頭の上にある突起くらいしか違いがない。が、通常のレッドアントよりもパラメーターが高い上位種だ。
「リタ、気をつけて! コイツらはさっきまでの奴らとは別物だ!」
「分かった!」
レッドアントナイトも発泡薬が有効なのは一緒だ!
(〈調合〉!)
シュワシュワッ!
狭い通路だから広がるのも早い。瞬く間にレッドアントナイトは泡に包まれた。が……
「ギギギィ!!!」
二匹共泡を突っ切ってこっちに向かって来る! くっ、通常のレッドアントよりも生命力も高いからか!
「ギィッ!」
レッドアントナイトが鉤爪のついた前足を振り上げる。クソッ、かわし切れな──
(あれ?)
スカッ……
絶対に間に合わないと思ったのだが、反射的に飛び退いただけで奴の鉤爪は俺から外れて地面に刺さった。そして……
「ィィィ……」
そのまま息絶え、ドロップを落とす。ようやく発泡薬が効いたみたいだ。
「ロイド、大丈夫?」
「ああ」
見るとリタに向かっていたレッドアントナイトも倒れている。彼女も無事だ。
(そうか、レベルアップでパラメーターが上がったからか!)
ここに来るまでバタバタしてたからステータスを開いてなかった。奥に進む前に確認しておこう。
◆◆◆
ロイド
LV27
力 60
防御 59
魔力 58
精神 57
素早さ 59
スキル
〈等価交換(LV2〉 (5000アル)
〈調合〉
〈アイテムボックス〉
装備
服
アイアンナイフ
◆◆◆
LV27だって!?
(レッドアントを倒しているうちにここまでレベルが上がっていたなんて!)
でも、これならさっきの攻撃をかわせたのは納得だ。
「LVが25! 何で!?」
リタもレベルアップしてるみたいだな。
(油断は禁物だけど、これならいけるな)
俺達は再び先に進みはじめた。
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