#8
ブンッ!
「ギィィィ!」
空気を切り裂くような音と共にレッドアントが悲鳴を上げる。今だ!
パリン! シュワシュワ……
泡がレッドアントを包み込む。よし、やったか。
「えへへ、役に立てたかな?」
リ、リタ!?
「ロイドに頼りっぱなしじゃ嫌だからついてきちゃた」
ついてきちゃたって……危険から待っててくれって言ったのに!
「あ、お父さんにはオッケーして貰ってるよ。ほら!」
呆れる俺にリタは手にした剣を見せつける。彼女の手には少し余るそれはお父さんの剣なのだろう。
(まあ、確かにさっきは危なかったしな……)
それに自分の村のことなのに自分が何も出来ないってのは辛いか。
「……分かった。でも危なくなったら逃げてくれよ」
「やった!」
笑顔を浮かべるリタにため息をつきながら、僕はステータスを開いた。
◆◆◆
ロイド
LV12
力 30
防御 29
魔力 28
精神 27
素早さ 29
スキル
〈等価交換(LV2〉 (450000アル)
装備
服
アイアンナイフ
◆◆◆
レベルが12! めちゃくちゃ上がってる!
(レッドアントを三匹倒したからか)
それに〈等価交換〉のスキルレベルも上がってる!
(何が変わったんだろう……っ!)
スキルレベルが上がったことによる変化。それは……
(スキルが手に入るようになってる!)
ポーションやツルハシといったアイテムだけじゃなく、スキルも表示されている。つまり、アルさえあれば好きなスキルが手に入るってことか!?
(……まあ、バカ高いけどな)
スキル習得に必要なアルは最低でも十〜二十万アル。戦闘用のスキルになると最低でも五十万アル以上だ。
(今手に入るものだと〈遠視〉に〈集中〉。後は……)
どれも一般的にはハズレと言われるスキルだ。使えない訳では無いが、やはり戦闘用のスキルが当たりだと言われることが多いからな。
(”等価交換”だから価値があるものは高くなるよな)
戦闘用のスキルが手に入ればレッドアントとの戦いが楽になるのは間違いない。が、そのためにはマジックバックを手放してアルを増やす必要がある。
(けど、今マジックバックを手放すと持てる発泡薬が大分少なくなるな……)
切り札とも言える発泡薬が大量に入っているマジックバックは手放せない。そうなるとやはり今役に立ちそうなスキルはないな……
(ん? これは……)
俺の目に〈調合〉と言うスキルが映った瞬間、再び原作知識が降りてきた!
※
準備を終えた後、俺達は再び巣へと向かって歩き出した。が、すぐに……
「ロイド、二時の方向から近づいてくる!」
「分かった!」
次の瞬間……
「ギギッ!」
「ギギギッ!」
レッドアントが二匹。だが、リタが事前に教えてくれたおかげで準備は既に整っている。
「〈調合〉!」
さっき習得したばかりのスキル、〈調合〉は本来毒消しなどのちょっとした薬品を作るためのもの。しかも、それもポーションなどの劇的な変化をもたらすものは作れない。だから間違っても戦闘用にはなり得ないハズレスキルだ。
(けど、〈調合〉は〈アイテムボックス〉の中にある素材を使った場合、即座に効果を発揮させることが出来る……)
例えばこの辺りに生えているハズレ素材、アワダチ草とネンチャク草。これで発泡薬を〈調合〉すると……
シュワシュワッ!
即座に効果を発揮させればアイテムにしてから使うよりも凄い勢いで泡が立つ。つまり……
「「ギィィィ!」」
二匹のレッドアントが泡に包まれて悲鳴を上げる。よし、やった!
(原作知識がなければこんな使い方は思いつかなかったな……)
〈アイテムボックス〉と〈調合〉を習得したせいでアルはほぼなくなったが、これだけ威力が上がるのはデカいな。
タッタッタ……
俺がレッドアントのドロップを回収終わるとリタが近づいてきた。
「お疲れ様、ロイド。これ、使えるかな」
そう言ってリタが渡してくれたのはアワダチ草とネンチャク草だ。俺がレッドアントの素材を回収している間にリタは周囲を警戒しながら集めてくれたみたいだ。
(採取ポイントじゃないと、リタの採取もさほどレア度が高くない素材になるんだな)
だが、これならアワダチ草とネンチャク草の残量をあまり気にせず戦えるな。
「よし、行こう!」
「うん!」
俺達は再び巣に向かって一直線に進む。すると……
「ロイド!」
再びレッドアントだ!
「ギギッ!」
「ギギギッ!」
だが、問題ない。俺はさっきのように〈調合〉を発動させた!
「「ギィィィ!」」
よし、これならいける!
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