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10/13

#10

「みんな!」

「リタお姉ちゃん!」


 原作知識通りに進んだ先には糸のようなもので身動きが出来なくなっている村人達がいた。


「リタ、一体どうやって……」

「話は後! 早くここを出ないと!」


 村人達もまだ安全なじゃないと理解しているらしい。体を拘束している糸のようなものを何とかしようともがき始める。だが……


 ピキ……ピキッ


 奥から何かが割れる音がする。


(レッドアントは幼虫の餌にするため生きたまま獲物を巣に運ぶ習性がある。ってことは……)


 ピキピキ……パリィィン!


「ィィィ!」


 気味の悪い声と共に奥から白い幼虫が一匹こちらに這ってくる! 


「ひっ!」

「大丈夫! 一匹くらい私が……」


 剣を構えたリタが怖がる村人を庇うように前に出る。しかし……

 

 パリィン! パリィン! パリィン!


 卵が次々に孵っていく。一体いくつ卵があるんだ!?


「リタ、みんなを動けるようにしてくれ。幼虫は俺が何とかする!」


「分かった!」


 ビュッ!


 リタに声をかけた隙に最初に孵った幼虫が吐いた糸が左手に当たる。くそっ、左手が封じられたか!


(レッドアントは幼虫と成虫で体の作りが違うから発泡薬は効かないんだったな……)  


 成虫のように硬い外殻はないが、致命的な弱点もない。地味に戦うしかないのだ。


(とはいえ、今のレベルなら勝てない相手じゃないが……)


 厄介なのは数だ。一匹一匹話大したことがないが、四方八方からさっきみたいに糸を吹きかけられたすぐに身動きが出来なくなるのは目に見えている。


 ブス!  「ィィィッ!」


 〈等価交換〉で出した剣で幼虫を倒すが、この間にも幼虫はどんどん孵っていく。このままじゃジリ貧だ。 


(せめて村人達を拘束している糸が外せれば……あっ!)


 これは……そうなんだ!


(〈調合〉!)


 シュワシュワッ!


 俺は降りてきた原作知識の通りに発泡薬を合成する。だが、相手は幼虫じゃない。発泡薬を浴びせるのは……


「わわっ!」

「泡!?」


 村人達はあっという間に泡に包まれる。そして……


「糸が……消えた!」

「動けるぞ!」


 幼虫に発泡薬は効かない。が、幼虫が吐き出す糸は溶かすことが出来るのだ!  


「リタ、みんなを頼む」


 僕は〈アイテムボックス〉から発泡薬を幾つか取り出してリタに渡した。赤蟻マタタビの効果ももう切れる頃だ。急いで脱出しないと!


 ダダダダッ!


 幼虫が泡に怯んでいるうちに俺達は村人を連れて部屋を出た。前でリタに皆を出口へと先頭してもらい、俺は後ろで幼虫を押し止めるつもりだ。


 ブン! ブン! ブン!


 道幅が広くないから剣を振るえば牽制には十分だ。


 ビュッ! ビュッ! ビュッ!


 くっ、糸で動きを封じるつもりか! けど……


(〈調合〉ッ!)


 シュワシュワッ!


 〈アイテムボックス〉の中にあるアイテムが材料なら〈調合〉は腕を封じられても発動出来る。だから、糸を受けても直後に発動すれば何とか間に合うぞ!


「「「ィィィィィィ!」」」


 おまけに発泡薬の泡で滑るせいか幼虫の動きが鈍る。よし、これなら逃げ切れる!



「はあはあ……」

「た、助かった……」


 巣から出た後、そのまま安全な場所まで移動した後、俺達は一休みすることにした。獣人ということもあって皆体力はあるが、子どももいる。それに拘束されていた直後の全力疾走は流石に体にこたえるはずだ。


「良かったらこれを」

「ありがとうございます」


 俺はリタにも手伝って貰って〈調合〉で作った飲み物を配る。この飲み物には疲労回復効果があるらしいから少しは楽になるはずだ。


「リタも飲んで。お疲れ様。あと一息だ」

「ありがとう、ロイド」


 リタは飲み物を受け取って一口飲む。が、すぐに俺を見て首を傾げた。


「ロイドは飲まないの?」

「あ、実は材料が……」


 アルを使えば補給出来るが、材料に使う高級ハチミツは出すのに必要なアルが高めなのだ。


「じゃあ、これ、半分こしよ! はい」

「え……」


 リタが渡してくれた飲み物を反射的に受け取る。けど、これって間接── 


「お〜い! そろそろ出発出来るぞ〜」


 皆も一息つけたらしい。村に着くまで安全とは言えない。先を急がないと!

 応援大感謝! 読んで頂いている皆様への感謝をパワーに変えて次話も爆速執筆中ッ! 


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