#11
「お父さん、お母さんッ!」
「おおっ、よくぞ無事で……」
あっちでは生き別れた親子が
「あなたッ!」
「良かった……お前が無事で本当に良かった……」
「バカッ……もう二度とあんな無茶はしないで!」
こちらでは夫婦が再会を喜んでいる。他にもあちらこちらで歓喜の声が上がっている。
(無事に村に戻れて良かった……)
この光景を見ると心からそう思う。だけど……
「ロイド、本当にありがとう。これで村はまたやり直せる! 家は壊れちゃったけど、また建て直せばいいし」
「……そうだな」
そう言うリタになんと返して良いか分からずに俺はそう言った。だが、本当に言うべきなのは……
「皆の衆!」
凛とした声が辺りに響き渡る。声の主はこの村の村長らしき獣人だ。
「蟻に攫われた仲間を救って下さったのはこちらの方じゃ」
村長らしき獣人が俺の方を指すと、村人の視線が一斉に集まった。
「今後何が起ころうとも我々はこの恩を忘れてはならぬ。良いか!」
「「「お〜!」」」
村人達がどっと押し寄せる!
「ありがとう! ありがとう!」
いや、本当に良かった。でも、今は──
「これ、つまらないものだけど感謝の印!」
うおっ! これって★★★★の素材!
「人間にもいい奴がいるんだな! ありがとうよ! あ、これは礼な。今はこんなものしかなくてよ」
いや当然のことをしたまで……ってこっちも★★★★の素材!
(何だか申し訳ないな……)
感謝されるのは悪い気分じゃない。が、全て解決出来たわけじゃないからな……
(この雰囲気じゃ言い出しにくいけど……)
どう伝えたらものか……
「で、今後のことじゃが」
騒ぎが一段落したところで村長は再び口を開いた。まだ
「我々は早急に新しい村を作る場所を探さねばならん」
「「「え!?」」」
村人達が驚いた声を上げる。無理もないが……
(レッドアントはもうこの村のことを知っている。しばらくしたら再び襲いにくるだろう……)
レッドアントは非常にしつこい性格の魔物だ。一度獲物に逃げられたくらいで諦めたりはしない。もし、そうした恐れを完全に排除するには奴らの巣にいる女王を倒さなくてはならない。
(けど、レッドアントの女王は今の俺とリタじゃ絶対に勝てない)
本当は村人の救出と同時に女王蟻を倒せれば良かったんだが、原作知識によれば推奨討伐レベルは40。今の俺にはいくらなんでも無理だ。
「しかし、奴からからようやくこの地にたどり着いたというのに……」
「だが、またあの魔物が来たら……我々だけでは勝てるかどうか」
さっきまでのお祭りムードは一変し、皆は悲壮な顔になった。ここで蟻に怯えながら暮らすにしろ、新たに住める場所を探すにしろ相当な苦難があるのは間違いないからな……
「魔物に襲われない場所がないものか……」
「そんな場所、もう誰かが住んでいるに決まってるだろ」
誰かが呟くが、すかさず現実的な反論が返ってくる。厳しいが、確かにな……
「食べ物や飲み物に困らない場所がどこかにあれば……」
「そんな場所、魔物もいるに決まってる」
だから、人は知恵と力を振り絞って豊かな土地から魔物を追い払い、街を作って身を守るのだ。勿論、その逆もまた然りだが……
(魔物がいなくて食べ物、飲み物が豊富な場所か……)
原作知識でもそんな場所は出てこないな……
「……あるかも」
リタが小さく呟くと、村人の視線が一斉に集まった。
(凄い! そんな穴場を知っているなんて!)
薬草を探しに伏魔の森まで来た道中で見つけたのだろうか。だとしたら、ここからさほど離れていないだろうし、移住先にはうってつけだな!
「あの……ロイド」
……?
リタがおずおずと俺に話しかけて来た。
「一緒に住んだりしちゃ駄目かな?」
※
「おおっ、こんな場所が!」
リタと彼女のお父さん、それに数人の村人と共にテントを張った場所に戻ると驚きの声が上がった。
「確かに魔物の気配がない!」
「しかも、食べ物や水には困らないな!」
村人達は大はしゃぎだ。
「本当に皆で住まわせて頂いても良いのですかな?」
「良いですけど、ここは魔物の住む伏魔の森の真っ只中ですよ?」
「構いません! 逆に追手から身を隠すにはうってつけです」
俺は一応念を押したが、皆はあまり気にした感じはなかった。というか、追手って?
(まあ、詮索はしないでおこうか)
まだまだ空きスペースはあるし、引っ越したいっていうなら別に止める理由はないからな。
いつも読んで頂きありがとうございます!
次話も頑張って書くのでよろしくお願いします!




