#6
「良いけど、もうポーションのお礼は十分にしてもらったから大丈夫だよ?」
ツルハシに熱い視線を送るリタにそう言うと、彼女は首を振った。
「違うの。単純に面白そうだし。勿論恩返しをしたい気持ちはあるけど」
う〜ん、もう十分過ぎるくらいに恩返しはして貰ったけどな。
(でもまあ、本人がしたいって言うならいいか)
このままぼんやりしてるのはかえって辛いよな。
「じゃあ、これ」
「何処を掘るの?」
僕は〈等価交換〉でもう一本ツルハシを出し、採取ポイントの場所をリタに教えた。
「ふ〜ん。他と同じように見えるけど、場所も大事なんだね」
どうやらリタには採取ポイントも他と同じようにしか見えないらしい。採取ポイントが分かるのも原作知識のおかげみたいだな。
「じゃあ、行くよ……えいっ!」
ガツン! ポロ……
リタのツルハシが採取ポイントに当たると鉱石が出てきたのだが……
(こっ……これは、天炎石!)
天炎石は豪炎石を凌ぐレア度の鉱石だ。他の鉱石は最低でも★★★のものばかり。一体どうなってるんだ!?
「わあ、面白い! 次は何処を掘ったらあたいの?」
「えっ……えっと」
わくわくした顔でそう聞いてくるリタに俺は次の採取ポイントの場所を指差した。
※
(えらいことになったな……)
持ちきれない鉱石を変換した結果、アルは遂に三十万を越えた。
(悪いことじゃない。いや、それどころか嬉しいけど……)
だけど、何と言うか……感覚がついていかないというか。
(しかも、アルが四十万を越えるのももうすぐだよな)
今俺達は薬草の群生地で採取をしている。ここでもリタがゲットしたのはレア度の高いものばかりだ。
(って、★★★以下のものが出ないじゃないか……)
ちなみに探している癒し草は★★。だから、今回は僕も頑張って採取しなきゃいけない。
(あ、出た!)
癒し草だ。しかもまとめて三本!
「リタ! あったよ!」
「えっ、ありがとう! ロイド!」
俺がリタに癒し草を渡すと、リタは申し訳なさそうに袋を出した。
「お願いばかりで悪いんだけど、私が採ったものと交換してくれる?」
「交換? いや、あげるよ。散々手伝って貰ったし」
リタのおかげでアルは既に四十万弱。今や中級ポーションなんて何本……いや何十本でも手に入るぞ。
「ううん、それじゃ私の気が済まないよ! これで代わりになるかどうかは分からないけど……」
ドサッ!
受け取った袋の中には……
(なっ……)
中には★★★★や★★★の薬草ばかり。いや、中には……
(これって黄金草!?)
黄金草は★★★★★の薬草だ。まさかこんなものまで……
(ど、どうしよう。持ちきれないぞ……)
バックの中は既に鉱石でいっぱいだし。う〜ん……
※
癒し草を無事ゲットした後、俺はリタを村まで送っていくことにした。
「何から何までありがとう。絶対恩返しするからね!」
村に向かう道中、リタはそう言うが、正直もう十分過ぎるくらい返してもらってる。いや……
(むしろ村まで送るくらいしてあげないと釣り合わないと言うか……)
それにリタには無事に家族の元に帰って欲しい気持ちもある。幸い村は伏魔の森のすぐそばらしいから大した手間でもないからな。
「それにしても〈等価交換〉って凄いね。マジックバックまで出せるなんて」
リタが採ってくれた薬草や鉱石が待ちきれなかったため、僕は〈等価交換〉でマジックバック──空間魔法を付与して実際以上に容量を増やしたバックだ──を手に入れた。大量のアルを消費したが、どうしても手放せないものが多かったのだ。
(まあ、使い終わったらアルに戻せばいいしな)
実は採取に使った釣り竿やツルハシなんかも同じように使い終わったらアルに変換している。壊したりしなけば出した時と同じ額のアルが返ってくるから、使う時にまた出す方が荷物が減っていいのだ。
「まあ、家ではあまり役に立たなかったけどね」
物を出したり片付けたりする力なんて貴族の生活には必要ない。
「ふーん、そうなんだ。って言うか、ロイドは何で森で暮らしてるの?」
「えっと……まあ、色々あって……」
俺が〈等価交換〉のせいで家を追い出されたことを話すと、リタは凄い勢いで怒り始めた。
「酷い! スキルが役に立たないからって追い出すなんて!」
「いや、まあそう言う家なんだ……」
それにあのまま家にいたら三か月後には魔族に殺されているしな。まあ、渡りに舟と言うか……
「それに〈等価交換〉は凄いスキルなのに!」
「凄い……かなぁ?」
まあ、今役立ってくれているのは間違いないけど……
そんなやり取りをしているうちにリタの村らしきものが見えてきたのだが……
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