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#46

「しかも私のことまで気にしなくてはならないとなると、いつも通りという訳にはいきませんね」


「いえ……」


 いつも通りにいかないのは確かだが、それは嘘がバレないようにするためであってシルヴィさんを警戒している訳じゃない。


(この人の性格からして俺達に何かをするとは思えないし、そのメリットもないもんな)


 多分積極的に俺達の秘密を探る気もないんじゃないかと思う。だが、俺達がボロを出せば話は別だ。生真面目な性格だから、ギルドの命令に逆らうようなことはしないだろう。


「正直貴方達にはもっと違ったアプローチをすべきだと思っていますが……ギルド長の命令なら仕方ありません」


 シルヴィさんはそう言うとため息をつく。やはり原作知識通りの性格のようだ。


「ですからせめて貴方達を害しようとする輩は全力で排除したいと思っています。そのことだけでも信じて貰えればと思うのですが……」


「はい、信じています」


 原作知識がなくてもこの人の誠実さは疑う余地がない。


「ですから、シルヴィさんに汚いことをさせないためにも言えない秘密は見せないように頑張ります」


「!?」


 言えない秘密があると言ったも同然の俺の言葉にシルヴィさんは一瞬驚いた顔をした後、クスクスと笑い始めた。


「貴方は面白い人ですね。分かりました。よろしくお願いします」


 差し出した手を握ろうとした瞬間……


“ロイド!”


 オーレリアか!


「っ! 何かあったようですね」


 何かに気づいたらしいシルヴィさんと共にリタの元へ行くと、リタが見たことがない魔物に囲まれていた。


”こいつら、普通の魔物じゃないのじゃ!“


 犬型の魔物はこの辺りで出る▲ウルフに似ているが、確かにちょっと違う。それに何ていうか、様子もおかしい。


「ヴヴヴ……」


 犬型の魔物はリタを取り囲んでいるが、攻撃はして来ない。勿論、武器を構えているリタに隙がないからなんだろうが……


(でも……もしかして狙いは別にあるのか?)


 駆けつけた俺達にもあまり注意を払っていない。コイツらはもしかして……


「リタさんが採取したものが狙いなんでしょうか」


「かも知れませんね」


 魔物が採取したアイテムを欲しがるなんて聞いたことがない。けど……


「リタ! 採取したものを投げてみてくれ!」


「え? でもみんなで協力すれば……」


 囲まれているリタは少し心配だが、彼女の言う通りコイツらは俺達三人なら戦えない相手じゃない。


「大丈夫。確かめたいことがあるんだ」

「分かった! えいっ!」


 採取したアイテムが入った袋をリタが投げると、犬型の魔物は一斉にそちらに向かって走り出した。


「大丈夫か、リタ」

「うん。ありがとう、ロイド」


 俺達が集合するのと、魔物がリタの投げたアイテムを拾ったのはほぼ同時。俺達と魔物は再び向かい合った。


(さて、どう来るか……)


 俺の考え通りならあいつらは……


 ダッ……


 何と魔物達は一目散に俺達に背を向けて森の奥へと消えていった。


「えっ!?」

「………」


 魔物が逃げたのを見てリタが驚いた顔をする。そりゃそうだ。魔物が人間から逃げるなんて見たことも聞いたこともないもんな。


(逃げたってことは俺達じゃなくアイテムが目的だったってことだよな……)


 リタが採っていた素材は薬草やキノコ、山菜類だから一応魔物にとっても食べ物にはなる。けど……


「これからは固まって行動した方がいいかもな」

「……うん」


 俺は何処か腑に落ちない表情を浮かべるリタと何かを考え込んでいるシルヴィさんと一緒にシンシアの元へと向かった。



 それから皆で固まって採取を続けた俺達は特に大きな問題なく一日を終えた。


(いや、問題はあるか……)


 まず皆で集まって行動しているから採取の効率が悪い。このままじゃ予定した日までに依頼されたものを揃えられるかどうか分からない。


(それに鬼人達も心配だ……)


 こう言う時のためにアイテムは多めに置いてあるし、ユーリもいてくれているから大丈夫だとは思う。けど、今のところ彼らを運ぶどころか連絡を取る方法さえ思いつかない。

 いつも読んで頂きありがとうございます!

次話も頑張って書くのでよろしくお願いします! 



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