#45
”どうするのじゃ、ロイド?“
瞬きすらせずに俺達をじっと見ながら俺達についてくるシルヴィさんをオーレリアは落ち着かなさそうにチラチラと見ている。
「とりあえずはいつも通りにやるしかない。でも念のため皆との会話はオーレリアが仲介してくれ」
“了解なのじゃ”
俺は〈自然の恵み〉と〈広域化〉で見つけにくい採取ポイントを皆が見えるようにしていることになっている。つまり……
(声を出して採取ポイントを教えるわけには行かないからな)
ちなみに俺達は心の中で話しかければオーレリアとコミュニケーションが取れる。だから、オーレリアが仲介してくれれば秘密の会話が出来るって訳だ。
”あ、リタに呼ばれたのじゃ“
オーレリアがシルヴィさんの前を通ってリタの方へ飛んでいく。が……
“妾のことは見えぬはずなのじゃが……見られている気がするのじゃ”
オーレリアは基本俺以外の人には見えないが、俺と一緒にいることで次第に力を高めているらしく、望めば他の人にも姿を見せられるようになっている。反対に言えば、望まなければ誰にも見られないはずなんだが……
(こんなにじっと見られるとな)
シルヴィさんはまるで視線を固定したように俺達から外さないから、オーレリアがそう不安に思うのも分かる。
(生真面目なところは生まれが影響しているのかな)
実は原作知識によれば、シルヴィさんは普通の冒険者じゃない。いわゆる没落貴族の成れの果てというやつで、元は騎士の家に生まれたらしい。
「どうぞ、私にはお構いなく。いつも通りにして下さい」
俺達が居心地悪そうにしているのに気づいたのか、シルヴィさんはそう声をくれた。
(まあ、悪気はないんだろうな……)
境遇が似ているせいか、ちょっと同情しているのかも知れないな。
”くっ……確かに中々のものを持っておるッ!“
(は?)
なんの話だ?
“妾ほどとは思えんが……いや鎧で押し込められている可能性も……”
オーレリアがブツブツと何やら呟いている。が、これは詳しく聞かない方がいいやつだな。
”なるほど、これがあやつの作戦なんじゃな。あれこれ考えさせて確認させたくなる、と。くぅぅ、真面目な顔をして策士よのッ!“
ありもしない策にハマっているオーレリアに皆への伝言を頼みながら、俺は行き先を少し変えた。
※
「あったよ、ロイド!」
「よし、そろそろもう少し奥に行ってみよう!」
オーレリアを介してリタやシンシアに採取ポイントの位置を伝えて貰い、採取を続ける。普段と比べると効率は落ちるが仕方ない。
”これは中々重労働なのじゃ“
俺達の間を行ったり来たりするオーレリアには疲労の色がにじむ。彼女は実際には動いていないから伝言ゲームによる精神的な疲労なのだろうが……
(悪い。埋め合わせはするから……)
辛そうな顔を見るのに耐えかねて思わずそんなことを口にすると……
“本当じゃな! 絶対じゃぞ!”
(あ、ああ。できる範囲でだが)
その剣幕に押されてそう答えると、オーレリアはその場で嬉しそうに飛び跳ねた。
”やったのじゃ! 一体何をして貰おうかの!?“
(お、おい……)
今更ながら自分の失言に気がついたが、後の祭りだ。
“よしよし! これで禁欲生活ともおさらばなのじゃ!”
(お、おい! 無事に依頼を終えられればだからな)
何とか釘を刺そうとするが、もはや耳には入ってないだろう。って言うか、禁欲生活ってなんだ?
”分かってるのじゃ! さっ、誰に何を伝えてきたら良いのじゃ?“
(あ、えっと……)
さっきとはうって変わってやる気満々になったオーレリアに言われるがままに採取ポイントを伝えると、今度はシルヴィさんが俺の近くにやって来た。
「採取は仲間に任せきりかと思っていたのですが、色々気配りが大変みたいですね」
「えっ……ええ、まあ」
まあ魔物の気配がないかとかは見ているし、離れすぎるとオーレリアが行き来出来ないから皆の位置には気を配ってるつもりだ。
この小説を読んで
「面白い!」
「続きが気になる!」
と少しでも思ったら、↓の★★★★★を押して応援してくれるとめちゃくちゃ嬉しいです!
どうかよろしくお願いします!
ん
いつも読んで頂きありがとうございます!




