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33/51

#33

(それにしても狭いな……)


 馬車は幌が付いた立派なものだが、中には採取した薬草やら鉱石やらでいっぱいでかなり狭い。


(採取のために伏魔の森の近くまで来たのか?)


 だが、俺の知る限り薬草や鉱石の採取を伏魔の森近くで行っていたことはないはずだ。何せ街から伏魔の森に近づけば近づくほど強力な魔物が住んでいるからな。


「あ、すみません。狭くて」


 周りを見る俺の視線に気づいたエドがそう謝るので俺は首を振った。


「いえ、不思議に思っただけです。オーガが出るような場所にまで採取に行く冒険者がいるとは知らなかったもので……」


 動きを見る限り彼らはそれなりのベテランなのだろうが、この辺りは既に誰も立ち入りたがらない地域のはずだ。わざわざこんなところに採取に来たのは何故なんだ?


「これはギルドからの緊急クエストだったんです。何せ街の近くではもう薬草も鉱石も取り尽くしてしまっていて……」


 スグルトでは他家の領地と交易が出来なくなったために生活や経済に必要な物資を自前で確保せざるを得なくなったらしい。その結果、こうして危険な場所まで来ないと素材が手に入らなくなったのだ。


「魔物が頻繁に襲ってくるせいで物資の消費が半端ないんでね」


「ポーションの素材に街の防壁……あらゆる資材が足りないんだ。まあスグルトじゃなくどこも一緒らしいけどさ」


 エドの仲間達がそうこぼす。どうやらこんな危険な場所に来ざるを得ないほど状況はひっ迫しているらしい。


「まずいな……このままじゃ街に入れないかも」


「街に入れない?」


「ああ。最近は治安も悪くてね。日が落ちたら誰も街には入れないんだ」


 以前なら通行証を持ってるいる商人や冒険者は日が落ちても中に入れて貰えたはずだが……


「この物資はみんなが待ってるんじゃないんですか?」


「だからさ。スグルトに入ったら大騒ぎになる。街に入るにはギルドからのサポートが得られる時間帯じゃないとまずいのさ」

 

 分かるような分からないような話だが、俺が想像する以上に大変なことになってるみたいだな……



(朝か……)


 俺達が乗った馬車がスグルトに着いた時には既に日は落ちており、俺達は街の外で夜を明かした。


(朝採取に行く習慣のせいで早く目が覚めちゃったな)


 だが、せっかく目が覚めたなら何かしないと!


(……あ、あれ。何か引っかかってる?)


 体に巻き付いた何かのせいで起き上がれない。


(明かりをつけるか)


 だが、そのためにもまず手を毛布からださないと


 ぷるん……


 起き上がろうと腕を動かすと何かが手に触れる。


(……何だ?)


 知っているような、知らないような……記憶を探るように俺は思わず二度、三度とその感触を確かめる。


 ぷるん……ぷるぷるん……


 この圧倒的な弾力、一体……


「っっ! 寝込みに尻を襲われるのも乙じゃのぅ」


 オーレリア!? ってことは今のは……


「お、おい! 昨日はリタとシンシアのところで寝るって言ってただろ!?」


「それがの、ロイドから離れられなくての」


 俺から一定距離内でしか移動出来ないってことか? なら、確かにリタのテントには行けないか。いや……


(オーレリアには前科があるからな)


 最初は姿を消すにはしっかりと密着しないと駄目なのじゃとか言ってたけど、実際には手を繋ぐだけで良かったしな……


「そんな目で見ないで欲しいのじゃ。妾だってやってみないと分からないことばかりなのじゃ」


 信じていいものかどうかと俺が悩んでいると……


「ロイド、大きな声が聞こえたけどどうしたの?」


「兄様、起きておられますか?」

 

 リタとシンシアか!


(マズい、こんな場面を二人に見られたら……)


 リタからは確実にお説教だし、シンシアには……


「ふわぁぁ……妾はもうちょい寝るのじゃ。続きはまた後でよろしくなのじゃ」


 そう言ってオーレリアが姿を消した直後にリタとシンシアが俺のテントに入って来た。



この小説を読んで


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