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#28

“秘策とは何じゃ? 妾にも教えてくれんのかの?”


 オーレリアがそう言ってる来たのは彼女の声はこの場では俺とリタにしか聞こえないからだ。 


(二人共俺が詳しい話をしないのは鬼人に聞かれたくないからだと思ってるんだろうな)


 まあ間違ってるとは言えないが、一番の理由はどう説明したらいいか分からないからだ。


(原作知識って何ていうか説明が難しいからな……)


 今回降りてきた原作知識はホロウストーカーが透明になっている理由とそれを利用したレベリングについてだ。


「来たよ、ロイド!」

「分かった!」


 丁度準備が終わったところだ。俺は鬼人に向かって一つ頷くと、オーレリアの手を取った。


(別に複雑な作戦じゃない。単に相手の裏をかくだけさ)


“裏をかく……じゃと?”


 オーレリアがそう問い返すと、俺は罠から目を離さずに頷いた。


(ホロウストーカーは生まれながらに〈インヴィジブル〉っていう魔法が体に付与された特殊な魔物なんだ)


”ほう。確か姿を消す魔法じゃな。詳しくは知らぬが“


 一秒、二秒……やけに時間が経つのが遅く感じる。が、鬼人の緊張具合を見れば分かる。奴はもう近くにいる。


(この魔法がかかると視覚では捉えられなくなるけど、反対に魔法からは逃れられなくなるらしいんだ)


“魔法が必ず当たってしまうということかの? まあ、その種の弱点は魔法にはよくある……ような気がするのう”


 記憶がないオーレリアは魔法の知識についても漠然とした感覚しかないのだろう。


”じゃが、そなたは魔法を使えなかったはずじゃ。それともスキルで何か習得したのかの?“


 オーレリアには〈等価交換〉のことを話してある。だから、スキルや魔法を得たと思うのは当然だ。


(確かにそれも手なんだけどな……)


 だが、実はそんな必要はないようだ。目に見えない透明の敵。一見どうしようもない敵にも見えるが、実はちゃんと弱点がある。原作知識はそれを教えてくれた。


(もしかして、どんな魔物もそうなのか? どんなに強い魔物も対処法はあるのかも……)


 そんなことをふと思った瞬間……


(来たっ!)


 そう思った瞬間、罠が埋めてあった地面が僅かに沈む。 


“!!!”


 俺の緊張が伝わったのか、オーレリアが手を離す。俺は姿を見せると同時に用意していたスキルを発動した!


(〈調合〉ッ!)


 俺が〈調合〉したのは”メイドの土産“というほぼ実用性のないアイテム。これは即死効果があるのだが、効果を発揮する確率があまりに低いのだ。でも……


(こいつの効果は“マホウトシテハンテイサレル”!)


 原作知識が教えてくれたこの知識の意味は正直分からない。が、一つ分かることがある。それは……


(コイツに有効なアイテムだってことだ!)


 ゴボゴボ……


 毒々しい霧──しかし、何故か所々がハートに見えなくもない──が真っ直ぐ飛んでいく!


「ッ!」


 悲鳴が聞こえたと思うと突然フードを被った白い悪魔のような奴が倒れている姿が目に入った。


(これがホロウストーカーか)


 恐らく死んだことで〈インヴィジブル〉が解けたんだろう。


「ロイド! やったね!」


 リタがそう言ってこちらにやってくる。


(良かった。リタも無事か)


 後は鬼人をどうするかだけど……


「………」


 打ち合わせていた通りにホロウストーカーが罠にかかった後にその場から離れているため、鬼人との間には距離がある。が、何も出来ないほどの距離じゃない。


(約束していた共闘はホロウストーカーを倒すまで。さてどう出るかな……)


 ドサッ……


(え?)


 鬼人が倒れている。演技か? それとも……


「……気絶してる」


 気配に敏感なリタがそう言うならそうなんだろう。でも何で……


(どうしようかな……)


 今、このエリアには魔物はいないが、しばらくすれば魔物で溢れかえる。そんな場所に放っておけば間違いなく死んでしまうだろう。


”放置しておけば良いじゃろ。手当てだってしてやったんじゃからの“


 まあ、そうするのが正しいかも知れない。敵である可能性が高い奴にこれ以上情けをかけるのはどう考えても賢いとは言えないだろう。

 応援大感謝! 読んで頂いている皆様への感謝をパワーに変えて次話も爆速執筆中ッ! 


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