#20
次の日、いつものように採取に行った後、俺は畑に来ていた。
(土を起こして畝まで作ってくれてる。これならすぐに植えられるな)
何を植えるかを皆に相談した結果、まずはソウザ族になじみのある作物から植えてみようということになった。俺には作物の手入れの仕方とか分からないしね。
「メイズ、うまく育つといいなぁ」
「ここの土は栄養があるから大丈夫だろう」
メイズは痩せた土地でも育つ上、成長も早い。バルト王国では家畜の飼料にすることが多かったが、ソウザ族にとっては主食らしい。
(トウモロコシ……これも原作知識か?)
いや、これは誰かの記憶か?
「ロイド、どうしたの?」
「あ、ごめん。次はアレだよな」
皆が手伝ってくれたおかげで〈等価交換〉で出した大量のメイズの苗も無事植え終わった。次は……
(〈等価交換〉!)
俺が出したのは剛力草という薬草。さらに……
(疾風草に鉄壁草。後は採取ポイントで採れる素材で大丈夫だな)
原作知識によれば今植えた薬草達は〈調合〉により短時間ステータスを変化させる薬の材料になるらしいのだ。
(といっても、このままじゃ収穫に時間がかかりすぎるからな……〈等価交換〉!)
さらに〈調合〉!
「これが言っておった裏技かの?」
「ああ。薬草の成長速度を上げる薬品、超促成剤だ」
これをタイミング良く朝、昼、晩とすれば明日には一ヶ月分の成長が見込めるはずだ。
(ちょっとでもズレると効果が大幅に減るから油断は出来ないけどな)
だが、鬼人を退けるにはこの薬草がないと話にならない。それと……
「俺は柵の方を見てくる」
「私は皆と一緒に水やりをしてるね!」
俺がオーレリアと共に製作中の柵へと向かうと……
(す、凄い!)
柵と言うか、これはもう壁だ。
「もうこんなに……これで安心だね」
俺がそう声をかけると皆は首を振った。
「まだまだです! せっかく主様に住まわせて頂いてるこの村に鬼人を入れる訳にはいきませんから!」
「見ただけで奴らが逃げ出すような壁を作ってみせますよ!」
おおっ! 凄い気合いだな!
「必要なものはあるかな?」
「では主様……」
俺は頼まれたものを出したり、壁を作るのを手伝ったりしていると……
(そろそろ時間だ!)
僕は再び薬草を植えた畑に戻ると……
「あ、ロイド! 芽が出てきたよ!」
リタの言う通り、芽が出ている。が、その周りには雑草もまばらに生えている。
「あっ、また雑草が生えてる!」
素早くリタが雑草を引っこ抜く。多分俺が行ってからもずっとこうやって世話をしてくれていたんだろう。
(超促成剤は草花の成長を促す。つまり、雑草も凄いスピードで成長していく……)
勿論、世話を怠れば効果は激減する。メイズを植えた畑に使わなかったのはこれが理由だ。
「ありがとう、リタ」
「ここは私に任せて気になることをしてきて!」
リタはそう言うとニッコリと微笑んだ。
「くっ、妾も生身の体があれば……」
オーレリアが恨めしそうな顔で悔しがる。彼女は基本霊体なので人や物に触ることも触られることもない。何故か俺は例外みたいだけど……
「はっ……もしかしてロイドに触れたままなら妾も!」
「お、おい!」
オーレリアは俺の後ろに回って二人羽織のような姿勢になって雑草に手を伸ばそうとする。すると……
(……お、おい!)
必然的に背中に柔らかな感触が……
「もうちょっと! もうちょっとじゃ!」
オーレリアは必死に雑草へと手を伸ばす。つまり、彼女が頑張れば頑張るほど体は密着し、俺の背中に……
ふにっ……ふにふにっ!
だ、駄目だ! オーレリアは真面目にやってるんだ。変なことを考えちゃだ──
ギロッ!
これは殺気ッ!
「そうじゃ!」
リタから発せられた殺意と同時にオーレリアがそう叫んだ。
「人と同じことをするなど妾らしくない! 妾は妾のやり方でロイドの役に立つのじゃな!」
そう言うとオーレリアは姿を消す。それと同時にリタの殺気も消えた。
(ふぅ……間一髪か)
血を見る戦いが回避出来たことで安心した俺だったのだが……
いつも読んで頂きありがとうございます!
次話も頑張って書くのでよろしくお願いします!




