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#19

(そんな……いやっ、今はそれよりも!)


 降りてきた原作知識に驚きつつも俺は早速必要なものを〈等価交換〉で出した。


(で、〈調合〉!)


 あっという間に薬が入った瓶が手の中に現れた。


「これは薬? でも、いつものと違うね」

「ああ。これを皆に飲ませて欲しいんだ」


 俺は薬を渡し、一人分の量などを説明した。


「ロイドはどこかに行くるの?」


「ああ。ちょっと確かめないと行けないことがあって。帰りは遅くなるけど心配しないで」


 俺はそう言うと急いで駆け出した。今なら魔物に遭うことなくあそこにいける!


(で、アレがいれば確定だ!)


 降りてきた原作知識によれば、今この伏魔の森にはある存在が近づいているらしい。だが……


(そいつらは危険だ。少なくとも今は!)


 だから、備えなくてはならない。そして……


 ザッ!


 目的地に着いた俺の目の前には……


(なっ……なにぃ……)


 辺りには魔物の死体が転がっている。どれも推奨討伐LVが50以上の奴ばかりだ。そして、その真ん中には一人の鬼人が立っている。


(まさかこれだけの数を一人で……)


 額に生えた短い角に立派な体躯。何より全身から発せられる圧倒的な闘気からその強さが嫌というほど伝わって来る。

 

「……」


 獣人は俺に……いや、伏魔の森に背を向けて歩き出した。力が尽きたのか、それともただの様子見だったのか。どちらにしろ、もしコイツの目的が俺達の村にたどり着くことならさほど時間はかからないだろう。


(備えないとな)


 俺は魔物に遭遇しないルートを選びながら村に戻った。



「そんな……アイツらがこの森に!?」


 村に戻った俺は見たものをリタに話した。


(やはりアイツらはリタ達を元の住処から追い出した鬼人族なのか)


 まあ、鬼人族は滅多に姿を見せない一族だから予想はついていたけど……


「大丈夫。まだここに来ると決まった訳じゃない」


「そ、そうだよね。この村の場所がバレた訳じゃないんだし……」


 俺の言葉でリタの表情が少し和らぐ。が、奴は来る。それほど遠くないうちに必ず……


「じゃが、備えは必要ということじゃろ?」


 突然現れたオーレリアをリタが睨みつける。が、それは一瞬だった。


(今はそんな場合じゃないもんな……)


 オーレリアも心なしかいつもよりも真面目な雰囲気だ。


「あなたはあいつを見たの?」

「ああ。凄まじい奴じゃったぞ」


 そうか……ブローチの中で俺と同じものを見たのんだな。


「じゃが、鬼人族の住処はここから遠く離れた場所にあるはず。何故こんなところまで……」


「……それに今日は何で一人だったんだろう。いくら偵察でも一人じゃなくても良いのに」


 オーレリアとリタの疑問の答えは既に原作知識から得ている。けど、今はまだ打ち明ける時じゃない。


「それよりも奴らが万が一この村に来た時に備えて準備をしたいんだけど、何か良いアイディアはある?」


「う〜ん。柵や壁を作るのはどうかなぁ」


 なるほど、確かに柵や壁があれば守りやすくなるな。


(けど、あいつに破られない柵や壁か……中々大変そうだな)


 何せこの伏魔の森の魔物を簡単に倒せてしまう奴だ。並のものではあっさりと破壊されてしまうだろう。


「まあ、無いよりはマシじゃな」


 オーレリアがそう言うと再びリタが鋭い眼差しを向けた。


「ちょっと! ならもっといい案があるって言うの?」


「落ち着くのじゃ! 別にそなたの考えをけなした訳じゃないのじゃ!」


 ってことはつまり……


「何かいいアイディアがあるのか?」

「勿論じゃ!」


 おおっ! 自信満々だな!


「敵が強ければこっちも強くなれば良い! つまり、レベリングをすればいいのじゃ!」


 な、何だってぇぇぇ〜


「どうやってこの森の魔物を倒すの!? 今の私達のレベルじゃ逃げるのが精一杯よ!」


「そこはほら、何か色々上手い手を考えての……」


 リタに問い詰められてオーレリアは口ごもる。う〜ん、肝心なところがグダグダだな。


「何かいい考えがあるのかと思ったら……出来ないことじゃ意味ないじゃない!」


「なんじゃと! 妾はおかしなことはいっとらんのじゃ!」


 まあ、二人とも間違ったことは言ってないんだけどな……


(っ!)


 こ、これは、また……

この小説を読んで


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