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#17

「で……一体さっきから何をしたいんだ?」 


「むぅ。それを言わせるのかの、そなたは」


 オーレリアは渋々といった感じで口を開いた。


「妾を解放してくれた礼に伽でもしようかと……」


「お礼? 俺に?」


「そうじゃ。そなたがそれを身につけていてくれたから妾はこうして出てこれるのじゃからな」  


 お礼……つまり、俺を喜ばせようとあんなことをしていたのか。


「あんな暗いところに一人でいるなんて絶対嫌じゃからの。そなたは命の恩人じゃ」


「いや、そこまで言わなくても……」


 でも気持ちは分かる。一瞬迷ったけど、あのブローチを持ってきて良かった。


「で、何か願いはないかの? 妾としては何かしたいのじゃが」


「願いか……」


 欲しいものは色々ある。けど、この時俺の頭に真っ先に浮かんだのは……


「困ってることはあるんだが……」


「なんじゃなんじゃ?」


 オーレリアがウキウキした顔で顔を近づけてくる。ち、近い……


「いや、井戸から水が湧いてくればなって。そうしたら村の人達が生活しやすくなるしさ」


 でも、水源を見つけるなんていくらなんでも無理だよな…… もっと現実的な願いにしないとな。


「全く……何てことを考えるんじゃ、そなたは」


 あ、流石に無理か。


「ちとお人好しが過ぎるのではないかの? こんなチャンス、そうそうないにも関わらず他人の幸せを願うとはの……」


 え?


「変かな?」


「変じゃな。記憶を失っとる妾でもそのくらい分かるのじゃ」


 う〜ん、説得力があるようなないような……


「じゃが気に入った。そなたのような面白い人間が命の恩人で良かったのじゃ」


 え、この流れって……


「まさか何とか出来るのか!?」


「当たり前じゃ。妾を誰だと心得る!」


 いや、記憶喪失なんじゃ……


「やり方はよく分からぬが、むむむ……」


 おおっ……何か凄い!


「水よ、来いッ!」


 ドッカーン!


 井戸の方でデカい音が!?


「ふぅぅ……これで解決じゃ。よく分からぬが」


 む? どっちなんだ?


「しかし、少し疲れたの。今日はもう休むとするかの……」


 そう言うとオーレリアはベッドに横になった。


(あれ……ブローチの中に入るんじゃないのか?)


 いつの間にか着ているもの夜着のようなもの──しかもあちこちが際どいもの──に変わってる。いや、そうじゃなくて……


「えっと……俺はどこで寝たら良いんだ?」


 床で……いや、ここは俺の部屋で俺のベッドなんだが。


(まあ、広いから良いか)


 既に安らかな寝息を立てている寝顔を見ているうちに文句を言う気も失せた俺はそのまま寝ることにした。  



 ピチチッ ピチチッ


 鳥の鳴く声……朝か。


(……ん? 暗い)


 視界が何かで覆われているぞ。何でた!?


 ゴソゴゾッ


 顔を覆う何かから抜け出そうとするが、何かもまた俺の頭を逃すまいと動く。それに……


(柔らかいぞ)


 俺は一体どうなってるんだ?


「ん……朝か?」


 この声、オーレリアか? ってことは……


「#&$€%!」


 声を出そうしたが、上手くいかない。が、俺の頭を覆っていた何かが動き始めた。


「おはようなのじゃ」


 えっ、オーレリア?


(昨日は隣で寝てただけなのに!?)


 いや、それよりももしかしてさっきの柔らかい何かは……


「ロイド〜 起きてる?」


 リタ! 起こしに来てくれたのか!?


「じゃ、妾は二度寝するのじゃ」


 そう言うとオーレリアの姿が消える。次の瞬間、ドアが開き、リタが部屋に入ってきた。


「あれ、起きてる。返事がないから寝てるのかと思ったよ」


「えっ。ああ、ゴメン。今支度をするよ」



 それからリタや獣人達と採取を終えた後に村に戻ると村長が他の獣人達を引き連れて出迎えてくれた。


「おかえりなさいませ、主様」

「みんなでどうしたんだ?」

「実は井戸から水が」


 あっ……そうだった!


(採取に行く準備をしたり、遂に五百万アルを越えたことで忘れてたな)


 ちなみに朝起きた時にはオーレリアの姿は消えていた。が、何となくブローチにいる気配がするから大丈夫だろう。


「どんな具合かな」

「それがそのまま飲めそうな水でして」


 おおっ、それは助かるな!


”ふふん、どんなもんじゃ“


 自慢気に胸を張っているのが丸わかりな調子の声だ。


「しかも、不思議なことに使った分だけ補充されるように湧いてくるのです」


 何だって!?


“おおっ、流石妾じゃな!”


 考えてやった訳じゃないんだな……

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