第3章 カウントダウン
楽しい飲み会を終えた翌朝、ある意味僕は地獄を味わっていた。
「おぇ……………………気持ち悪い…………………………」
「そりゃあれだけ飲んでたらな。」
完全に二日酔いです。本当にありがとうございました。…………おぇ。不幸中の幸いなのは、二日酔い特有のガンガンするような頭痛が感じられないってことかな。初めて痛みを感じないことに感謝したような気がする。その代わり、気持ち悪さだけがダイレクトに感じてしまうけど。うん、やっぱり痛みはあるに越したことはないね。今さら失った痛みを恋しくなるとは思わなかった。
「…………ていうか、何で翔は平気なんだよ?」
「俺はちゃんと合間合間に水を飲んでたからな。ま、これに懲りたらちゃんと大人な飲み方ができるようになるんだな。」
「うぷっ………………ぜ、善処します。」
午後に海月を迎えに部室に行くまでに何とかしよう。とりあえず、講義中も水をガブ飲みするために、自販機で水を2本くらい買っておくことにした。
――――――――――――――――――――――――
死に物狂いで吐き気と格闘した講義が終わってから、翔と一緒に部室に向かっていると、先輩が遠くから手を振りながら駆け寄ってきた。
「陽ちゃん、カケルっち〜!おつかれ〜!部室に行くなら一緒に………………って、陽ちゃんどうしたの?顔色が真っ青だけど?」
「気にしないでください。このアホは昨日飲みすぎただけですから。」
「あぁ、なるほどね〜。さては陽ちゃん、昨日海月ちゃんがウチに来てたから寂しかったんでしょ〜?ごめんね〜、可愛い海月ちゃんを取っちゃって。」
「いや………………そういう訳じゃ……………………」
「なんだそういうことだったのか。まぁ、こいつシスコンですからね。悪いな、陽太。そうとは知らずにアホとか言って。」
人が体調が悪くてまともに話せないのをいいことに、好き放題言ってくれるじゃないか。断じて言うけど僕はシスコンではない………………違うよね?違うと思うぞ?
「とりあえず、海月ちゃん部室で待ってるだろうし早く行こ行こ〜♪」
「ちょ、先輩押していかないで……。走ったら戻しちゃう……。」
「ハァ…………平和だな。」
そんな感じでワチャワチャと三人で部室に向かうことになり、後ちょっとで部室に着きそうとなった、その時だった。不意に嫌な予感がして後ろを振り向いた瞬間、とんでもなく大きい爆発音が鳴り響いてきた。
「えっ?」
「何だ!?」
「二人とも伏せて!」
瞬間、凄い衝撃波が吹き抜けてくる。僕は先輩と翔に覆い被さるように地面に伏せた。突風が止むのを待ちながら、僕の胸中には確信めいたものがある。間違いない、ストーリーテラーがついに動いたんだ。皮肉なことに、僕だけが咄嗟に動いて二人を庇えたのは、いつか来るであろうこの時を警戒していたからだと思う。しばらくすると突風が止み、僕は二人から離れて今来た道を駆け出す。
「ゴメン、二人は海月のことをお願い!行かなきゃ!」
「行かなきゃって……おい待て!陽太!」
翔が僕を呼び止める声が聞こえたけど、構わず僕は走り続ける。胸の中に確かな嫌な予感を抱きながら、そして覚悟を決めながら。
終わりのカウントダウン、遂に0へ




