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俺のとなりの編集者  作者: 作者
第2章
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6/19

現実世界

 私が目を離したうちに、主人公は小説の世界を超えて現実に口を出し始めてしまった…。私がもう少し時間を掛けて回収しまおうとしていた伏線も、主人公が勝手に動いてしまったばかりに、物語を改変、物語が物語ではない異常な世界を作り出してしまった。さて、気になる主人公動向だけど、とりあえず安心して欲しい。読者からは見えない形だが、主人公は今は心地よく眠りについているよ。


 私の物語があまりにも現実世界と絡め過ぎたばかりに、彼はココロを持ってしまった。みんなは知っている通りだと思うけど、彼の姿は色んな意味で幼い。強がりで意地っ張り。そんな彼だからこそ、色んな出来事に遭遇させて大きくなって欲しかった。彼、いや、主人公の嘆く気持ちはよく解る。どん底ネガティブ思考を発言したくなる気持ちも解らなくもない。それでもこの5話を通して発言してきた主人公は、読者を傷つけたことに間違いはなく、反省して欲しいと思う。そして、私も反省をすべきだと思う。

 ごめんなさい。



 彼の言うとおり、私の住む世界では雪が降っています。

 今年は例年よりはるか遅くに冠雪しています。ただまだ温かいばかりに、みぞれ雪となってアスファルトへ溶けていきます。そんな小説の中にいる彼の肩についた雪は、私から見たらまるで涙のようでした。

 『透明で目に見えずらい雨が雪に変わったこと』、それは私が思いついた言葉ではなく、彼が彼自身で世界を観得る化させたのです。


 この物語には彼のために相手が必要でした。小説作家として少し見直してほしいと、彼の世界に担当編集者を登場させました。しかし、彼は第1話の締めくくりで鏡としてすり替え、各話が進むほどにそれは鏡ではなく、そもそも自分が壊してしまったノートパソコンの画面だったと展開をし、最終的に「編集者はあくまで自分の心と対峙していたんだよ。」と、暗黙の提示をさせました。

 私自身が生み出した主人公なのに、その主人公にしてやられるとは頭が下がるばかりです。



 彼の描写にあったコーヒー、前話にあったブラックコーヒーにとん服を混ぜといた私ですが、そんな私は彼の寝姿が大好きであります。今は私の掛けた毛布だけで寝ている彼ですが、普段の彼はミノムシかのようにタオルケットをグルグルに身体に巻き付け、さらに毛布と掛布団で上手く包まれて寝姿が可愛くて仕方ないのであります。もうすぐで20歳後半ともなる彼が、未だに大人にならない姿に気持ち悪さを感じながらも愛おしさを感じさせてくれるのです。

 『注意欠陥多動性障害を抱えながら就労移行支援を通う男性』として設定をした彼、主人公。

 「IQ70という事もあったり鬱陶しい経歴を持っているよ?小説作家として役を演じきれないかもよ?」と、私に真剣に訊ねてきたけれど‥その時点で貴方は採用でしたよ。目指していたゴールから大きくはみ出されたけど、貴方のお陰で本物の、現実世界の、SNSでは、好調な始まりでしたよ。




 さて、薬の効果が切れるころに彼を起こすことにしましょうか・・・

 

 

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