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俺のとなりの編集者  作者: 作者
~第1章
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4/19

俺のまわりに、優しいやつ。

「なんで着ちゃったんですか?」

 俺はそう吐き出して、支援担当の副担女性スタッフを追い返した。そのスタッフはいつもと違う俺の姿に傷ついたようで、「じゃあ・・何かあった時に呼んでね。あ、でも今日はスタッフさんたくさんいるし、私じゃなくても声を掛けれるか。」と、いつもより足早に自分の席へと向かい、目の前にあったファイルを適当に広げた。しゃがみこんだまま話しかけられていた俺は、少しの間しゃがみこみ続けた。


 出勤した朝からは、もう誰の顔を見ることも出来なかった。支援者全員が、俺の進行状況を把握していたり引継ぎなどされていなかったら、ほんのわずかでも笑顔を作って「遅れちゃいました。でも、おはようございますっ」て、流すことが出来て、副担の人のその人に見学しに行く話やその時に実食を共にする話、断ってしまったことを自ら報告しに行けたのに・・待ち受けていたみんなの顔があまりにも優しすぎて泣き出しそうだった。


 俺のまわりには、優しいやつらが多すぎる。


 いま物語を綴っているけれど、あの編集者は今はいない。なぜなら今日は俺自身が外出していて、携帯入力投稿をしているからだ。でも、この話数が投稿されたときには…、どういう事をされてしまうんだろう。






 タイムカードをようやく切れたものの、声を掛けられずに勝手にはき掃除を始めた俺はココロとコトバの整理をしていた。その時に副担は様子を見計らって歩いてきたのだ。そんな行動を気づかないようにしゃがみこんだ俺だった。

 「おはよ、ふくちゃん。朝の引継ぎで聴いたよ、辞めた・・」


 「なんで、着ちゃったんですか?」






 俺にとって、事業所スタッフを含めて大切な存在だ。俺に片思いをして今は安静入院してるやつも、奢られることしかねだないやつも、ストーカー行為して毎日着信履歴に乗るやつも、とにかくみんな大好きだ。

 副担の女性も、大好きだ。上下関係なく呼び捨てに出来るほどオープンで、強くて、みんなから色んな意味で尊敬されていて、利用者に対して自分らしさを限りなく引き出そうと無意識に人と接している。はたから見ればご法度だらけな振る舞いなのに、色んな人たちより人間らしくて人間らしくない。年が近くて年上で…なのに、俺にこう発言させるなんてあんまりだ。


 とにかくもう、みんなが優しすぎた。

 でも、優しいとはなんですか?



 母親が、今日俺の背中で泣き崩れた。

 自分の母親に「あんたの育て方が悪いのだ」「あんたがそういう子を産んだのだ」「それは最期まで責任もって面倒を見なさい」と、話になったらしいのだ。ここまでの話ならめんどくさい話だろう。でも小さい時に俺の母親を父もとに置いて離婚して、都合がよい時に連絡してきて、逢って、少しの期間が空いたら孫とご飯をとりあえず食べて…だけど、母親の父が亡くなったあとも支えることがなく、母親は父親と子(俺たち)を支えに生きてきた。はずだ。という人生を母親はされているのに、自分の肉親に、自分にされてもらったことないことを、いかにもという形で言ってくるのはどうなんだろうか。

 いや決してこの話を聴いて、俺の母親をVIP対応をして欲しいってことではない。これは、どういう経緯で生まれるものですか?と、聴きたいのである。

 父親が母親に対してそういうことを告げていたのも聴いたことがある。家で飲み会を開いていた席での話だった、母親の友達のある話がきっかけで生まれた話だった。

 


 共働きが当たり前の社会になった。その昔、夫は社会、妻は家事…そんな時代だった。それでも両親の背中を見ている俺たち。子供たち。目覚めてる時に育て親がいない日が確実に続いているなら解る。だがしかし、両方の背中を見て、子供は育っていく。俺たちは生きる知恵を身につけていく。

 長く付き添っていたからって、その人が悪いのか。そういうものなのか。

 話がそれるのだが、父親に申したことがあった。俺が感じるその言葉の強さ、発音の強さが怒っているようにしか聴こえなくて『普通に会話することできないの?自分の父親ともそんな会話してきたの?』と怒鳴り散らしたことがあった。それを聴いた父親は『そうやってお前が切れるから悪いんだろ?俺が話せばいつも切れて、2回に逃げるくせに。』これは俺の観念でしか云えないが、栄養バランスでご飯を作っても、やっと一息ついてテレビをつけて見始めた時に限って、眠れなくてゲームで待っていた時、学校すらいけないのに仕事なんてもっとハードル高いのに、父親のため息から始まり、俺の姿を見るたび『・・またか。』と言霊が落ちる。言葉ではなく、言霊が落ちる。その言葉はどれだけ俺を醜くさせるんだろう。



 今、この小説を読み続けてる方がわかるように『俺は死にたいと』念を込めて綴っている。読んでる方がグサグサと刺さるのを知りながら、SNSの動向を気にしている。横に編集者がいないから書き込めることがたくさんある。だからこうして小説どころかエッセイになってしまっている。


 


 しかし、これは、あくまでも小説なのだ。




 寒さがようやく日本全国を覆い始めた時、この物語は形になる。

 『目に見えなかった粒が、白い結晶に変わる。』


 

 この作品を見届けてくれている読者は、あまりにも儚くて溶けやすくて、そして冷たい・・



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