俺のまわりで、見守るやつ。
時代に上手く乗れてしまった人は、自分の予想よりも遥かに上をいく世界に苦しめられた。自分がこうしていたいと描いた世界とは違う世界がそこにあった。勝手にイメージつくられた自分が、その世界を独りでに歩いていた。作家である俺自身が、俺の綴ったあれこれの主人公たちが一つとなって独り歩きをしていた。まるでそれが作家俺自身の人物像として・・。
目をつぶるしか他になかった。パソコンを開くと鳴り響く通知。見知らぬ「誰かが”何か”をしてくれました。」という通知が響く。視覚と聴覚で俺に迫ってくる。それがいわゆる期待されているように感じたり、求められているように感じた。綴る小説もあれこれに評価が付きだして、自分の価値が小説だけの形だけで決められていく気がした。だから、目をつぶるしかなかった。
いつからか始まった韓流ブームに自分もまた乗ることによって、俺自身を外国へと逃亡させた。でもいくら思考をハングル語に身を潜めても、メロディーや打ち込む母国語が日本を忘れることが出来なかった。だからなのだろうか、夜中の1時を越したいま、頭では寝なきゃと抱いていて身体は時差ボケをしている。
『まだ・・・』
曲と曲の間に声が聴こえた。
『・・・まだ、頑張っていたんだね。電気をつけてやりなさいよ、眼、悪くしちゃうよ』
突然の声に心臓が身体を突き抜けたが、電気をパッとつけ部屋を明るくしてくれて、次の曲がピアノのメロディーラインだったお陰もあり、母親の声が俺の心臓と共に詰まった胸をも撫でおろしてくれた。
俺の横には、別の道を歩いたと思われた編集者がそこにいた。
俺は急いで母親に返事して「おやすみ」の挨拶をしたあと、編集者の顔をよく見つめ直した。間違いないなく俺の編集者は、そこにいた。そして変わらぬ上目遣いで愚痴を吐いた。
「だから薬をマジメに呑めって言うんだよっ。お前の今の状態、それは、過集中。6話も連続して書き続ければ、そりゃ幻覚だってみるだろう?お前に通知されていたのは小説も投稿お知らせに使ったSNSじゃない。プライベートで普通に使っていた、自己紹介式SNSの通知だ。2か月間を勝手に断薬したばっかりに、症状丸出しじゃないか!」
編集者の言うことに何も言い返せなかった。とりあえず食後に飲む薬だけでも‥と呑んではいるけれど、再開し始めて朝夜合わせて半月もまだ経っていなく当たり前の話だった。3カ月たってようやく実感し始めるものを俺は呑んでいるのだから。それに昨日は通院日でもあって、主治医から前の状態に戻すのに薬増えたばかりでもある。恐ろしい人間が存在するものだ・・、しかもココに。
俺は、俺の人生を、自身の力のみで生きなきゃならないと感じていた。いまでもそれは変わらない。
それなのになぜだろう、誰がどう、俺にこう、と話してきた時間はお年寄りの方と比べてまだまだ青いのに自然と湧いてくる気持ちがある。
「みんなのおかげで、生きていることが出来ている。感情を込み上げることが出来る。」
話がめちゃくちゃなのにそれでもこれでいいと、このエッセイ、私小説を書き綴り進めている自分がいる。俺の頭に操縦士がいるかのように、とにかく必死で綴らなきゃならないと手を動かしている自身がいる。
それを当たり前かのように編集者は逆に穏やかな顔で見守っている・・・
キリがいいところで俺の身体はとん服を手にしだし、注がれたコップの水で、薬と共に胃に含んだ。自分の意図ではない動き方だったが、自分の意志として身体を動かしていた。
しかし、俺はオーバードーズしていたのか?把握している数と手にしている数が合わないぞ・・・?




