↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
6/17

計画

ダイエット計画について話し合おうとした、その時――

「失礼いたします。遅くなりまして、申し訳ございません」

アンナがティーワゴンを押しながら、部屋へ入ってきた。

そして、慣れた手つきで机の上にティーカップを並べていく。

「お茶菓子は、マカロンでよろしかったですか?」

最後に、色とりどりのマカロンが乗った銀の皿を机へ置き、アンナが尋ねる。

「よろしくなくてよ!」

俺は即座に否定した。

「はい!」

対して、エマは目を輝かせて元気よく返事をする。

そして、さっそくマカロンへ手を伸ばした。

「申し訳ございません!」

慌てて頭を下げるアンナをよそに、俺はマカロンの乗った皿を取り上げる。

「あぅ……」

エマの手が空を切り、悲しそうな声が漏れた。

「エマさん、ダイエットをするのですよね?!」

俺は、先ほどの宣言と目の前の行動の矛盾を指摘する。

すると――

「ダイエットは、明日からにします!」

エマは即座に宣言した。

そして、マカロンをくださいと言わんばかりに両手を広げる。

(駄目だ、こいつ……。何とかしないと……)

俺は頭を抱えながら、エマを説得する方法を考えた。

「よろしいですか、エマさん。今日、今から頑張ることに意味がございますの」

「マカロン以上にですか?」

エマは不満そうに口を尖らせる。

「むしろ、マカロンだからこそ我慢することに意味があるのです!」

「はい?」

エマは不思議そうに首を傾げ、まるで怪しいものを見るような目を向けてくる。

だが、俺は構わず続けた。

「エマさんは、マカロンがお好きですか?」

「はい! お母さんが焼くパンの次くらいに好きです!」

エマは力強く頷き、即答した。

(根は純粋で、いい子なんだろうなぁ……)

俺はそんなことを思いながら、話を続ける。

「では、今日マカロンを我慢して、ダイエットを始めるといたしましょう?」

「はい……」

「そして、明日になって甘い物が食べたくなった時――」

俺はエマの目を見ながら、ゆっくりと言葉を続ける。

「今日マカロンを我慢したことを、無駄にしたくないと思えば……もう少しだけ我慢できる気がいたしませんこと?」

「うーん……」

エマは頬に右手の人差し指を添え、真剣な表情で考え始めた。

(……さすがに無理があったか?)

俺が半ば諦めかけていると――

「……できるかも……?」

エマが顔を上げた。

「いえ、私、できます!」

強い眼差しで、はっきりと言い切る。

(……この子、めちゃくちゃ単純だな)

俺は、ほんの少し不安になった。

(大丈夫かなぁ……?)

それでも、今は前に進むしかない。

「そういうことですので、アンナ。これからはカロリーの高いものは控えるようにしてくださいまし」

俺はマカロンの乗った皿をアンナへ差し出した。

「かしこまりました」

アンナは皿を受け取ると、一礼する。

そしてティーワゴンへ戻しながら、小さな声で呟いた。

「……お嬢様も一緒にカロリー制限をする必要はないのでは……?」


「それでは、本題のダイエット計画に移りますわよ!」

俺が立ち上がって高らかに宣言すると、アンナがどこからともなくホワイトボードを用意してくれた。

「はい! セシリア様!」

エマも乗り気のようで、ノートとペンを手にしている。

俺はホワイトボードの前に立つと、まずはダイエットの大原則を書き始めた。

「ダイエットの大原則は――」

「消費カロリー>摂取カロリーですわ!」

ホワイトボードに大きく書きながら、俺は続ける。

「そして、健康的に痩せるためには、食事量を少し減らし、タンパク質の摂取を心がけ、適度な運動を行うことが必要不可欠ですの!」

演説に熱が入り、俺は重要なポイントを三つ書き込む。

そして――

バンッ!

バンッ!

バンッ!

勢いのまま、ホワイトボードを叩いてしまった。

「運動ですか……?」

エマが、予想通り少し嫌そうな顔をする。

「いきなり、無理に走れなんて言いませんわよ」

エマが運動を嫌がることは予想できていた。

だからこそ、俺は冷静に話を進める。

「走らなくてもいいのですか?!」

エマは、途端に嬉しそうな顔をして食いついてきた。

「そこまでは言っていません!」

話が飛躍しそうだったので、俺はきっぱりと否定する。

「えぇ~……」

エマは露骨にがっかりした。

「その代わり、楽しく運動を行いませんこと?」

「どうやれば、楽しく運動できるのですか……?」

エマが、まるで詐欺師を見るような目で聞いてくる。

「それは、部活動ですわ」

俺は自信満々に答えた。

「仲間と共に運動をし、時に笑い、時に泣く。そして、互いをライバルだと思い、切磋琢磨していく……」

俺は一度言葉を切る。

そして、エマへグイッと顔を近づけた。

「これほどまでに楽しい運動が、他に存在しているとお思いですか?」

「お、おお……?」

エマが、俺の勢いに押されている。

その横では――

パチパチパチパチ。

アンナが拍手をしてくれていた。

「な、なんだか……楽しく運動できそうな気がします!」

どうやらエマも完全に雰囲気に流されたらしい。

(流されやすいなぁ……)

俺は、内心苦笑しながらもすかさず畳みかける。

「それでは、明日の放課後に部活動見学に参りましょう!」

「は、はい!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。