3話 赤部隊長との模擬戦生活
「君がかっ…グロップ様の息子か。」
やせいの美丈夫が現れた。いや『やせい』ではないな。
「俺はネルソン=ダーグレン。赤部隊部隊長をしている。ネル兄でもソン兄でも好きに呼んでいいぞ。」
ケル兄さん、リル姉さんもだけどフランクだな。
騎士とはもっと厳格なものと思っていたが…
「シルド=グロップと言います。よろしくお願いします。ネル兄さん。」
「君は火属性だろ。ならば力勝負しようか!」
「いえ、俺は技巧派を目指しているので遠慮します。」
「ならば、なんで勝負する?」
「では、盾のみの勝負で、どうでしょう。」
盾術なら単なる力勝負にはならないだろう。
「よし、いいぞ。」
「あの…自分の盾を使ってもいいですか。」
「かまわん。使い慣れた武器の方が実力出せるしな。なら俺も自前の盾を使おう。」
よし、これでフルスペックで対応できる。
盾を『収納』から出して装備する。
「ほほう、シルド君の盾は神器か、ならば油断は出来んな。」
『神器は自由に出し入れできるものがある』というのは常識的なようだな。
ていうか、最初から油断なんかする気なかったでしょ。
「ではこれよりネルソン=シルドの模擬戦を行う。」
爺さんと違ってパワー系だから目で追えるだろう。ちゃんと相手を見据えて…
「かまえ…始め!」
あれ?動きは見えてるんだけど、認識できていない。何だこれ?
こういう時は慌てず目を閉じ『心眼』
これで惑わされることはない。とりあえず検証は後だ。
右からシールドバッシュ。
盾を斜めにして反らす。と同時に左前にステップ&ターン。から回転速を上げ
本来、敵に背を向ける(敵から目を離す)のは悪手なのだが『心眼』に死角はない。
その回転速のまま盾の先で
「『ソニックブレイド!』」
ネル兄さんは、すかさず盾を構えなおして。
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
うわあぁ耐えたよこの人。
「再度、行くぞ。おぉぉぉぉぉぉ!」
再びのシールドバッシュ。だが今度のは受けるのはヤバい。『左右に反らした途端、追撃される』と警鐘が鳴る。
ならばどうするか。
…
盾に隠れるように…しゃがむ…
これはタイミングと素早さが重要で、これがはまると。
「おおおおおおおおおおおお!」<ゴロンゴロンゴロンゴロン!どっかーん!>
転がった勢いで壁に激突した。
「ネルソン、場外! シルドの勝ち」
ネル兄さん大丈夫かな?
「何、あ奴はこの団一番の頑丈ものじゃて。心配せずとも…」
「いやぁ、負けてしまった。師匠、俺は鍛錬に戻ります。面白い勝負をありがとう。シルド君。またな!」
さわやかな笑顔で何事もなかったように去っていった。
本当に丈夫だなぁ。
「お爺さん、ネル兄さんの姿が見えてるのに、認識できなかったんだけど、何か知ってる?」
「あれはダーグレン家に伝わる秘術じゃからのう、儂が教えるわけにはいかぬが…今度、養父に会ったときに聞いてみるといい。あ奴が素直に教えてくれるかはわからぬがのぉ。」
神父様もあの秘術を知っているのか。知らない間に後ろに立たれてたことが何度もあったのは、もしかしてその秘術?
そうなるとシスターも秘術が使える?
「私のは単なる『シスターの嗜み』の一つですよ。」




