11話 桃王子侍の生活
<ヴォン>
えーー今現在10テリシャックン上空です。
空歩で空中を歩いています。
ちょっと空気が薄いです。
現在、コウフィン騎士団野営地を探しています。
おっあちらに篝火が見えます。
近くに行ってみましょう。
<ヴォン>
篝火よりちょっと離れた位置に着きました。
ここから見える旗印はコウフィン騎士団で間違いないようです。
野営地の位置確認は終了しましたので、次に襲撃団の集合場所ですが…
あっリーダー格の襟に着けた魔石の反応を確認しました。
これより襲撃団の集合場所へ飛びたいと思います。
以上、現場からでした。
<ヴォン>
「各員損害報告」
「家宝破壊部隊、2名転倒、3名遠隔攻撃。計5名軽傷」
「急襲部隊 9名軽傷」
「で、敵への損害は?」
「ほぼゼロと思われます。ですが家宝は破壊できました。」
「相手4人無傷でこちらは14名の損害。任務達成できたはいいが、戦争なら大敗退だな」
「しかし護衛の一人はマヌケでしたね。自分で偽の箱、壊してるんですからね。」
「たしかにあれは傑作だったな。あの慌てぶり。」
「待て待て。逆にそのおかげで他の護衛の気がそれて、捕縛されずに撤収できたのだ。笑うのではなくその護衛に感謝せねばな。」
「まったくです。」
<ヴォン>
「何か音がしなかったか」
<ヴォンヴォンヴォンヴォヴォヴォン…ヴォン>
暗闇の中から、オーガの面を付けた青い服の人影が現れる。
「ひとつ、人の世の財産をむさぼり、ふたつ、不埒な悪政三昧、みっつ、醜いポークな奴らを、退治てくれよう桃王子」
「誰だお前は。」
「ドゥーブルの青鬼とでも名乗っておこう。お前たちの『感謝』を受け取りに来た。」
今ドゥーブルで噂されている、青鬼都市伝説を利用させてもらった。
口上は某時代劇からの引用だ。
ただ、鼓なんて持ってないから『転移扉』を連続で起動させ、その起動音をBGMにしてみた。
ちなみに『桃王子』とは桃太郎とよく似た物語の題名だ。
「え?お前はもしやあの護…」
「『グラビティプレス』」
「…「ウギャー」…」「…「潰れる…」…」
えーと。人は何Gで気絶するんだっけ? 5G? 10G? まあいっか、順番に上げていこう。
リーダーさんは頑丈だな。10Gでやっと気絶してくれたよ。
後はリーダーさん以外を縛って。
そうそう手紙も書いておこう。神父様の書斎からパクッ…拝借してきた紙に。
差出人は、ケル兄さんの名前を使わせてもらおう。
『この者たちは、馬車塚で商人を急襲した連中。アクドーイ侯爵の手先の可能性あり。調査を要請する。緑部隊長 マイケル=ウェドゥネス』
後はこの手紙と共にコウフィン騎士団に引き渡しするだけだ。
『転移扉』を襲撃者たちの下⇒騎士団野営地そばの空中へと接続
まずは周囲を確認。OK。
後は、襲撃者たちを俺の魔力で包めば…<ストン>行ってらっしゃーい。
次の仕込みだ。
周りに魔獣の血をまいておいてから。そうだ。面にも少しつけておこう。
後は、リーダーさんを起こすだけなんだが。どうしよう…
そういえばどこかのイワシ缶。シュー…なんだったかな? それと似た瓶詰が『収納』にあったよな。
<ゴソゴソ>
あったあった。蓋を少し開けてかがせると。
「うぐ!ぐへっ!」
すぐ蓋を閉め『収納』。少し離れて仁王立ちになる。
「ふむ、やっと起きたか。ほかの連中は食ってやったわ。後はお前だけだ。」
周りは血だらけ(見える範囲だけど)面には血…
「う…うわぁぁぁぁぁぁぁ食われるぅぅぅぅぅー」
リーダーさんは逃げて行った。
「今回のミッション、コンプリート。さて、帰るか。」
<ヴォン>
<ドスン>
「えっ?なんで縛られた人が? おい、大丈夫か?」
「ちょっと待て、封書が添えてあるぞ。…『差出人:緑部隊長 マイケル=ウェドゥネス』…誰か副団長を呼んで来い。」
「俺が行ってくる。」
…
「いきなりこ奴らが現れたと聞いたが。」
「物音がして振り向いたらこの者たちがいたのであります。」
「ウェドゥネス卿の封書が添えてあったと聞いたが」
「こちらであります。」
「封蝋も無しの封書とは……とりあえず読んでみよう。なになに、」
『この者たちは、馬車塚で商人を急襲した連中。アクドーイ侯爵の手先の可能性あり。調査を要請する。緑部隊長 マイケル=ウェドゥネス』
「㊞も見当たらないな。」
「部隊長の名を語った偽物でしょうか?」
「ふむむ……ちょっと待て…この紙は…当家公文書に使用される、ニーフ紙ではないか。となると、これはシルド様かレード様がお書きになったものに違いない。至急こ奴らの取り調べに入るぞ。」
「了解しました!」




