3話 王都への準備生活
ギルド厨房にて
「メレンゲなんて、シルドも母さんから教わっているからきめ細やかにできるでしょ」
「できるけどあれって結構時間がかかるんだよ。」
「めんどくさがってちゃ、おいしいものなんてできないよ」
「でもレードがするとめっちゃきめ細やかになるんだよ。それこそ母さんを超えるくらい。」
「えっ、そ、そうかなぁ。」
「レードの作ったメレンゲでケーキが作りたいなぁ。」
「仕方がないなぁ。『ホイップ』」
事がとりあえず収まって、
「サンダ、ガイ。よろしくな」
[がってんでさぁ][今日も軽い馬車引くぞー]
「レード、ニャルムさん。ホロウさん、ミリちゃんの事よろしくな。」
「そっちは任せるね。」
「昨日見つけた穴場スポットに案内するニャン」
明日、改めての出立と護衛準備のため俺とクライフさんはコウフィン商会へ。
ホロウさん、ミリちゃんは怖い目に合っただろうから、レード、ニャルムさんにケアを頼んだのだ。
「じゃあ、クライフさん行きましょうか。」
「ええ。」
コウフィン商会裏手につくと、馬番さんが即座に誘導してくれた。
そして テンシュ支店長自ら出迎えてくれた。
「いらっしゃいませ、シルド様クライフ様。どうぞこちらへ」
「「失礼します」」
案内されたのは商談室。
「昨日何か大捕物が合ったご様子。クライフ様がこちらにおられるということはその関係…ですかな。」
商会なら全部知ってそうだな。はっきり言わないってことは、こちらもぼやかそう。
「まあいろいろありまして。最終的には俺たちが王都までの護衛につくこととなりました。」
「それはギルドより『正式に』ですかな?」
「はい。」
「それはそれは。昇級おめでとうございます。」
「ありがとうございます。」
さすが、これだけで『暫定』が取れたことが判るとは。
「つきましては、王都までの道のり、注意点等を教えていただこうと思った次第で。なお今回の物資補給についてはすべてギルド持ちとなります。」
そっとギルドから渡された札を出す。
「となりますとそうですね。誰か、トマーデを呼んできてください。」「はい畏まりました。」
「失礼します。お呼びでしょうか。」
「シルド様が、王都までの事をお聞きになりたいとのことであなたを呼びました。シルド様。この後の話はこのトマーデとお話しください。私はこれで失礼します。」
「わざわざご対応してくださりありがとうございます。あっ、こちらレードと一緒に作ったシフォンケーキです。お茶の時にでも皆さんで食べてください。」
「な、なんと。これで兄に自慢が…失礼。後ほど頂きます。お気遣いありがとうございます。では」
内心小躍りしてたな。
レードがいるとシフォンケーキも簡単に焼ける。こんな物でも喜んでくれると作った甲斐があったな。
「シルド様。私、トマーデと申します。」
「シルドと言います。この度、こちらのクライフさんの護衛として王都まで行くこととなりまして、道のりについて情報がないかと尋ねさせていただきました。」
「クライフ=ローレンと言います。道のりについては教えることはできますが、私の知らない情報でもあればと思い立ち寄らせてもらいました。」
「クライフ様の気構えは立派です。クライフ様のお持ちのカードを提示いただければ、当商会のどの支店でも必要な情報を提示できますので是非ご活用を。と、今は王都までの道のりでしたね。だれか、地図を。」
トマーデさんが言い終わる瞬間、地図が出てきた。
ここの従業員さん。シスター並みに仕事が早い。
「王都までの道のりはこのようになっております。」
『鳥瞰図』といったっけ。すごくわかりやすいぞ。これって機密文書扱いでないのか?
今はとりあえず、経路、宿場町を頭に叩き込もう。
「こちらがビクセン。そしてこちらが王都となります。その間には領都が二つほどありまして、日程的には10日ほどの道のりとなります。ですが、ドゥーブル=ビクセン間を3日弱で走破された馬車ですと7日で着くものと考えられます。」
馬車を修理したから。と思いたいが…あいつら、馬クッキー食べたいから頑張ったわけじゃないよね。
「領都にはそれぞれ当商会の支店がありますからそちらで補給が受けれます。」
「となりますと、基本としては3日分用意し各支店で2日分補給。というところですか。」
「シルド様ですと1日で飛んで行きそうですが。」
『波乗り』は、ばれてないはずだけど…それとも『空歩』かな? こちらは騎士団の技として知られているが。
「そんな訳ないじゃないですか。それにそんな事じゃ護衛任務にならないですよ。」
「それもそうですね。」
そのあとは、野盗の頻発する区域、魔獣の生息域などを教えてもらい…そうそう、宿場町での(隠れた)名産品も教えてもらった。
「では必要な物資は<かきかき、かきかき>これを用意できますか?」
「はい、すぐご用意できます。そのまま馬車へ?」
「はいお願いします。」
「君、この品をシルド様の馬車へ積み込んで下さい」「かしこまりました。」
「ん?この札は…今回の補給についてはギルド持ちなのですね。」
「はい」
「それでしたらこちらのカードを渡しておきましょう。」
「これは?」
「当商会の補給カードです。このマークが当支店所属となっておりますのでこのカードとシルド様の身分証を提示していただければ、その場では無償で補給が受けれます。」
「そんな物をいただくわけには…」
「あくまでも『その場では』です。請求は当支店が行いますから。ギルドにね。」
「いや、それでも…」
「それでしたらシルド様に依頼を出しましょう。」
「へ?」
「王都まで行って無事に帰って、このカードを返しに来ること。これが私からの依頼です。」
「ありがとうございます。必ず返しに帰ってきます。」




