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『盾』役者の生活  作者: 愉魅夢
いざ王都へ
72/91

1話 のんびり休日…とはならなかった生活

「はい、ミリちゃんへ魔石の御守りだ。」

「お兄ちゃん、これなんて書いてあるの?」

「異国の言葉で『御守り』って意味だよ。」


見た目は神社の御守り袋だ。(頑張って刺繍した。)


「ありがとうお兄ちゃん」


「ミリちゃん、元気でね。」

「お兄さんもね。」


「ミリちゃん。いい女(オンニャ)にな(ニャ)るんだよ。」

「おねーさんもね」


馬車で何を教えてたんだか。


「シルドさん、レードさん。本当にありがとう。」

「シルド君のレシピ頑張ってものにするわね」


「では先輩方、ローレン家の事よろしくお願いします。」

「おう!」「任せとけ!」


次の護衛はC級3年目らしい。


クライフさんは冒険者とともに旅立っていった。


いい別れだ。




「ではレード、ニャルムさん、手筈通りに。」

「わかった。」

「ほいニャ。」



「シルドさん、今にゃら大丈夫ニャ。」

「よし、まずレードの剣を出して」


『収納』からウルフの死体(23体)も出す。


「レードさんの剣の力はすごいですニャ。」


ニャルムさんをだましてるようで悪いが『収納』をレードの剣の力としている関係上必要な手順だ。



で、そのころレードは、


「昨日、私たちが受けた依頼、達成確認願いたい。」

「はいはい、南門近くのウルフの討伐ね。で肝心のウルフの死体、もしくは右耳は?」

「裏手に置いてある。計23体」

「え~~~!」


昨日、掲示板をちらっと見た時、ウルフの討伐依頼が出てたのでクライフさんと別れた後、受けておいたのだ。

現在はE級だが、護衛依頼のため暫定C級。およびドコウさん(所属は違ってもギルド職員)のお墨付きで受けることが出来たのだ。


「あなたたち暫定Cよね。C級でも2人なら数匹がやっとなのに20匹以上もどうやっつけたのよ。

「企業秘密」

…

「それに、馬車の音もしなかったわよ。どうやって運んだの?」

「企業秘密」

…

「盛るのもいい加減にしてよね。こっちも忙しいの依頼失敗なら失敗と言ってよね。」

「依頼達成したから確認してほしいと言っている。これ以上シルドを待たせたくない。」


「何をもめているのです。」

「ギルマス。この暫定Cがウルフを23頭討伐したと嘘をつくんです。」

「討伐は本当。裏手にある。」

「君は確かレード君といったかねドゥーブルギルドの。…君、ランクがどうであろうとまず確認ですよ。嘘だったらそれなりの罰を負ってもらえればいい事。ウルフ23頭ならランクに関係なく快挙です。私も確認に参りましょう。」



…

…

「「え~~~!」」


「本当に討伐したのですか?」

「私じゃない、全部シルド。」

「それはそうだけど、その間レードはクライフさんの護衛請け負ってくれたじゃん。だからこれは二人の功績」

「ほいですニャ」


「君は確かドゥーブルの…」

「ニャルムですにゃ。お二人の実力は私が保証するニャ」


「私も保証するよ。」

「「ドコウさん。」」

「後の処理は私が引き継ごう。3人は今日1日羽を休めるといい。」

「「「ありがとうございます」」ニャ」


[[[頼れる先輩だな(ニャ)]]]





===昼過ぎ

傷だらけの冒険者が駆け込んできた。

「俺たちの力及ばず、行商人一家が野盗に殺された。」

「すいません、依頼達成できずに。」

「野盗は何人だったのです?」

「30人は居たと思われますが、なにぶん急襲されたので」

「逃げるのがやっとでした。」

「よく戻ってこれましたね。誰か緊急の捜索隊依頼を出してください、現場状況だけでも確認しておかないと。あなた方、調書を取りますので奥へ。」

「「はい。」」



===夕方

ビクセン散策も一通り終わり、3人で余韻に浸ってる時だった。

…

路地裏から話し声が聞こえてきた。


「楽な依頼だったな。」

「偽装のため殴られたのは痛かったがな。」

「それより、あの商人引き渡すだけで、ギルドの依頼料より儲かった。違約金払ってもおつりがくるよ」


…あの声は朝の…

…〔GutuGutuGutuGutuGutuGutu〕


「お兄さんたち。確か護衛依頼で出立されたはずでは?」


はらわた煮えたぎってるのに声だけは冷静だったと思う。


「護衛依頼はどうされたんです。」

「シルド、顔が怖いよ。それにそんなに覇気出してちゃお兄さんたち気絶寸前だよ。」

「…すまん。」

「で♡お兄さんたち♡護衛依頼はどうしたのかな?♡」


レードは笑顔だし喋りも可愛いけど…背筋が凍る…絶対零度(レード)だ。

俺も少しは落ち着けた。


「…や、野盗に襲われて、俺たちだけ逃げてきたんだ。」

「本当は?♡」


怒気は上がったが、気温は下がった。


「…や、野盗に頼まれて…し商人をひ引き渡したんだ。」

「そう、わかっ、た」


レードの蹴りがさく裂

俺も、もう一人の首に手刀を落とした。


「ニャルムさん、話は聞いていたね。私はシルドとクライフさんの救出に向かう。衛兵を呼んでこいつらをギルドへ」

「了解ニャ!」



問題はクライフさんたちの居場所だが…


「シルド、鳥もち弾の魔石、ミリちゃんにあげていたよね。あれを『マーカーサーチ』できない?」

「そうか! マーカーサーチか…いや、あれはピンポイントで座標を確認するものだ。大体の範囲が解らないと使えない。」


有効範囲は10テリシャックンだ。遠隔地なら脳内記録座標を中心に探せるが、街道沿いとなると範囲が広すぎる。


「暴れ馬だー!」


一頭の馬が全力で掛けてくる。


[アニさーん、アネさーん]


あれはクライフさんの馬


[旦那が!旦那が襲われた!、相方は俺を逃がすために暴れたんだ、旦那たちを、相方を助けてくれ!]

[わかった、場所は解るね]

[がってんでさぁ]

「レード頼む」

「シルドはサポートお願い。」


二人で馬にまたがり


「『魔力同調』開始」

「…レード、少し黄色寄り…一致した!」

「『身体強化』発動」

[力が!力が湧いてくる!アニさん、アネさん、行きやすぜ]





=====

私(ニャタシ)はビクセン冒険者ギルドの戸を開け、衛兵(+気絶冒険者)と共に受付に詰め寄ったニャ。


「私[ニャタシ]はドゥーブル冒険者ギルド所属レード、シルドの専属担当受付のニャルムです[ニャ]。緊急案件です[ニャ]。ギルマスを呼ぶニャ!」


なんとか『ニャ』は我慢したニャけど最後は出てしまったニャ。


「なんですか、騒々しい。おや、ニャルムさん。ドゥーブル行きの依頼はまだ決まってませんが。それにそこの二人。野盗に襲われて依頼失敗の報告に来た二人ではないですか?なぜ衛兵に引きずられているんです?」


ギルマスってのは威厳があるもにょと思ってましたが、ここにょギルマスってのはニャンとも頼りニャさそうニャ。


「それをここで言っていいんですかニャ?」


うちのギルマスにゃら異変に気付いて会議室かどこかに場所移すニャけど。


「この二人がニャルムさんに何かしたんですか?」

「ニャルム嬢、どうしたんだ?」


ちょうどドコウさんもいることにゃしここでぶちまけちゃいましょ!


「この二人は依頼主を野盗に売ったニャ!」


本来にゃらギルド職員はこういった発言は御法度にゃんだけど、今回ばかりはニャタシも怒っているニャー!


「レードさんとシルドさんは、それを知って救出へ向かったニャー! ビクセン冒険者ギルドは、この落とし前どうつけるニャ?!」

「ニャルム嬢。少し落ち着きなさい。二人が向かったなら帰りを待つしかないが…ギルドマスター。依頼失敗による信用失墜は仕方ないものとしても、悪人と結託した冒険者を紹介したとあっては進退を考えるべきでしょう。今回の対応によっては、上の判断も変わるかもしれませんが。」

「し、至急、C級以上の冒険者を集めなさい。緊急依頼です。宿の判っている物には連絡しなさい。大至急。夜を徹しての野盗討伐を開始します。」


ドコウさんの発言でニャタシも少し落ち着きました。

いまさら討伐隊編成しても無駄ニャと思うんニャけど…

ふとドコウさんの顔を見ると、同(おニャ)じ事と考えてたのか[やれやれ]って顔してたニャ




=====

「シルド。ミリちゃんの魔石、とらえた。」


レードの、俺の魔力感知力はすごいな。


「俺にも見えた。俺はここで降りて『転移(DOKODEMO)扉(DOOR)』で直接向かう。」

「ミリちゃんたちの安全確保よろしくね。」

「ああ。外の敵は任せた。じゃあ!」


俺は馬から飛び降り、魔石の位置を起点にアクティブマナー発動、どうやら洞窟のようだな。クライフさんたちの位置、周りの様子を精査し接触事故を起こさない位置へ

「『転移(DOKODEMO)扉(DOOR)』」

転移した。



「え?お兄ちゃん?」

「ミリちゃんがいい子にしてたから助けに来たよ。」

「シルドさん?どうしてここへ?」

「話は後です。ホロウさんもおられますね。ちょっと離れてください。『時空(ディメンション)斬(スラッシュ)』」


鉄格子を切った。別に技名を言う必要はないが、気分だ。

俺も、三人が無事で安心したのか、軽口も出るようになった。


レードも到着したのか外が騒がしくなった。


「ひひーん!」[無事だったか!]

「ひひーん!」[相棒!]


2頭の馬の嘶きも聞こえる。馬も合流できたようだな。


そうなると自然に。


「青い服? お、お前は誰だ!」「誰だ?なぜここにいる!」


こっちにも野盗は来るわけで…

狭い洞窟内で剣は振るいにくいので、盾を構え…射線上にレードはいないな。


「『ゴッドボイス』」

「「「「ぐわー!!!!」」」」


盾を起点とした音波砲だ。

原理は簡単、盾を振動させて指向性の高い音を前方に放つのだけど…神盾以外でこれをすると自壊する。


3,4人吹っ飛んだか?


外の騒ぎも収まって。



「シルド。ミリちゃんたち、無事。」

「ああ、三人とも無事だよ。」

「よかった。」

「レードさんまで来てくださったんですね。本当にありがとうございます。」

「外の馬車も馬も無事。乗ってきた馬は30分ほど休ませたら馬車が引けると思う」

「でももう夜だぞ。」

「だから馬車の改造、お願い。終わったらビクセンに報告に戻って。」

「ちょっと待ってください。」


クライフさんがそばの箱をあさりだした。


「あったあった!やっぱり。どうやら私を王都に行かせたくない貴族が野盗に依頼してたみたいです。」


クライフさんの持つ書類を見ると


『依頼

内容:クライフおよび積み荷の捕獲。捕獲次第連絡をよこせ、至急回収に向かう。

報酬:金貨1テリ枚


アクドーイ侯爵』


「野盗も切り捨てられないように書類を残していましたね。」


頼む方も頼む方だが、頼まれる方も必死だな。


「取り合えず馬車を診ておくから、馬たちの調子確認を頼む。ほい!馬クッキー」

「わかった、シルド。」


馬車の魔力経路を御者台まで戻して。


「それじゃ俺は先に戻ります。」

「お兄ちゃん、真っ暗な中、気をつけてね。」

「わかってるよ。ゆっくり戻っておいで。では、『波乗り(ウェーブライダー)』」


で途中で『転移(DOKODEMO)扉(DOOR)』でギルド裏手へ転移した。






「まだ、人数は集まらないのですか。」

「日も暮れていますので、捕まらない冒険者が多いのです。」

「ええぃこうなれば今いる人数だけでも…」

「ただいま戻りました。」

「シルドさん!お帰りなさいませにゃ!」

「シルド君、お帰り。一応報告を頼む」

「はい、ここより北北東50テリの位置の洞窟をアジトにしている野盗の一団13名を発見。全員を行動不能にしローレン一家を救出。ローレン一家と積み荷は現在レードによりこちらへ帰還中です。私は報告のため先行帰還しました。」

「報告ご苦労。ということです。ギルマス。」

「地図をもて!」

「はい、こちらに。」

「北北東50テリだとこの位置か。夜目の効く冒険者集まれ!」


何人か斥候風の冒険者が集まる。


「目標は地図で示したラッシュの森中の崖の洞窟。2~3名で馬車に分乗して向かえ!」

「…「はい!」…」


冒険者たちは一斉に出て行った。

後で目印の篝火に薪を足しておこう。


「ギルマス」

「は、はい、なんでしょう。」

「今回の件は王都のアクドーイ侯爵が絡んでいるようです。」


野盗の手紙を見せるとあからさまにヤな顔をした。


[そんな物見せられても明らかに私の処理範疇を超えています。]


気持ちはわかる。

しかしこれを知った以上、俺はクライフさんを放ってはおけない。

責任とかそんなんじゃない、俺が嫌なんだ。


「ドコウさん、俺、クライフさんを無事に王都に届けたいんです。」

「それはあくまでも君個人の感情だね。」

「はい、俺の我儘です。」

「ギルドとしては、そういった個人的な感情で依頼もされていないのに護衛をすることは許可できない事は解るよね」

「はい。ドコウさんにここまで付いて来てもらいながらその行為を無にしてしまう事も知っています。」

「君がギルドをやめたとすると、私には君の行動を束縛する権利は無くなる。もし君がギルド員として行くとしても、私にはそれを許可する権限はない。」

「はい、ですから俺は…」

「私には、権限がない、といったのだよ。私には、ね」


ドコウさんの視線が俺から外れ次に向かった先には。


[ビクッ!]


ギルマスだ。


「今回の件はビクセンギルドの失態であり新たに依頼を出すにしても信用に足る冒険者を斡旋できるかどうか疑問に思うところだ。その点彼らはドゥーブル=ビクセン間を想定以上のスピードで進み、さらに依頼主との関係は良好であった。私が手を出したのは見張り番くらいで、私がついてくる意味があったのか疑問に思うところだ。私見だが彼らならB級でも通用すると考えている。ギルドマスターはどのようにお考えですかな? そうそう、判断を誤りますとドランク=ジラールが怒鳴り込んできますよ。」


ドコウさんのおかげで俺も落ち着いた。

しかしドランク=ジラールって誰?

[うちのギルマスの名前ですニャ]

[ニャルムさん。教えてくれてありがとう。]


「は、はい。今回のクライフ=ローレン様の王都への護衛任務をレード、シルド両名にビクセンギルドからの指名依頼として出すことにします。」


やった!言質取ったぞ。


「それはそれで問題があるのですが。レード、シルド両名は現在暫定C級。護衛任務は受けられないのでは?今回は『昇級試験』として私がここまで同行した次第ですので。」


[ギルマスの度胸の見せ所ですよ]って圧かけてるな。


「わ、解りました。私の権限にてレード、シルド両名のC級への昇級を認めます。」

「一つお願いしてもいいですか。」

「な、なんでしょうか?」

「男二人組ではローレン様一家にご不便をかけてしまうかもしれません。ニャルム嬢を同行者として指名していただけないでしょうか。」

「は、はい、許可しましょう。」


俺。ドコウさん。ニャルムさん。三人、心の中でサムズアップをした。


途中「トイレ!」と言ってトイレより野盗アジトへ転移。篝火に薪を追加しておいた。



「「ヒヒーン」」


レードが戻ったようだ。

「おかえり」

「ただいま、首尾は?」

「上場。王都までの護衛依頼、ニャルムさん付きでGet。しかも費用はギルド持ち」

「やったね」


レードは俺が王都まで護衛をかって出ることをわかってたようだ。


「ローレン様、今回のギルドの失態、まことに申し訳無く思います。つきましてはここから王都への護衛をレード、シルド両名に指名依頼を出しました。またギルドより付き添いとしてニャルムをついて行かせることにします。もちろん護衛料等はギルドが負担をいたします。」

「ここでお二方と別れること残念に思ってましたところです。ご配慮感謝します。」


クライフさん大人だな。あれだけ怒ってた自分が恥ずかしい。


「シルド。恥ずかしいことないよ。私も怒ってたし。それに人のために怒れるシルドが私は誇らしい。」


レードにはかなわないな。


「わーまたお兄ちゃんたちおねーさんと一緒だ。」

「ミリちゃん。王都までよろしくなのニャ。」


うまく押し付k…焚きつけることができた。

これで二人が何かやらかしたらC級昇級させたビクセンのせいにできるし、功績はドゥーブル所属なのでこっちに持ってこれる。


これから書く報告書の事を考えると胃が痛いが…


二人とも、驚くほどまっすぐだ。(そのまっすく伸びる方向が多少ずれていることは気になるが)

そのまままっすぐ成長してほしいと思う。

出来れば私の胃に穴が開かないように成長してくれ。


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