7話 護衛出立生活
「シルド坊、レード坊。ちゃんと帰ってくるんだよ。」
「大丈夫だよおばちゃん」「行ってくるね。」
俺たちは革鎧の冒険者スタイルに青いジャケットを羽織り盾と剣を装備して宿を出た。
俺たちは朝一番に一度ギルドに行き、馬車と馬、ドコウさんとニャルムさんを回収。
そして北門へ向かった。
そこには馬車とともに待つ人が、
「失礼します。そちら行商人のクライフ=ローレン様御一行でお間違いないですか。」
「はいそうですが。」
「私、今回護衛依頼を承ったレードとそしてこちらは、」「シルドと言います。」
「ご丁寧にどうも。改めまして、私クライフ=ローレンと言います。そして妻のホロウと娘のミリです。」
「よろしくお願いします。」「お願いします。お兄さん。」
「今回は私たちの昇級試験も兼ねております。至らないところがありましたら遠慮なくおっしゃってください。」
「いえ、実力は十分あるとお聞きしております。『昇級試験』ということで依頼料も減額していただき大変感謝しております。」
「今回昇級試験も兼ねていますのでギルドより審査役としてドコウさんと記録係のニャルムさんが同行しております。」
「ドコウと言いますよろしくお願いします。審査役なので基本、手は出しませんが緊急時には対応しますのでご心配なきよう。」
「ニャルムと言いますニャ。よろしくお願いしますニャ。」
「わーネコのお姉さんだ。」
「ミリちゃん、よろしくニャ。」
「自己紹介も終わった事ですし、今後は旅の友。敬称はなしにお願いします。」
ヤーウェイさんが言ってた『対等な関係』。それを依頼主から提案されるとは。
「それでしたら「クライフさんよろしくお願いします。」」
「旅程を確認します。隣領都のビクセンまで3日。基本は野営。ということでお間違いないでしょうか。」
「はい。」
「補給はどうなされますか。当方は水以外は補給なしで行動できますが。」
「補給は1日置きに必要ですね。タイミングよく宿場町で購入できればいいのですが。」
「レード、ちょっといいか?」
「何?シルド。」
「クライフさん。食事は皆の分、俺が用意していいですか?」
「シルドさんが」
「はい。一緒に行動するのですから食事の用意は一緒にした方が効率的でしょ。」
「シルドさんは料理人の職をお持ちで。」
「いいえ『盾』と『役者』ですが…」「シルドの料理はシスターのお墨付き。」「いやシスターにはまだまだ及ばないだろう。」
「参りましたね。こちらから提案する予定だったのですが。妻と娘も手伝いますのでよろしくお願いします。」
「任されました。ということでドコウさんたちの分も一緒にしますね。」
「仕方ないですね。わたしたちだけ固パンに干し肉じゃニャルム嬢が泣き出すところだったしね。」
「私は泣きません!」[でもシルドさんのごはんは欲しい]
「話がまとまったところで出発…」
「レード、ちょっと待って。クライフさんの馬車、修理していいですか。気になっちゃって。」
「壊れてはいませんが…」
「馬車が軽くなって馬の負担が減るので。5分もかかりませんから。」
[ドコウさん、大丈夫なんですか。][任せればいい。]
「判りました。お願いします。」
この馬車もコウフィン商会製で魔力の垂れ流しているのが気になって仕方がなかった。
今回はグリスケース内を掃除している余裕はない。魔導線と魔法陣を『MRI』で確認しながら遠隔で『スポットヨウセツ』を試みる。
ヨシ、うまくいった。
これをあと3つ繰り返し、側板につければ…
うまく魔法陣が起動しているな。
「終わりました。レードいけるよ」
ちゃんと馬さんたちにも言っておかないと。馬をなでながら…
「馬さんたち」
[[わっ!びっくりした]]
「馬車軽くなったから気おつけて走ってね。」
[いきなり話しかけられたぞ][返事どうだったけ][たしか…[ラーサー!]]
「では出発しましょう。隊列は私が先頭、クライフさんが後ろ。クライフさんの馬車にはシルドが乗って後方警戒でよろしいですか。」
「お父さん、私、お姉さんの馬車にのっていい?」
「こら、ミリ。」
「いいですニャ。ミリちゃん、一緒にお話しましょ!」
「わーい。」
小さい子がいるとほっこりするなぁ。
俺はクライフさんの馬車に乗り込んだ。
後方警戒するためだが、『アクティブモナー』を使っている限りはどこにいても同じだ。
でも『目視している』態度は必要だ。これだけで野盗との遭遇率が下がるなら安いもんだ。
「わーベッドがある」
「実はこれは、飼葉の上にシーツを敷いただけですニャー」
「でもフワフワ。」
「これはねシルドさん、後ろのお兄さんが考えた物にゃのだー」
「すごーい。」
「ほかにもね、ケーキ焼いてくれたり、お弁当作ってくれたり、これがおいしいんだニャ。」
「もしかして、後ろのお兄さんて。お姉さんの恋人?」
「ううん、違う違う。そりゃね前のお兄さんや後ろのお兄さんが恋人なら素敵だよ。でも私はまだまだ半人前。いつか自信の持てるお姉さんになったらどちらかに告白するニャー!」
「でも…お兄さんたち競争率高そうだよ。」
「そこは大丈夫ニャー!二人と一番親しいのは自分だって自慢できるニャー」
「ぷっ」
「レードさん。聞いてましたニャー」
「聞こえるように言ってたのはニャルムさんでしょ。でも確かに私はニャルムさん好きだし、シルドもニャルムさんの事を気に入ってる。ニャルムさんの言ってることに間違いはないよ。…でも、シルドの相棒の座は渡さないよ。」
「むむむ。それならば私は二人まとめて面倒を見るニャー。なんたって私は お二人の専属担当だから」
「それじゃ、これからもよろしくね。ニャルムさん」
「ほいニャー!」
「お兄さんもお姉さんも仲良しなんだね。」
「君たち、はしゃぐのもいいが警戒は大丈夫かね?」
「シルドが何も言ってこないうちは大丈夫でしょう。彼の索敵範囲は10テリシャックンですから」
「えっ?」
「私も5テリぐらいはわかりますから。」
「お前たちは本当に『規格外』だな」
馬車塚、宿場町ごとに御者と警戒を交代して進んだ。
クライフさんとホロウさんも御者交代していたが途中から、交代した際、ギルド馬車で休むようになった。
「飼葉にこんな使い方があるのか」と感心された。
、3番目の馬車塚でちょうど昼になったところで、クライフさんが丸パンを出すところを押しとどめた。
「弁当を作ってあるのでそれを食べましょう。」
クライフさんとホロウさんには驚かれたが、レード、ニャルムさん、ミリちゃんが喜んでくれてよかった。
ドコウさんはなぜか悟りを開いたような顔をしてたな。
ホロウさんにはレシピを聞かれたが、明日の朝も作るからその時にということで納得してもらった。
そうそう、馬さんにもご褒美あげないとな。
「サンダ、ガイ あと半日頑張ってな」
「[アニさん。ごちになりやすです」」<<パク、ボリボリ>>
[お前ら何喰ってるんだ?][さっきなんかもらってたな]
[アニさんのクッキー][おいしいよ!]
[それってヒトサマのカシっていうもんだろ][俺たちには草でいいんだよ]
「お前さんたちも頑張ってくれたからね。はいご褒美」
[なんでいそんなモノ…][でも…おいしそうだ食ってみようぜ][おう]<パク、ボリボリ>
[[馬いぞー]]
他の馬にも馬クッキーは好評だ
そんなこんなで進んでゆき今日最後通過予定の宿場町、ツワイスに早めに着いた。




