12話 商会での雑談生活
コウフィン商会にて
「ごめん下さい。」
「シルド様にレード様とそちらは…ニャルム様ですね。こちらへどうぞ。」
応接室に通され、
「少々お待ち下さい。」[支店長、シルド様レード様がお越しになられました。]
VIP待遇には慣れた。
[ニャにニャんニャのこの待遇。落ち着かにゃいにゃー!]
最初は俺もそうだった。
「ようこそお越しくださいました。今回も当店のご利用ありがとうございました。」
「いえ、大変助かりました。あのぉ、代金の方はいかほどに?」
予想金額は手持ちで何とかなるがニーフ村基準だからなぁ。都会は値段が高い。
「いえ、お代は結構です。渡していただいた『パウンドケーキ』で十分おつりがきます。」
「でもあれは無理を聞いて下さったお礼ですし…」
「それではこうしましょう。今回の依頼の概要を雑談ついでにお話しいただくこと。これを対価といたしましょう。」
「でも…」
個人情報保護法…はないがやはり守秘義務はあるからなぁ。
「もちろん個人名を出されても私どもも外には洩らしません。そんなことをしてしまうとグロップ神父様に顔向けできません。」
神父様の名前出されてもなぁ。…『とある飲食店』でごまかそうか。
ニャルムさんを見ると俺の考えてることを読んだのか、軽くうなずいてた。
「わかりました。しかし場所は『とある飲食店』とさせてください。」
「それで結構です。」
…
「…ほう、生ごみは確かにネズミの餌となりますね。しかしこれを毎日回収するとなれば費用の点で無理がかかりますね。」
「今この町での生ごみ処理はどうなっているんでしょう?」
「たしか他のごみと一緒に大穴に埋めたてでしょう」
「なんかもったいないですね。」
「はて、もったいないとは?」
「いえ、生ごみと落ち葉や木くずを混ぜて放置するといい肥料になるのに、と思って。」
「ん?肥料ですと。」
「はい、ニーフ村などの農村では野菜の皮や動物の食べられない部分や家畜の糞をまとめて大きな底の抜けた樽に入れて1年置いておきます。それをまいて土を肥やすようにしているんですよ。」
「それだとかなり臭いのでは。」
「ハイ、臭いですね。別に聞いた話では小さい樽に入れて1日1回攪拌することで匂いが和らぐという話を聞いたことがあります。」
…
「天敵のニオイですか。」
「今回は猫砂、それも尿の部分を使いました。ほかにネコのニオイするものを思い浮かばなかったので。」
「なぜに尿の部分を?」
「一応飲食店ですからね。糞はアウトでしょう。尿もでしょうが結構乾いてましたし少量を壁の奥に置きましたから。」
「なるほど。ちょっと待ってください。確かシルド様は猫砂を買われてましたが使用済みの猫砂などどのようにして入手されたので?」
「知り合いにネコを飼われている方がおられて、使用済みの猫砂の代わりに差し上げたのですよ。」
…
「買っていただいた木材はどう使われたのですか」
「表面加工していないものしか目に入らなかったもので自分たちで2面だけ鉋掛けして巾木として鼠穴をふさぐのに使用したんです。」
「巾木など、貴族様の屋敷でしか見ないもの。一般には高価となるのでは?」
「装飾や塗装をすれば高くつくでしょうが、今回使用したのは鉋掛けしただけのものですから、壁板を横にして部屋1周分なのでそんなに高価ではないと考えます。」
…
「シルド様。大変ためになる話ありがとうございました。」
「あれでよろしかったのでしょうか。」
「あのお話を商売に生かせないようでは商人失格です。また何かありましたらまたこちらにお寄りいただき雑談していただけると助かります。」
「そういっていただけるとこちらも肩の荷が下ります。ありがとうございました。」
「はい、またの御こしをお待ちしております。」
話し込んでしまった。
おかげでニャルムさんのお腹が、お茶と御菓子でぷっくりと…
太る……言わないほうがいいか。
レードはずっと俺の顔見てニコニコしてたな。顔に何かついてたかな?
シルドが楽しそうに話をしているのを見てると私も楽しい。




