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『盾』役者の生活  作者: 愉魅夢
二ーフ村のグロップ孤児院
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18話 その後の魔法習得生活

ここ数年、毎日のように森への柴拾いと称して森中で魔法の練習をしていた。

キンドに強化術を教えた後は彼も一緒だ。



「わぁー。シルド兄はこんな魔法も使えたんだ。」


分割デバイディング抉開器ドライバー』の射程も200シャックン(36m)まで伸びた。


「周りは強力な結界になっているからこの中ならキンドも魔法が自由に使えるだろ。」



キンドも当初は魔力が低い方だったが、ここで魔法練習しているうちに魔力量だけは、大幅に増えた。

出力自身は今一つだが『フリクションゼロ』や低高度の『マギクキャノン』等は連続して出しても魔力切れは起こさない。

いや、彼の場合、魔力切れが起きないように細かな出力調整を行っているようだ。


レードにも『ファイヤーブレッド』等の中級魔法も習得させている中、

俺も

『マギクジェット』:空気噴出による突進力魔法

『サイレントフィールド』:遮音結界(開発中に窒息しかけたが)

『ウォータートルネード』:『セイマイ』という魔法を水で再現

等、色々思いつく魔法を開発していった。


そして今は『亜空間潜行デスドライブ』に代わる魔法を開発しようとしていた。


亜空間潜行デスドライブ』の考え自身は、別空間に潜って、任意の場所に出るというもの。

『潜って』『出てくる』のうち『潜る』ことが危険なわけだから……入口と出口をくっつければいいんだ。

そう、青ダヌキロボ(ドラえもん)のあのピンクの扉や魔人型の懐中怪獣(フーパ)の金冠をイメージすればよい。


考えがまとまれば実験だ。


「レード、キンド。ちょっと手伝ってくれ。」

「シルド、呼んだ?」

「シルド兄、何をするの?」

「二人はこれを持って。そしてキンドは50シャックン(9m)離れてくれ。」


渡したのは前に作った扇風機(ただの木枠)だ。


「…シルド兄。この辺でいい?」

「いいぞ、扇風機をよく見ていてくれ。レードしっかり持っていてくれよ。」

「うん、OKだよ。」

「行くぞ!」[空間接続 A⇒B]

「「わっ!枠内が黒くなった」」


第1段階成功

次にレード側の枠に手を突っ込む。


「わわ!シルドの手が消えた!」

「わ、枠から手が出てきた。」


第2段階成功だ。


「シルド兄、どう…」

「キンド!動くな!」


キンドが駆け寄ろうとしたので声で制した。

今、枠が動くと『ヤバい』と感じたからだ。


俺はすぐ手を枠から抜き、魔法を解除した。


「…キンド、もう動いていいぞ。」

「シルド兄、ごめん。」

「いや、きつく言ってすまない。あの時『動くと危ない』と感じたんだ。」


いまさらながらあの感じ。冷や汗が出てきたぞ。


「シルド、すごい汗。大丈夫?」


とりあえず自己診断だ。

内蔵器等…異常なし

心拍数…120 多すぎだ。

血圧…低下

このことからストレス性の貧血と判断。


「大丈夫だ。気が動転してめまいを起こしているだけだ。少し休めば…」

「そんな真っ青な顔して何言ってるの。キンド、出ている物を片付けて。シルドおぶって帰るよ。」

「はい!レード兄!」

「そんな、大げさな…」

「シルドは黙って!脚力強化リミッター解除!私は先に行く。」


制限速度は守ってね(音速は超えないでね)




教会に帰ると、強制的に寝かされた。

神父様(オヤジ)は俺の額に手を置き、微弱な魔力を流した。


「身体、魔力とも正常ですが、レードの事を考えて、今日はゆっくり休みなさい。」


さっきの魔力は診察の魔法かな。今度教えてもらおう。

そういえばレードの取り乱した姿初めて見たな。


「ただいま戻りました。シルド兄、大丈夫ですか。」


キンドも無事帰ってきたようだ。

これ以上心配かけるのもあれだな。神父様(オヤジ)の言うように今日はおとなしく休んでいよう。


そう、体はね。



今回、危機感を覚えたのはつながった先が動こうとした時だ。

手で持たせていたため、多少のブレはあっただろうがその程度では危機感は覚えなかったので許容範囲があるのだろう。

今回、A枠とB枠をつなげる様にしたが座標の基準点は、各枠だ。

この各枠のつながりを絶対座標からの図で示すと、A点からB点につないだ線とみなせる。

線をつなぐ=経路を固定したと仮定すると、B点を移動することで経路が破綻する?…のではないか?


実験その1:実際にB枠を移動すればどうなるか。

長い木の棒の端にA枠を固定、B枠を取り外し式とする。

今回の魔法を実行。検体は、木の棒とし、通した状態で

B枠を移動、および回転させて結果を確認。

前記仮説が正しければ魔法が解除される……はずだ。

解除=空間が途切れる。となると棒がちぎれると考えられる。


実験その2:座標は相対か絶対か

次にB枠を木の棒に固定する。

今回の魔法を実行。検体は、木の棒とし、通した状態で

A,B固定棒自信を移動、回転させる。

A枠基準の相対座標系ならば解除されない。

絶対座標によるものならば解除され(略)


実験その3:枠なしで可能か

扉や円環のイメージがあったため枠を使ったが、(実験その2の結果にかかわらず、安全のため)

出入り口を空間固定できるかの確認をする。


明日はこの実験をしてみよう。ならばさっさと寝て、夜中に資材確保(収納)だ。





次の日…


「シルド、本当に大丈夫?」


やたらとレードが心配してくる。


「大丈夫だよ。ここ来到着するのも僕が一番だっただろ。元気そのものだよ。さあ今日も始めるよ。二人とも僕につかまって。」

「うん」「わかった」<ギュー>


レードの<ギュー>がちょっと苦しいが昨日心配かけたのだ。ガマン、ガマン。


「いくよ、『分割デバイディング抉開器ドライバー』」


自分に接触させてみんなを闇魔力で覆えば、そのまま展開空間に入れるのだ。


「もう中に入ったから、レード。離していいよ。」

「え?あ、うん。」


レードは名残惜しそうだな。


「で、シルド兄はさっそく実験?」

「そうだけど、昨日より危機感のない実験をしようと思う。」

「で、どうするの?今日も手伝いがいる?」

「じゃあお願いしようかな」


『収納』から、夜のうちに作っておいた枠の2つ付いたフレームを取り出し、(〇_〇:こんな形 )

解りやすいように枠にはそれぞれ『A』『B』と書いておいた


「レードと一緒にこれを持って。…実験その1。『出口の枠を動かすとどうなるか』。見ていてよ。まずは『空間接続 A⇒B』」

「昨日と一緒で枠内が黒くなったよ」

「次にA枠に棒を差し込みます。」

「こっちから出てきた。」

「キンド。棒が出てきたB枠をフレームから外して移動してみて。」

「こうかな…って動かない」


昨日は枠移動に危機感を感じたが、実際にはかなり動きずらいもののようだ。


「無理してでもいいから動かしてみて」

「ン~~な、ん、と、か~、動いた!」<メシッ!>「わっ!」


棒が折れた、というより圧し切れた。

俺の仮定した通りの結果だ。

一定の安全機能があったとはいえ、俺の腕がこうなった可能性もあったわけだ。

(想像してちょっとちびりかけたのはナイショだ)


「次に行くよ。移動したB枠を再度取り付けて。」

「えーとこうかな。できたよ。」

「『空間接続 A⇒B』再度A枠に新たに棒を差し込み」

「さっきと同じように出てきたよ。」

「今度はその場でB枠を回してみて。」

「こうかn…まっまわr、回った!」<メシッ!>「あっ!」


さっきと同じ結果となった。


「シルド~。私、ひま~。」

「次はレードにも動いてもらうから。実験その2。『両方の枠を動かすとどうなるか』。B枠を元に戻して。」

「できたよ。」

「じゃあ行くよ。『空間接続 A⇒B』再度A枠に棒を差し込み」

「出てきたよ。」

「次はレードがフレームごと動かしてみて。」

「わかっ、動かないよ。」


ふと、思いついた。


「二人とも、手を放してみて。」

「「うん。」わ、浮いてる」「どうなってるの?」


なるほど、物体基準で空間をつなげるとその物体自身、空間に固定されるのか。


「じゃ今度は無理やりフレームを動かしてみて。」

「わかった、キンド行くよ。」「うん」「「せーの!!」」<メシッ!>


思った通り棒が圧し切れた。

ついでにやってみよう。


「もう一回、フレームを持って。」「「オッケー」」

「『空間接続 A⇒B』。今度は棒を通さずにフレームを移動してみて。そおっとね。」

「キンド、ゆっくり行くよ」「うん」(そ~~~っと)

「「あっ、(黒いの)消えた!」」


2~3センチくらいの移動で魔法が解除された。

そこから、空間接続は始点⇒終点の相対座標ではなく絶対座標であることが判った。

なお、接続の固定具合は挿入している物体により変わるようだ。


「最後の実験だ。実験その3、『枠なしでこの魔法が可能か』だ。レード、キンド。さっきのフレームから枠を外して棒を挿しておいて。」


枠の代わりに 棒A,棒B をフレームに挿してもらい 


「準備できた?、いくよ『空間接続(魔力枠仕様) A⇒B』」


空間の穴としてブラックホール的なイメージがあったがその境界域があやふやだとその付近の効果に予測がつかないので結界で枠を作りその中をつなげたのだった。


「棒の前に黒い円盤が出来たよ」「こっちも」

「次にフレームをどけてみて。」

「黒いのが宙に浮いたままだよ」

「よし、じゃあ棒を通すよ」

「あ!出てきたよ。」

「シルド兄、これで成功?」


次に棒を抜いて、


「キンド。この黒いのに『ツブト』で小石を飛ばしてみてよ。」

「ん、いくよ。『ツブト』」<カーン>「わっ!弾かれた!」

「やっぱりか。」

「なんでなの?」

「多分、僕の魔力を纏ってないと通れないみたいだ。」


さっき棒を入れるときに無意識に魔力を纏わしていた。

作用的には『分割デバイディング抉開器ドライバー』で俺につかまらせていたのと同じと考えていい。


「今度はこの石で試してみて。」


キンドに渡したのは俺の魔力を纏わした石だ。


「わかった、いくよ。『ツブト』…おっ、向こうに飛んでった。」



検証終了。


この魔法は、絶対座標で指定、固定される。

あれ?、……『絶対』と言っていいのだろうか?

この大地が地球と同じように自転、公転しているなら、地面そのものが動いていることになる。

『絶対座標』だとすればこの魔法は自転、公転とは逆向きに「絶対」高速で動くはず。

だとすれば、この魔法自身はこの大地を基準とした座標なのかもしれない。

緯度、経度、高さ……そんな感じの座標系だろうか。


今まで気にはしてなかったが、『分割デバイディング抉開器ドライバー』も同じ理屈かも?

大地を基準とした座標固定と考えれば、勝手に動かないのも道理だ。

これは盲点だったな。



「二人ともありがとう。これで新しい魔法が開発できるよ。」


[私…あまり役に立ってない…]


レードが少し拗ねていた。仕事配分は難しいな。

寝る前に髪をブラシで解いてあげよう。

なぜか俺がしてあげると喜ぶので、ご機嫌取りに利用している。



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