17話 兄の帰省生活
さらに2年後
「ただいま、神父、シスター。」
オーサ兄が帰ってきた。とはいっても1時的だが。
現在はAランク冒険者として活躍中で、今回は王都から地方領地への親書を運んだの帰りに立ち寄ったとのことだ。
「「お帰り。オーサン」」
「「お帰りなさい。オーサ兄。」」
「おう!シルドもレードも元気だったか?」
出立時はまだ『兄さん』だったが今では『オッサン』だ。
「ん?なんだシルド?変なこと考えてないだろうな?」
「か、考えてないよ『オッサン』だなんて考えてません!」
昔みたいにじゃれあおうと殴られるのを覚悟して言ってみたんだが…
「そーなんだよな。俺はオーサンなのにみんなして『オッサン』『オッサン』てよう…」
落ち込んでいた…
「で、でもそれって貫禄が出た証拠だよね。レード。」
「そーだよ。それにみんな親しみを込めて言っているんじゃないかな。」
「…そーか…貫禄…親しみか…」
そういうが早いか、両手で俺たちの頭をぐしゃぐしゃしてきた。
「そーかそーか!俺の弟たちはいい事いうじゃねーか!」
思ってたじゃれあいとは違ったがこれはこれでいい。
こらこら!レードのサラサラ髪が台無しじゃないか。まあレードも喜んでいるからいいか。
さんざんぐしゃぐしゃにされたところで、
「そっちが新しい弟のキンド君かい。俺はこいつらの兄貴のオーサっていうんだ。よろしく、なっ」
すごくやさ~しくキンドの頭に手を置く。俺たちの扱いとはえらい違いだ。
「よ、よろしくお願いします。オ…オーサ兄」
「う…かわいいじゃねーか!レードの時といい神父はどっからこんなかわいい子連れてくるんだよぉ!」
オーサ兄ってショタコン。っていうか俺は?
「なんて顔してやがる。お前は愛でられる方じゃねえだろ[俺と同じ愛でる側だろ]」
なんかそのアイコンタクト。変態と同類扱いされてる様でいやなんだが。…まあ間違ってはいない。
「とりあえず中に入りなさい。任務途中とはいえ明日まではゆっくりできるんだろう。シルド、レード、キンド。この後は、オーサンの世話をしっかりしてあげてください。」
「「「はい!」」」
まずはオーサ兄の装備を外しての点検と整備だ。(これもトイナさんやリル姉さんから教わっていた)
まだ装備の手入れのできないキンドはオーサ兄の体をふいてあげていた。
そうだ、これを聞いておこう。
「オーサ兄の今の二つ名が「デルタシールドのオーサン」でしょ。僕の盾はどうなったの?」
そう、今持っている盾は形状こそ俺があげた盾に似せてあるがしっかりした作りの合成盾(木-皮-鉄製)だ。
「すまない。せっかくもらった盾だがな。Aランク昇格時のクエストで壊れてしまったんだ。」
「壊れたのはいいよ。もともと消耗品なんだから。でも…大丈夫だったの?」
「ああ…その時のクエストが暴竜の討伐でな。始終押していて慢心していたんだろうな。油断して一撃を食らう未来が見えた時だ。シルドの盾が砕け散った…というより暴竜めがけて爆発したんだ。それでひるんだ暴竜に止めがさせた。ありがとうシルド。お前の盾がなければここまで駆け上がれなかったし、俺は生きていなかっただろう。」
制作時に、守ってくれるように願いを込めた効果かな。それとも…
「それは僕の盾を大事に使ってくれた証拠だよ。盾がその思いにこたえるべく最後の力で兄を守ってくれたんだよ。」
「そうか。…今、Aランクとして活躍できるのもその時の慢心を気づかせてくれた盾のおかげだし、その盾を作ってくれたのはお前だよ。ありがとう」
その後はオーサ兄に稽古をつけてもらった。といってもレードと二人、2対1での模擬戦だ。
俺たちも力を付けたと思っていたが、結局、
「オーサ兄、鉄壁すぎるよ。」
「ス…スキがない…」
防御は崩せなかった。さすがはAランクだ。
「何を言ってるんだ。お前たちの攻撃、二人がかりだとCランク冒険者が瞬殺されるレベルだぞ。俺の出立時より格段に上がってるんだ。自信を持て。」
次はキンドに対する稽古だ。
キンドはそこそこ剣を使えるがあくまで『そこそこ』レベルだ。(とはいっても同年代からするとかなりの高レベルではあるが)
代わりにといっては何だがキンドには逃走術を学ばせている。
単に荷物代わりのボールをもって、陣地まで走り抜けるラグビー風な遊びに近いものだが、俺たち二人でも本気を出さないと負けてしまうレベルに達している。
「おもしれー遊びしてるじゃねえか。俺が最後の砦となってやる。さあ、やってみようか」
防御陣形として俺、レード、オーサ兄と並ぶ、さてキンドはどう攻めるか。
「行きます、セットレディ!ゴー!」
キンドは回り込むでもなく一直線に俺に向かってきた。
俺に接敵する直前、キンドの右足が地面を蹴ろうとしているのが見えた。俺は右へ体を移動させる。
[フリクションゼロ]
キンドは摩擦係数をなくしてそのまま俺の左を通過!
やられた!
次に、レードに向かっていく姿は左右にぶれている。あれは!
「変移抜刀〇斬り(いや、斬りはしないが)」
変則的な左右のブレにどちらで抜かれるか惑わされ…
レードも抜かれた。
最後は
「シルドもレードも情けねえな!俺が止める!」
オーサ兄の気合もすごいがそこに立ち向かってゆくキンドもすごい。
オーサ兄の圏内に入り、手が伸びる。
「捕まえt…」
[マギクキャノン]
キンドは上方へ飛び、クルクルくるっと回転し陣地に着地。(どこかの電光掲示板が「10.0」を表示した)
見事キンドが勝ったのだった。
「すげーなおい!あそこで飛ぶなんて!もしかしてリル姉さんに教えてもらったのか?」
キンドは土属性なので、先ほどのような実践的なのはリル姉さんが教えていたのだった。
「ようし、キンド。次は1対1でやろうぜ。」
オーサ兄の闘争心に火が付いたのか、ガチンコ勝負です。
「よろしくお願いします。」
で、次の勝負では[フリクションゼロ]で股下をくぐられたものの、後は完璧に阻止していた。
「オーサ兄、すごい!」
「はははは!でもお前の魔法もすごいぞ。初見で見抜けるやつはなかなかいないと思うぞ。」
そのあとは、川で魚を取ったりして兄弟で遊んだ。
(そして服をびしょびしよにしてシスターにみんなで叱られた。)
その夜は皆で一緒に寝るのだった。
「次会えるのはシルド、レードの成人の後ぐらいか。」
「無理して会いに来る必要はないよ。オーサンの活躍はこんな田舎にも届いてくるんだ。元気ならそれでいい。」
「体には気を付けるように。」
「途中、アルデ兄のところにも寄るんでしょう。私たちは元気にしてるって伝えてきて。」
「おうよ!あいつも勉強頑張ってるか見てきてやるよ!」
「楽しかった。また遊びに来て。」
「おう、それまで神父やシスター、兄たちの言うこと聞いてろよ。」
「オーサ兄、俺たち追いつくから待っていてよ。」
「ばーか!追いつかれたらお前たちを引っ張れねーだろうが。俺は先に行く。だから…さっさと追いかけてこい。」
「…それでこそオーサ兄だ」
「あっオーサ兄照れてる。」
「ば、ばか。照れちゃなんかいねー! じ、じゃあ、行ってくる。」
「「ああ、行ってらっしゃい。」」
「「「行ってらっしゃい。オーサ兄!」」」




