↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『盾』役者の生活  作者: 愉魅夢
二ーフ村のグロップ孤児院
36/60

16話 弟ができたぞ生活

オーサ兄が旅立って3年になる。


その間に起こった事といえば、アルデ兄が成人の儀で『領主』を賜った事だ。

本来、従者が『領主』となると下剋上問題が起こるところだが、アルデ兄を気に入っていたバラン子爵と令嬢は大いに喜んだそうだ。「婿、確定!」と。

まあその分勉強内容が増えたそうだが、がんばっているそうだ。



オーサ兄はというとBランクになったと聞いた。


最初に入ったパーティーではリーダーそっちのけで指揮をしてしまい、リーダの不興を買った結果『生意気な若造』のレッテルが張られてしまい、結局ソロで頑張った結果だ。

異例の速さでランクアップし二つ名もついた。


『アンバーシールドのオーサン』


俺の盾は長く使い込んでいると、琥珀のようないい色つやが出てくる。

って、まだ俺の盾、持ってたんだ。盾が自壊しないか心配になる。



忘れたころにふらぁ~とリル姉さんがやってきて俺たちに新しい鍛錬を教えてくれる。


「ここはのどかでいいわねぇ~。のんびりできてサイコー!」

「僕らの鍛錬に来てくれたんじゃないの?」


そこに執務室からの神父様(オヤジ)の視線が…


「汗)そ、そうそう!シルド君レード君にはね、もう少し実践的な…」


あの視線…レーザーポインターのようにリル姉さんの眉間を狙ってた。

こえ~~~!


あと「父さん」っていうのが少しこっぱずかしくなって「オヤジ」と呼ぶようになった。シスターは変わらず「母さん」だけど……ねっ。




そんなある日、神父様(オヤジ)が一人の少年を連れてきた。


「この子の名前は『キンド』7歳だ。訳あって家で引き取ることになった。シルド、レード。仲良くしてあげなさい。」

「わかったよ神父様(オヤジ)

「はい神父様(父さん)




「とはいってもどうしていかわからないよ。」

「そうだね。でもあの態度や雰囲気。僕らの幼かったころ思い出さないか?」

「恥ずかしい思い出だね。」

「あの時は僕も幼かったからね。『仲よくしよう』って言葉しか出なかった。あ~恥ずかしい。」

「でもあの時シルドが話しかけてくれて、うれしかったなぁ。キンド君にも話かけ…さっき失敗したんだよね」

「そういうときの方法はただ一つ」

「なに?」

「話しかけない事さ。」

「……へ?」




キンド君が座って地面になにか文字を書いている。

俺たちはその前に邪魔にならないように桶と棒を真ん中において座った。…無言ゲームの始まりだ。


これは昔、俺とレードがよく遊んだ反射神経勝負だ。


まずはジャンケン…ポン!…俺の勝ち! レードは桶でガード! 俺は棒で<カーン!>

次にジャンケンポン!…レードが勝った! 俺はは桶でガード! レードは棒…って早!<カーン!>間に合ったぁ。

遊びのはずなのだがレードの眼が本気だ。こっちも本気でやらねば()られる。

キンド君の手が止まりこちらに目を向けるようになった。

そして俺らは…

超高速での遊びとなった。

キンド君は俺たちの勝負にくぎ付けだ。


頃合いか…


俺はジャンケンに負けたタイミングでワザと間違えて棒を取った。

レードの手が棒を空振りする。が俺が[しまった]顔をして手放した棒をすかさず取り<カーン!>

俺の頭にクリーンヒット!…いやちゃんと闇魔力でピンポイントバリヤー張りましたよ。でも…それ以上に衝撃が強く


「いってぇぇぇぇぇぇ!」

「シルド!大丈夫?大丈夫?」


いたがる俺とおろおろするレードのそばでは


「ぎゃはははははははははははは」


キンド君が笑っていた。



たしか治癒術は魔力をその部位に停滞させることだったな。

たんこぶを自己治療中です。

まだ多少ズキズキしますがキンド君が笑ってくれたので善しとしましょう。


キンド君がひとしきり笑って落ち着き出したくらいで、


「やっと笑ってくれたね」

「あっ!」


キンド君はまた黙ってしまったが、さっきまでの拗ねた感じはもうない。


「…ごめんなさい!話しかけてくれたのに無視しちゃって。」


ちゃんと謝れる子はよい子です。


「気持ちがなんかぐるぐるして…」

「わかるなぁその気持ち。私もそうだったから。」

「えっ?……あっ!」


ここが孤児院ということを思い出したようだ。


「僕らの時はキンドの時よりひどかったぞ。最初のころは毎日レードと取っ組み合いのけんかだ。」

「えっ嘘だぁ二人ともすごく仲いいし」

「それはね、ある時、寝起きにシルドが声をかけてくれたの『仲よくしよう』って。それからはシルドは私の一番の親友!」

「ああ、あれはね、死んだ父さんが夢に出てきて僕に諭したんだ『仲よくしなさい』って。キンドの父さんはどんな人だったんだ。」


孤児に亡くなった人のことを聞くのは酷なことだろうが、逆に生きる原動力になることもある。


「父さんはすごい商人なんだ。ボクも将来は父さんを超える大商人になるんだ。」


後者だったようだ。


「それならもっと勉強しないと。僕の名前はシルド。シルド兄って呼んでくれると嬉しい。」

「私はレード。レード兄って呼んでね。」


少しまだ、もじもじしているな。

完全に打ち解けるのにもう一押しだが、ここは時間をかけようか。と思っていると


「二人ともすごく速かった。すごいね。」


キンド君から話を振ってきた。

もう少し仲良くなりたかったのかもしれない。


「そうだな。いつもなら1日中勝負つかないところだけど、今日はちょっと気を抜いてしまった。残念!」

「そうだよシルド。いつもならあんなポカしないのに。」

「いや、新しく弟ができると思うと、つい…」

「…ボクが弟になると…うれしい?」


上目遣いの反応にレードは


「キャーカワイイ!こんなかわいい弟が出来てうれしいよね!シルド。」


反応がまるで女子だ。

もちろん俺は兄となるんだ


「うれしいよ。」


と静かに、しっかり答える。


「シルド兄、レード兄。これからよろしくお願いします。」

「オウ、よろしくな。」

「よろしくね、キンド君」





それからはキンドに、通常の勉強、剣の鍛錬以外に、商人としての算術を教えていった。

とはいっても神父様(オヤジ)の蔵書の引用と 俺の『知識』との合わせ技だ。

『知識』には商人の専門知識はなかったが、為替などの基礎知識だけでもじゅぶんこの時代には役に立つものだった(らしい)


『父さんはすごい商人なんだ。』というくらい父の姿、商売を見ていたからだろうか。

一年後には、キンドは行商人相手に値段交渉までこなすようになっていた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。