10話 少年期の対剣生活
「リル姉さん。今日はレードにも教えてあげてください!」
修練前にリル姉さんに頼み込んでいた。
「でも、私はシルド君に教えるために来たのであって…ほかの子まで教える余裕は…」
「リル姉さん。盾術は受ける剣=相手がいないと始まりませんよね。レードに剣を教えてくれれば僕の相手になりますし、レードにとっても盾使いとの対応が学べます。一石二鳥だと思うんです。ほら、レードからもお願いして。」
「えっと…リル姉さま…だめ、ですか?」
事前に打ち合わせして置いたおめめウルウル作戦だ。
レードには「姉さま」と呼んでもらった方が効果があると思い、そういうようにお願いしておいたのだ。
[姉さま呼びって新鮮。でも私は騎士よ!毅然としないと]
「う~ん、わかったわよ。レード君!可愛いからって手を抜く気ないんだからね!」
「ありがとうございます。」
ちっとも毅然とははなっていないが
「シルド君にももっと厳しくいくわよ!」
「はい!」
俺の考えたことが判ったんだろうか。最後の語尾がきつかった。
教えてもらう内容は、トイナさんより専門的、実践的なのだが、理論部分が多く、初日にオーサ兄、アルデ兄に内容をかいつまんで話したら「俺達には無理」と修練に加わることはなかった。
「大盾は下部がとがっているかスパイクがついているものだけど、私はこれみたいに菱形や、逆三角の下部がとがっている方が好きだわ。」
現在、大盾術講習中だ。
「何でですか、リル姉さま」
「さぁなんででしょうねぇ」
これは俺らへの挑戦状とみた。
が、レードは首をかしげて盾を眺めているだけで答えが出ないようだ。
さて、自分なりの回答をしてみよう。
「レード。盾の下部が一点なら少し傾けるだけで受け流せるだろ。下部を線で支えるとなると上方にしか受け流せないよ。それに戦場は平坦地とは限らないんだ。自由度がある方が都合がいいんだよ。ね、リル姉さん。」
リル姉さんは困り顔で、
「何でシルド君にはわかっちゃうのかなぁ」
ここはちゃんとフォローしないと、
「でも、その受け流しにはそれなりの技量がいりますよね。」
「何でシルド君にはわかっちゃうのかなぁ」
今度は得意顔だ。
少し間をおいて、リル姉さんは軽く咳払いをすると講義を再開した。
「実際にはその"少し傾ける"が一番難しいのよ。相手の技量、力加減、思惑。すべてを読み切ったうえで実行しないとね。これは大盾に限らず小盾にもいえることね。」
「でも私は、ロングソードだからあんまり盾を使用しないし…」
「レード君?さっきは『小盾にも』といったけど剣も一緒よ。相手の力点をずらせばそれだけで攻撃力は半減するんだから。要は観察と見極めね。…講義はここまでよ。シルド君は大盾での受け流し+時々攻撃。レード君はロングソードによる攻撃と受け流し練習よ。さあ始めて。」
「「はい!」」
とはいえ、受け流しはあくまでも盾と剣の性能が同レベルの場合に限る。
もし剣が「斬〇剣」だったりしたら盾ごと切られるし、盾に空間湾曲効果があれば攻撃すら届かない。…まてよ……『空間湾曲』…
『分割抉開器』の結界って相当な強度があったよな。今度防御に使えないか試してみよう。




